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【映画】レプリカントは美男であり、恋人は美女なんですね。

2049年ロサンゼルス

 2049年、地球は環境破壊が進み汚染された空気と酸性雨の中で“外宇宙(OFF  WORLD)”へ旅立つ事ができなかった人々が所狭しと生きていた。その昔、さまざまな事件を起こしていた「レプリカント(遺伝子工学から生まれた人造人間)」は2022年以降製造禁止となっていたが、タイレル社の権利を継承した(金で権利を買った)ウォレス社が新たなレプリカント「Nexus9」を開発した事で、再度人間の“補佐”として働く事となる。
 また、旧型であるNexus8タイプは専任捜査官「BLADE RUNNER」によって追跡され「抹殺(解任)」されていた。

KD6−3.7(SKIN-JOB:人間もどき)

 かつて、BLADE RUNNER特捜班のRick Deckard(リック・デッカード)はロイ・バッティ率いるテロ集団であったNexus6型レプリカントを「解任」し、同型の女型レプリカントと行方不明になった一件からBLADE RUNNER特捜班は対レプリカント用レプリカントを用意し、追跡・解任の任務を行わせるという手段を取った。より危険な任務を遂行可能でであり、絶対服従のレプリカントKD6−3.7(通称K)は執拗までの追跡で旧型Nexusを探し出し、解任を続ける。しかし、解任最中の旧型からある“奇跡”について話される。命乞いにも似たその話をKは特に気にしていなかったが、解任現場の巨大な木(本物)の根本に大きな箱が埋めてある事に気づき、回収した。その中には人骨が入っており、過去に埋葬された物だと知った。その人骨の正体と旧型が話していた“奇跡”について新たな捜査が始まり、太古のレプリカントと脱走した元BLADE RUNNER捜査班Rick Deckard(リック・デッカード)を探し出す任務を遂行する事になった。

前作BLADE RUNNERの続編?とは言い難いが

 私はBLADE RUNNERに関してはコアなファンなため、BLADE RUNNER 2049が正式な物語を引き継ぎ、様々な謎を解決した続編とは思えず、どちらかと言えば純粋にその後人類はどうなったのか?という時系列的な物語という印象でした。
 では「酷評か?」と言えば、そこはリドリー・スコット総指揮です。ちゃんと世界観を大きく崩さず物語が進行するように作っていますので映画としては面白いと感じる(満足ではないが)物語でした。(笑)

KD6-3.7型レプリカント捜査官K(ジョー)とその恋人は美男美女です

 このBLADE RUNNER 2049は前作のBLADE RUNNERと同じ「恋」の物語です。そもそも私の中での解釈は人間から生まれた人間が人工的に生まれた人間を愛し、またその逆もあり得るのだろうか?というお話だと思っています。

 レプリカントは人工的に作られた人間ですので身体能力も容姿も好きに創り出す事ができます。そういう意味ではKD6-3.7捜査官K役のRyan Gosling(ライアン・ゴズリング)は役としての泥臭さといい、いかした男です。レプリカントという不完全な感情をうまく表現しており、捜査官というよりは司法機関という強引な部分をほどよく表現しています。いろんな意味でレプリカントであると分かりやすく演じていました。冒頭で腕を負傷しますが、未来の医療なのか接着剤のような物で傷を塞ぎます。(汗)

 そして恋人のJoi(ジョイ)です。捜査官Kの恋人ですが、彼女はホログラムAIホームオートメーションシステムという物で家の中に投影装置があり、その投影装置の元でまるで家族の様に振る舞う事ができます。このJoi役の女優さんがまた美人さんです。Ana de Armas(アナ・デ・アルマス)という方ですが、若く正気溢れる女性を演じています。ここに捜査官Kとは真逆な雰囲気を出しており、お互いの必要性、つまり剣と鞘という役わりである男女を表現しているのだと思います。劇中でKに食事を出すシーンがありますが、それぞれの想いによって容姿を早替えするシーンはとても素敵に見えてしまいます。(笑)

アンドロイドは電気投影少女の夢を見るか?

 この映画は酸性雨降りしきる荒廃した地球にある汚れ切ったロスでの危険な任務の物語のはずですが、捜査官KがホログラフィックAIのJoiをいかに愛しているかを切なく表現しています。冷静で解任任務に準じているレプリカントの中に微か見え隠れする人間的感情。捜査官Kの恥ずかしそうに笑う表情は暖かさと切なさを感じさせてくれます。そしてJoiも捜査官Kを愛しく思い、ホログラムである自分ではできない事であっても精一杯“K”の為だけに尽くそうとします。
 捜査官KがKD6−3.7からジョーに変化する過程。レプリンカントが禁じられている感情を持つ変化。この部分は是非映画を観て感じて欲しいです。

号泣のエンディング

 人間の感極まる感情は何も映像だけではありません。BLADE RUNNER 2049の最後に旧BLADE  RUNNERで流れた名曲が流れます。切ない恋物語の最後を飾るこの曲はBLADE RUNNERファンにとって思わず泣いてしまうような瞬間だと思います。
 映画BLADE RUNNERが許されない恋の物語であると思う私には2019年から2049年までに起きたロミオとジュリエットの物語ではないかと思います。
 冒頭にもお話しましたが、決して2019年の事件に関する謎解きの物語ではありません。この物語は許されざる者達の恋の物語だと私は思っています。

 是非ご覧になってみてください。(笑)

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