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読書記:滅びの前のシャングリラ

滅びの前のシャングリラよんだ。
風邪で寝込んでしまい一日で一気読みした。
表紙が美しい。

感想:荒唐無稽ファンタジーを
わたしは求めてないんだな〜とおもった。

ひと月後に地球が滅びるという荒唐無稽ファンタジーを下敷きに四人の視点で語られる物語。
読みやすくてうまい。
ところどころ伊坂さんを思い出す。
でも伊坂さんの切実までの実態らしさ、キャラクターの確固たる立体ほど迫るものはなく
やくざになりきれない男の肖像などは「…ソウネ、」てかんじだった。

いや、おもしろいとおもうんだけど
わたしが
荒唐無稽ファンタジーは肌に合わないんだなと思っただけで
わたしは
異世界転生も求めないし
それだけ。
おもしろいしうまいしうまい
各章のラストの見せ方もうまいしうまい
藤森さんの立体感もよかった

世界の終わりをひと月後とした荒唐無稽ファンタジーによって
ごまかされたまつわる小さなファンタジックエピソード
ひとこと「慣れてきた」て言われたらそっかー、てなるし
なんかまあ…こう…
よかったというかそうですかって話でした。かな。

荒唐無稽ファンタジーは求めないな、て感想だけだったんだけど
こうして書き始めてみると掘り進めたくなるな。(まとめてから章立てしたほうがいいですが)

これはいったいなんの物語だったんだろう。

藤森さんを守りたいいじめられっ子が強くなっていく物語で
自分には何もないと思ってたやくざがこれまででいちばん愛した女と家族を得られた物語で
愛した男から息子を守るために愛した男から家族を奪ったことを後悔してるけどやっぱり家族に見えて嬉しい物語で
家族に愛されていた歌姫の物語

それらと
ほんとうの家族からはみ出して養女となった藤森さんを中心に関係性と物語が紡がれていく

藤森さんは養父母家族を結局は信じず確かめることもしないことを選んで
その子を守るために走り出した母子家庭とその父親が家族になっていくところを見て
そこに自分もくわえられて幸せそうな家族と言われて
喜ぶ静香さん…

これ藤森さんなんも救われてないな…?笑

それぞれに事情があって愛や家族はそう美しいものではないが最後の時にしあわせならそれでいいよね、
でもないし
藤森さんは「いいなあ」って言ってて

歌姫のライブでシメるていうのが
刹那的こそサイコーて意味合いであるならまあそういうテーマだったのかな。

静香さんはずっと悔やんでたけど最後にちょっと救われてよかったな!の家族像に
藤森さんも含むのであればそれは
未成年の藤森さんにとってちょっと…グロテスクというか、、
藤森さんは養女として育ってずっと子どもという役割で生きることを強いられて救いがないのでは

藤森さんがlocoに対する運命の女神で
そのままだった。

養父母の声を聞くのも怖いままの子どもだった。

アニメになりそう。
白いワンピース着そう。
水色のストライプのノースリーブワンピ着てそう。

あと、
ひとはモラルを捨てると生きやすくなるのか?モラルがあるから自由に生きられないのか?あとひと月どう生きる?はまずはモラルを捨てるってこと?ていうのが承服しかねるというか…
殺人未遂、殺人、殺人犯、殺人、各所で殺人、やっぱり殺人、それを許す家族
殺人はそのままコミュニケーションの断絶でシャングリラというか滅んでる
あと地球滅亡を知る前に殺人なのもなんというか荒唐無稽ファンタジーに隠れたファンタジックエピソードよな…

わかったぞ
総括:荒唐無稽ファンタジーに通った芯をわたしには見つけられなかった
荒唐無稽ファンタジーに守られた物語だった

これは絵が上手いとおもしろい気がするまんがみたいな
文章がうまいとよかったと思う小説だった可能性…?

おもしろいな
感想メモしとくかとおもったらまあまあきつくなってしまった。
読後はそんな悪くなかったです。

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