見出し画像

梅雨なもんで色々考える。

雨の降る大山。時々館内に引きこもって色々考えております。もちろん、楽しいことばかりじゃなく、これから先、どうなるかわからない宿の不安な未来。まぁ、起こってしまったものは、受け入れるしかないよね・・って最後は、開き直るけど。とりあえず、私は開き直る力が悩む力より勝っていてラッキー。

昨日のこと来月宿泊予定の東京のお客様からキャンセルの電話。ずいぶん前から大山に来たいと聞いていたので、楽しみにされていたはず。キャンセルの理由は、鳥取県から、東京~鳥取行のバスは運休するように要請があった・・・とのことでした。だから申し訳ないけど、キャンセルせざるを得ない、必ず来るからその時はお願いしますね・・と。

ん???それってどういうこと?

GWの時もいきなり宿周辺の駐車場を閉鎖されて、国や県からの休業要請はなかったのに実質、無理やり休業に追い込まれる。もちろん、理由はよくわかっていた。確かにGWの時は、そう思ったし、閉鎖という判断は致し方ないこと・・と納得した。ただ、今回のバスのことが本当であれば、なんとなく、気持ちが悶々としてきた。

必要ない物と必要な物があって、社会は回ってる。不要の代表格「趣味」があるからこそ、重要である「仕事」が充実できる人だってたくさんいるはず。急にコロナになった時に、いらない無駄なもの・・と私たちはカテゴライズされた。会社勤めはOKで、サービス業はダメって・・・職業差別をされた気もした。世の中に、カフェがなくなり、エンターテイメントがなくなる、旅というものがなくなり、宿がなくなる。店は生きていくのに必要な物だけ販売。会話もなく、ただただ日々仕事だけに向かう。ウィズコロナってのは、そんな世の中だけ残っていくことなのだろうか???

コロナを持ち込まないため・・ということは十分理解してる、でも、宿泊業は、遊びに来てくれるお客さんがいて成り立つこと。コロナは怖いかもしれない、でも、私はこの仕事が好きだからこそ、対策をとって、お客さんを少しづつ迎えていく。不要不急を叫ばれてた時は、ぐっと我慢した。今だってまだまだたくさん我慢してる。でも、少しづつやっていかないといけない。

経済活動はまだ早い!という意見が多いのもよくわかっている。GOTOキャンペーン(※)に対するネガティブな意見も目にすることが多い。だけど、正直、ウィズコロナはどうしたんだ!という気にもなる。もう完全に消し去ることはできないし、共に生きていかないといけないって言ってるんじゃないの??これからはそういうライフスタイルをするんじゃないの??

※GOTOキャンペーンは予約サイトや旅行代理店を利用する宿でないと使うことができないため、最初から寿庵は除外されています。また、感染対策のガイドラインがかなり厳しく設定されるようで、万が一、感染があったら受け入れ側の対策が悪い・・と言いかねない姿勢が見え隠れしています。

ここまで来ると、鳥取県はGOTOキャンペーンから辞退する!と宣言してほしい。きっと高級リゾートへ行く人だけが最高級の感染対策をしてもらい、安全に楽しむだけじゃないのだろうか??なんとも、このキャンペーンを今する理由は、私にも理解できない。災害対策に回すべきお金ではないのだろうか?

国が経済活動を徐々に戻そうとして、感染防止策と社会経済活動の両立の体制を見直すために、新たに「新型コロナウイルス感染症対策分科会」なるものが設置。そのメンバーにも鳥取県知事が選ばれてる。表向きは、経済と感染対策を両立させる考えを持っているように思えるが、実際、鳥取県はそうじゃない。感染者が出ることにびくびくして、鎖国的な考え方をしている気もした。今回のバスの運休要請はそういうことじゃないだろうか?? 

ついつい不満が爆発し、愚痴が出る。仲間に伝えると、最近、県外から来た友達が温泉や銭湯を断られた・・という話を聞かされる。そんな話を聞くと、コロナ菌を持つすべてのものは排除。感染すれば、その事業所が悪く、持ち込んだ人が悪いと、風評被害が確実に起こる風土を作っている気がする。それにしても、県境という括りが大雑把な気がする。県境に何か見えない壁があるのだろうか??どこからどこまでにラインを引くのだろうか?

今まで、鳥取県はインバウンド(海外客)に対しても、積極的にプロモーションしていた。星取県になってみたり、蟹取県になってみたり。そういや漫画王国にも一時期なっていた。県民に対してではなく、すべて外に向けてのアピール。一時期は中国人をどんどん送り込むから・・を理由に、アリペイやウイチャットペイなど中国決済の導入を補助金を出してまで入れるように積極的に私たちへアピール。私は、特にインバウンド向けに宿をしているわけでないので、導入は丁寧にお断りした。

あれだけやってたのに・・何だったんだろうか?って気になってしまった。寿庵は地元のお客さんの利用が多い。開業時は県外からだったけど、そのうち、県内、しかも目と鼻の先に住んでいるような人も泊まりに来るようになってくれた。日本人を大事に、そして地元の人でも気軽にこれる宿を目指してきたので、なんとか、少ないながらも営業日にはお客さんが来てくれている。

6月に関しては、県民利用もそこそこあったので、独自にWeLOVE大山キャンペーン(※)をして、利用の県民客には手書きの割引券をプレゼント。

※鳥取県民に対して、最大3000円、うちの場合は1500円程度の割引が補助される、WeLOVEとっとりキャンペーンがあったけど、協賛しませんでした。そのため、その期間中(6月6日~7月12日)に宿泊してくれた県民には1000円引の宿泊割引券を作り郵送させていただいてます。まだの人は少し待っててね。

やっぱり県の考え方はコロナは悪で罪で排除しないといけないのか?なんだかよくわからない、表向きはそうでも無い態度をしてるんだけど、よくわからない。私たちは今後、どうやって行くべきなのか、なんかわからなくなってきた。万が一、感染者を出した場合、どこまで守ってくれるんだろうか?感染症対策に必要な経費の補助などはあるけど、風評被害に悩まされる観光地を救ってくれる対策はあるんだろうか??そこが一番、私も怖い点。

先日、こんな話をしてくれた人が・・

「長年蓄積した人間社会の発展の癖やインフラのなかでコロナは活動しているので急には対応できませんが、人が旅をすること自体も負けないくらいの歴史を持っているので、旅行業宿泊業が胴体真っ二つになる事はなく、ゆっくり適応していくんじゃないかと希望しています」

「あと、ササユリのリボン(※)からも感じたのですが、あれは人と花と大山の関係を結んでいるのですよね。小さいけど一つ一つ関係を結んでいく動きは、今、縦割り官僚制と県境によってざっくりと真っ二つに関係を切り、閉じていくことから守って生き残るための一隅の光なんじゃないかと思います」

「そして、寿庵のカレンダーの取り組みも面白いなと思いましたよ」

※先日草刈り役目があったのですが、その時に、誰かが草むらの中にあるササユリひとつひとつにピンクのテープを巻いてくれていました。だからこそ、刈払機で作業する人はそのリボンを見つけると、その周りだけ草を刈って次へ行くことができました。

そうだね、コロナのことは誰に怒りをぶつけるものでもない。怒り狂ったって何も解決はしない。国の感染対策のルールを守り、出来るだけの対策はとる。そして、お客さんにもそこを理解していただき、宿泊してもらう。県外からのお客さんも予約が入った以上はしっかり対応し、おもてなしをしてあげたい。あとは、小さいけど、関係をきちんと結んでいく作業をしていき、宿が再び、賑わう日が来ることを願って、丁寧にやっていきたいですね。

なんだか取り留めもない話になってしまった。ちょっと愚痴日記になったけど、色々考えたら今はすっきり。やっぱり不要な部分であると思われる「旅や山」は、みんなにとっては「癒しであり生きる」ということ。私にとっても、宿は生活を支え「生きる」ということ。私にとってのウィズコロナは、感染症対策をしながら、人生を楽しく生きる・・ということなのでしょうね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?