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本音は「北海道に帰りたい」

北海道を去って早いもので1年が過ぎようとしている。前回の投稿から約1年が経ったといもいえる。ご無沙汰しております。

昨年(2023年)春に北海道道東での仕事を退職すると同時に、単身赴任していた妻のいる関東某県へ引っ越し、入籍から約2年を経てようやく同居生活を始めることができた。

関東の濃緑な常緑照葉樹森とスギ人工林

北海道から関東への移住1年目はやはり、忙しい日々だったと思う。引っ越しを皮切りに、転職活動、新就職先での業務への順応、親戚や友人との交際、知人の死など、いろいろなことがあった。

この1年間に大きなハードルとなったのが、結婚にともなう苗字変更だ。我が家では、私(夫)が妻の苗字に姓を変更した。これにより、引っ越しと転職活動ではいちいち戸籍謄本を取得しなければならないなど、旧姓と現姓を照合させるさまざまな作業のせいで、手間と時間が少なくとも2倍には増えた。いまだ夫婦別姓が制度化されない古臭い日本の行政システムを何度恨んだことか。世の女性の苦労を身に沁みて実感した1年だった。若者のキャリア、自己実現、育児を考えた時、これは本当に不平等極まりない。

それでも、移住1年目としては心身と時間的な余裕をもったなかでよく順応できたと我ながら思う。シフト制で休日日数が少なかった前職時代と比べ、現在は月-金・9時17時勤務の準公務員待遇(非正規なのに給与もUP)で、仕事とプライベートにメリハリをつけて過ごせたのが大きい。体の疲労が残らなくなり、こんなに頭と体がうごくものかと驚きをもって実感している。働き方大事。

同時に、移住、田舎/都市生活の違い、文化・価値観の地域差、生活順応、自己のアイデンティティについて、深く考える機会にもなった。それはまた別の機会に。

個人的に、北海道から関東某県への移住にあたって戸惑ったことは、
「北方の自然と文化を感じられない(にくい)」
「原生的な自然が皆無」
であるということだ。前者はいうまでもなく、後者についても和人の歴史の長さから見れば当然なのだが、関東は至る所に人の手が入り尽くしてしまっており、大雪、知床、阿寒摩周、道東湿地群で慣らした私の頭と心がついていかない。四季をつうじてぴかぴかな緑の葉っぱが生い茂る関東の常緑照葉樹林はどうも落ち着かない。冬に雪がほぼ無いのもなんとも気持ちが悪い。どうもこうも仕方ないのはわかっているのだが、体に染み付いた北海道の自然への執着が、生活にギャップをもたらしていてそわそわするのだと思う。

北海道の落葉広葉樹林。鮮やかな新緑がまぶしい

関東での新生活は刺激にあふれ、ただ暮らしているだけでも日々はいつの間にか過ぎてゆく。北海道の地方部から首都圏近郊へ移住したことによる時間の体感速度はかなり速まった(たぶん加齢のせいもある)。道東で1時間半かけて大型スーパーに行ったり、5時間かけて特急おおぞらで札幌へ行くようなことは、関東ではもうしたくないとさえ思う。ある意味、心と時間の余裕は減ったのかもしれない。

移住が落ち着いたこれからは、生活を充実させることに重点を置きたい。まずは勉強に勤しみ、都市の文化的刺激を享受しようと思う。目指せTOEIC750点、そしてお金の勉強(簿記、投資)。それから、好きな音楽のライブに行ったり、ブラタモリ的街歩きをしたり、博物館美術館巡りをするのだ。


でも本音は、「北海道に帰りたい」。


北海道を代表する野の花、オオバナノエンレイソウ。会えなくて寂しい

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