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「大聖堂に訊く」 #大聖堂春のわくわく5日間

本日まで5日間続いてきた「大聖堂春のわくわく5日間」。
最終日の本日は、大聖堂にとって初めての「オフィシャルインタビュー」をお届けしたいと思います。
まだ誰も知らない結成秘話や、メンバーのルーツはこれを読めば全てわかります。

インタビュアーは大聖堂が音源をリリースしているレーベル「anon」の安藤勇作。全員初心者の中で行われる、ゆるいインタビューをおたのしみに。

なお大聖堂は最新シングル「プロポーズ」を先日リリースしたばかり。
ぜひこの機会に聞いてみてくださいね。

「大聖堂」ができるまで

安藤 大聖堂の皆さんよろしくお願いします。

全員 お願いしま〜す。

安藤 最初に大聖堂の結成のお話を聞きたいんですけど…どなたに聞けばいいんですかね。

尾花 誰なんだろう。

町野 多分誰もうまく説明できない(笑)

安藤 じゃあボーカルのヤスさんに聞いて、皆さんに補足してもらう感じで(笑)そもそもいつ始まったバンドなんですか?大聖堂というのは。

ヤス 2018年、みんなで初めて会ったのは8月です。大聖堂で関内でライブをやった時ですね。僕の解釈だと、僕を中心に樹形図的に連絡をとって…。

尾花:樹形図的に(笑)

ヤス:メンバーそれぞれに連絡をとって始めました。

安藤:高校の同級生だった成瀬さんと尾花さんと元ドラムの方(以下、元ドラム)と… 陽輝くんはどこで出会ったんですか?

ヤス:彼は元ドラムから教えてもらったのをきっかけに知り合いましたね。その当時は僕がメンバーに別々に連絡を取ってましたね。

尾花:(笑)

安藤:オーガナイザーだ。

尾花:ていうか、ヤスはLINEをやってなかったんですよ。

町野:スマホを持ってなかったんだよ。

尾花:そう、スマホを持ってなかったから、みんなで繋がれる手段がなくて、ヤスが各自と連絡をとってたんですよ。

ヤス:俺のせいでみんなのグループがつくれなかった…(笑)

安藤:じゃあヤスさんが連絡網的に各自とやりとりしていたんですね。そもそもヤスさんはなんでバンドをやろうと思ったんですか?

ヤス:えっと…バンドをやらなかったら…やることがないからですね。

安藤:やることがないからバンドを始めることになったと(笑)

町野:誘われた時のヤスのLINEの文言覚えてますよ。

尾花:なんて言ってた?

町野:僕に来たLINEは…。まず僕とヤスの出会いは、ヤスと僕の友達がやっていたバンドのライブを見に行った時に知り合ったんですよ。その時連絡先とか交換したんだと思うんですけど、僕から連絡したりしても全く帰ってこなくて(笑)
しばらくしたら突然「今曲を作っていて、(バンドを)一緒にやってくれるメンバーを探してるんですけど、どうですか?」みたいな(笑)

安藤:ああ、そんなプリミティブなLINEから笑

町野:「ああ、いいですよ…」みたいな感じだった(笑)

安藤:尾花さんと成瀬さんはヤスさんと高校が一緒ですよね。尾花さんから伺いたいんですけど、ヤスさんからどういう連絡がきたんですか?

尾花:その時私が大学四年生で、出身校へ教育実習に行ってたんですよ。それですっごいストレス溜まってて、ヤスとか大学入ってから全く連絡とってなかったんですけど、会ってみようかな、何してるのかなと思って。
ささくれ立った気持ちだったから、ヤスとかだったらマイルドな気持ちでおしゃべりできるかなと思って(笑)就活してる人にその時期に会うのとかは無神経かなと思ったんですけど、(ヤスは)就活とかもしてないだろうなと思って。

安藤:就活してなさそうなヤスさんだったら会えると(笑)

尾花:(笑)。バンドもやりたかったんですけど、会って色々な話をして、その後ぐらいからヤスが成瀬くんとか元ドラムに連絡を取ってくれたのを覚えてます。

安藤:じゃあバンドをやろうという最初の話は尾花さんとだったんですかね。

尾花:いや、どうだったんですかね。その時は「バンドやろう!」って感じで集まったわけでもなかったんですけど。

ヤス:でもバーナから大学在学中に、僕のシンセサイザーを借りたいっていう連絡が僕にきてて。

尾花:でもそのシンセサイザーは売っちゃってたんですよ。それで連絡は途絶えてたんですけど。めっちゃいいやつだよね。

ヤス:そう、めっちゃいいアナログシンセサイザーを持ってたんですけど。もう「売っちゃったよ」って連絡はしてたりして…

安藤:そういうきっかけでバーナさんとご飯行こうっていう話になって。その時にバンドの話もして。

ヤス:そうでしたね、多分。

安藤:成瀬さんはどういう経緯で連絡したんですか?

ヤス:成瀬くんとはスーパー銭湯に行ったりしてて。

尾花:普段からね(笑)

ヤス:普段からスーパー銭湯に行ったりしてたんで、スーパー銭湯いくぞみたいなテンションで、ベース頼むぞみたいな感じだったんですけど…
ちょっとあんまり覚えてないっすね。成瀬くんは覚えてると思うんですけど。

成瀬:まあでもそうですね、いまヤスが言ったみたいな感じで…

町野:成瀬くんはさ、ヤスと松田聖子バンドとかやってたよね。俺対バンしてるんすよ、そのバンドと。

安藤:松田聖子バンド?

尾花:コピバン?

ヤス:そうだね、サークルのヤツ。元ドラムが僕らを誘ってくれたりしてライブによく出ていたんで、大聖堂のリズム隊と僕は結成前からよく合わせたりしてましたね。

尾花:そこにささくれ立った私が加えてもらった。

ヤス:来ていただいて。ただちょうど成瀬くんと元ドラムは就活真っ只中みたいな感じだったんで、バンド自体はぬるっとはじまったというか。最初は三人(尾花・ヤス・町野)でスタジオ入ってて。

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成瀬:就活してない三人ってことですね。

一同:(笑)

町野:俺は大一だったんだよ!(笑)

尾花:入学したて(笑)こないだまで高校生だったみたいな頃だよね。

安藤:陽輝くんは元々バンドをやってたりしてたってことなのかな?

町野:僕は元ドラムとかがいた、青学のビートルズ研究会っていうサークルによく遊びに行く高校生だったんですけど。今サポートドラムをやってる和音くんも青学出身なんですけど、彼とバンド組んでたんですよね。それで超絶部外者なんだけどよく部室を練習に使わせてもらってて。

一同:(笑)

町野:そこで和音くんと僕含めて6人ぐらいでやっていたバンドがあったんですけど、そのバンドが大学入学する前の年の11月ぐらいに解散しようってことになって。じゃあ僕も大学行こうかなって思い始めて。

安藤:それまでは大学に行こうと思っていなかった?

町野:高三の夏ぐらいに、みんな行ってるし大学行くか〜みたいになって。バンドメンバーに日替わりで勉強を教えてもらって、大学に入るっていう笑

尾花:優しいねみんな。

安藤:バーナさんはその当時大学生でしたよね。

尾花:大学4年生でした。大学は音楽学部で、エレピだけで一人演劇に音楽をつけたり、それを公演で実際に生演奏したりしてました。同時期に大きなバンドサークルに入ったりもしていて、そこでやってもやらなくてもいいみたいなコピーバンドをやって体力を使ってました(笑)めっちゃ後悔してます。

安藤:”めっちゃ後悔”してるんだ

尾花:もっと有意義なことすればよかったなって(笑)

一同:(笑)

安藤:成瀬さんは当時大学四年生ですよね?

成瀬:そうですね。就活しなくちゃなと思ってて。まあそうですね…イヤイヤ就活というか…てなかんじですね。

ヤス:なんで大学職員にしたんだっけ。

町野:俺覚えてるよ(笑)

尾花:私も覚えてる(笑)

成瀬:なんか最初はぼんやりマスコミがいいなと思ってたんですよ。でも色々調べ始めたら、マスコミめちゃくちゃ激務じゃんってわかって。

一同:(笑)

尾花:ほんと気づいてよかったよね。

成瀬:気づいてよかった…。で、やだなーと思ってたら、一人真面目に就活してた元ドラムが「大学職員がいいらしいよ」って言ってて、「元ドラムが言ってんだったらいいのかな〜」とか思ってて。

安藤:なるほど(笑)

成瀬:まあでも、ボロボロでしたね。いろんな会社とか、大学にES出したりもしてたんですけど、間に合わなくて出せなかったりして…今の職場は当日消印有効でほんとよかったなって…

一同:(笑)

尾花:笑い事じゃない(笑)

安藤:じゃあ成瀬さんは周りに比べると少し遅い就活のスタートだったと。その時は「僕はこれから仕事をする」っていう部分もあるわけじゃないですか。そんな中でバンドをやろうっていう話があった時は、どういう心境でしたか?

成瀬:心境としては…そんなに大層な話な話だとは思ってなかったですね。こんなに曲を配信するとかも思っていなかったし…

安藤:じゃあこれまでヤスさんらとやっていたバンドを始めることと同じような感覚だったと。

成瀬:そうですね…オリジナル曲やるんだ、びっくりみたいな。

ヤス:全然びっくり感なかったけどね。

安藤:でも成瀬さんは心の内ではびっくりしてたんですね。

成瀬:…びっくりはしてないですね。

尾花:してないんだ!?(笑)

成瀬:ちょっとよくわかんなくなってましたね。

安藤:かなりカオスな結成秘話ということで…

尾花:うまく説明する方法を考えたい。

ヤス:でも少なくとも始めた時は、今みたいにリリースいっぱい出すみたいなことは想像してなかったと思うし、アルバムを出すぐらいでようやくバンドとしての実感が沸いてきましたね。それまではみんなそれぞれに変化のある時期だったんで。時間とお金を工面しながら、みんなで集まって探り探りやってきた感じですね。僕がハブだったんで。僕が「ハブ康博」です。

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大聖堂活動開始

安藤:そこから初めてリハに入ったのが2018年の6月、その時はもうオリジナルをやっていたんですか?

ヤス:そうです。デモをつくってみんなに配ってリハで試すっていうことをやっていたんですよね。でも最初のリハはベースとドラムもいなかったし、右も左もわからないなかで手探りでやっていましたね。僕はひよっこだったので。今も全然まだ鶏じゃないんですけど(笑)

安藤:(笑)。じゃあ大聖堂のフルメンバーが揃った回というのはいつなんですか。

尾花:リハですか?ライブ?

町野:ライブだよ。しかも「大聖堂」じゃなかったです。「ザ・ポケッツ」っていう名前で(笑)

尾花:そう。大聖堂は最初、ヤスが「固定のバンド名を付けたくない」って言ってて、毎回名前が違ったんですよ。「ザ・ポケッツ」とか、「ビートルです」とか(笑)

町野:あったあった!(笑)

安藤:ヤバ。なんで名前を固定にしたくなかったんですか?

ヤス:バンド名を決めるとかってなんか恥ずかしくて。でも…何考えてたのかわかんないですね。

尾花:確かに、まだその時は名前を決めるってほどの結束力もなかったんですよ。

安藤:初ライブの前にはリハにも入っていたんですよね?

町野:はい。でもその時はまだベースも成瀬くんじゃなかったですね。

安藤:じゃあ初ライブではメンバーもまだ固まっていなかったんですね。

町野:そう、で初めてのライブの時に成瀬くんと元ドラムが遊びにきてくれたんですよ。

安藤:あっ、プレイヤーとしてではなく、観客として?

町野:そうです、その時はお客さんとして来てくれて。で、ライブ終わった後にみんなで喋って「実はこの人たちメンバーになるんだよ」みたいな。

尾花:(笑)

町野:「ああそうなんだ、初めまして〜」みたいな感じでしたね(笑)

安藤:そんな「再婚」みたいな出会いだったんですね。

尾花:「新しいお母さんになる人だよ〜」みたいな(笑)

一同:(笑)

安藤:そこから「大聖堂」が本格的にバンドとして活動していくことになると思うんですけど、そこからみなさんが実際に結束を持って「僕たちが大聖堂だ」という気持ちになったタイミングはいつですか?

町野:それはまだ先ですね…

尾花:今もまだ…(笑)

安藤:(爆笑)

町野:今もまだゆるふわ状態ですね(笑)

ヤス:結成当初はデモも酷くて、リリースもしていなかったし、ライブもノルマ高いブッキングに適当に出てみたり、意思を持ってバンド活動はしていなかったですね。

尾花:でももちろんお客さんもいないし…みたいなことを半年ぐらいやってましたね。

ヤス:コンスタントにリハスタだけは入ってたみたいな感じですね。

尾花:なんかさ、メンバーでただ話すだけに会うっていうのを一回やった記憶があるんだけど。レコードかけてくれるお店で。

成瀬:ああ、あったあった。

尾花:「ライブこんなにやっててもマジで意味ないからレコーディングするか、やめるか決めよう」みたいな(笑)結構殺伐とした雰囲気のミーティングを渋谷のBYGっていうお店でやったんですよ。その時に煮詰まっちゃって、結局「せっかくだしアルバム一枚作ってみようか」っていう方向に無理矢理持っていって。

ヤス:バーナがまとめてくれたね。

尾花:そう。せっかくいいお店だったのに楽しめなかったのが残念だったけど。その話し合いの直後ぐらいに元ドラムが辞めるって言ったんですよね。でもアルバムはやるっていう話し合いもしてたから、アルバムの曲までは叩いてもらいました。

安藤:なるほど、そうしてできたアルバムが2020年の「大作戦」…あれっ、2018年の冬はその話し合いがあって…ん?

町野:そう、「大作戦」はそこから一年ぐらいかけて作ったアルバムだったんですよ。2019年の夏まではライブとかも並行して出てたし。

尾花:そう。でもライブは2019年の8月にやめました。

ヤス:イタリア行ったやつ(町野)とかもいたし。

尾花:大聖堂は陽輝が旅行に行くと活動が停止するバンドなんで(笑)

町野:年二回停止するんで(笑)だから去年(2020年)はスピード感良かったですよ。

安藤:だからアルバムもEPも出たっていう(笑)

ヤス:かなりスピード感を持って動けてたよね。

初アルバム「大作戦」〜「愛の惑星」リリース

安藤:2019年の一年をかけて「大作戦」を作るという。その時はそれぞれ就活した人がいたり、学生を続けている方もいたと思いますが。

成瀬:そうですね、ちょうど就職した直後ぐらいで「ちょっと死んじゃうのかな」と思いながらベードラを録ってましたね。体力的にきつかったし。

尾花:間違いなく成瀬くんが一番大変だったと思います。

安藤:そうしてできたアルバム「大作戦」が2020年にリリース。

ヤス:QUEENのベーシストが言ってたんですけど、「アルバムを出していないバンドは存在していないのと同じだ」って言ってて。僕らは目立った活動もなかったけど、形に残るものがあればバンドをやっているということを証明できるし、事実、色々な人に聞いてもらうきっかけにはなったと思うので。一つ形を作るということをやれてよかったなと。

安藤:活動初期のバンドが初めて盤を出す時、「アルバム」という形態は珍しいと思うんですけどそこにはこだわりがあったんですか?

尾花:ヤスが色々なデモを出してくれたので、5曲ぐらいのEPとかで偏った音楽性に見られるよりは、頑張っていっぱい録って、色々な側面を見せられるような、名刺替わりの一枚ができるといいなと思ってアルバムにしました。

町野:最初2枚組の二十数曲構想でした(笑)

尾花:10曲選ぶのが難しかったですね。没になった曲もいっぱいあって。

安藤:いやでもほんとに素晴らしいことですよね。こんなに最初からアルバムつくれるバンドも少ないので。普通はライブをある程度積み重ねて、ライブハウスで音源録って会場限定でCD売って、みたいな流れが多いじゃないですか。でも最初から「作品を残すことで知ってもらおう」というのは、バンドとして素晴らしいなと思いました。

尾花:サブスクとかでいいバンド見つけても、シングルが二枚とかだけだと「今日はこのバンドの曲聞こう〜」とかそういう気持ちになれなくて。やっぱりアルバムで聴きたいって思うことが個人的に多かったのもありますね。

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安藤:大聖堂はそこから2020年の夏には「夏の終わりEP」をリリースします。これはやはりアルバムが元々2枚組想定で考えていたぐらい、ヤスさんのデモがどんどん生まれて来ていたという状況からの制作だったんでしょうか。

ヤス:「大作戦」を作っている間にも「夏の終わり」のデモはできていたので、とにかくスピード感重視で出しましたね。

尾花:(アルバムに)一年かかっちゃったのを反省してましたね、みんな。

町野:あと「大作戦」はライブでやってた曲をほとんど入れていて、最初のアルバムにしてベスト盤みたいな感じだったから、次はコンセプトがある作品にしたいねってことで「夏の終わり」の楽曲たちを選んだ感じですね。

安藤:そしてこのEPを経て、「愛の惑星」を12月に出すという。この曲は現在制作中である、次のアルバムへ入れることも見越した曲でもあって。

ヤス:そうですね、「愛の惑星」と「プロポーズ」は「夏の終わり EP」を録ってる間にデモができてて、すごい良い曲だから早くレコーディングしたかったですね。だからアルバムはそこまで考えてなかったというか。

尾花:「夏の終わり EP」を作るってなった時に挙がっていた候補曲が、もうすでにアルバムをもう一枚作れるぐらいあったんですよ。でも選ばないといけなかったから、「夏の終わり EP」の収録曲を決めた時の議事録にはすでに「大恋愛」(次期アルバム仮タイトル)の曲目を書いていたのを覚えてます(笑)

安藤:なるほど。どんどん曲ができるからそれをどんどん形にしていこうという気持ちで楽曲制作は進んできたという。

メンバーの音楽ルーツ

安藤:話を変えて、メンバーが音楽を始めるまでの経緯や、ルーツについて聞きたいんですけども、ヤスさんはいかがですか?

ヤス:僕は…両親が買い物に出かけていたときに、キーボードをめっちゃ練習してビートルズの曲を耳コピしたんですよ。それを親に聞かせたらすごい喜んだんですよ、小学生の時。その時は気持ちよかったですねえ。

一同:(笑)

安藤:それが音楽をやりたいという原体験になったと。最初に練習した曲がビートルズ。

ヤス:ビートルズのCDがうちにあって。僕はNINTENDO DSを持ってなくて、(ポケットモンスター)ダイアモンド・パールができなかったからビートルズを…(笑)

一同:(笑)

ヤス:そっから音楽に入ってきましたね。基本的にはビートルズ、途中でオレンジレンジが入ってきたりもしましたけど(笑)原体験ですね。

安藤:なるほど。バーナさんはどうですか。

尾花:私はちっちゃい時からピアノをやってました。ピアノの先生が変な人で、教え方が面白くて。それでクラシックが好きになっていったのを覚えています。あと父がブラジル音楽をやっていたので、ブラジルの古い音楽をやったりしてました。でも友達はみんな外で遊んでいるのに、なんで私一人だけ家でピアノ練習してるんだろう?って辛くなったので、中学では吹奏楽部に入りました。昔からみんなでやるのが好き。「合奏」が好きでした。

安藤:なるほどですね。成瀬さんはいかがですか?

成瀬:そうですね僕は…子供の時の楽器経験とか全然なくて。高校入って、軽音楽部入って。姉がもともとベースをやってたので「じゃあベースかな…」みたいな感じですね。

安藤:一番身近な楽器がベースだった。当時聞いてた音楽とかあるんですか?

成瀬:そうですね、フジファブリックが好きで。中学生の時とかはほんとに大好きだったので…「鬱陶しいファン」をやってましたね。「(フジファブリックが)好きじゃない意味がわからない」みたいな。愛はデカかったっすね。

安藤:「愛はデカかった」。なるほどですね。ちなみに成瀬さんとヤスさんと尾花さんは高校の同級生という関係性もあるわけですけど、その当時はどんな間柄だったんですか。

成瀬:そんなに関わりなかったけど、唯一「Stand By Me」とMaroon 5の曲をやるバンドを、僕、元ドラム、ヤス、バーナさんとかでやった気がする。

尾花:…やった。当日歌の人が来なかったやつだ。

安藤:(笑)

尾花:で、ヤスに代わりに歌ってよって言ったら「絶対無理だよお」って言われたのを覚えてます。でも私そのバンドやってた時も成瀬くんとほとんど喋ったことなかったです。

安藤:よくそれでMaroon 5やろうと思いましたね。

尾花:会話はなくてもMaroon 5はできますからね。

一同:(笑)

安藤:なるほど、Maroon 5がつなげた3人だったと。

成瀬:まあ大体そんな感じですね。


安藤:「大体そんな感じ」(笑)
陽輝くんはどういう原体験があって音楽に出会ったんですか?

町野:小学校一年生の時に、ギターを弾いてるストリートミュージシャンに出会ってギターかっこいいなと思って、6歳で近所のギター教室に通い始めたんですよ。そこからずっと続けてて、中学ぐらいにはギターも随分弾けましたね。

安藤:ちなみに誰か聞いていたアーティストはいましたか?

町野:そうですね、僕、楽器は好きだったけど音楽が好きじゃなくて。すごく疎かったんですよね。
でもプロのギタリストを目指そうと思って色々調べてたら、どうやら「ギター弾いてる人ってみんなめっちゃ音楽好きそうだぞ?」ということに気づいて(笑)

一同:(笑)

町野:「俺ギターは弾けるけど全然好きなギタリストとかいねえ!」ってなって、大丈夫かなって思い始めて。ハードロックとかから聞き始めましたね。そっから掘ってたんですけど、掘るスピードが速すぎて、中三ぐらいにはチャック・ベリーより前の音楽聴いてましたね。

安藤:周りに追いつこうという気持ちもあって。

町野:そうですね、でも追いつきすぎちゃいましたね。なんなら追い抜いちゃってて同世代で喋れる人いないなみたいな(笑)

安藤:ちなみに聞きそびれちゃったんですけど、バーナさんはこれまで聴いてきた音楽ってどんなものでした?

尾花:私も中学ぐらいまではオレンジレンジしか知らなかったけど…中学生になってTSUTAYAのTカードを作ってからはずっとaikoを聴いてます。一番aikoが好きです。バンドを始めたのもaikoの憧れからかもしれないですね。

安藤:ロールモデルはaiko?

尾花:aikoがロールモデル…ってよりかはずっとaikoの後ろで鍵盤を弾いてる佐藤達哉さんがロールモデルです(笑)

一同:(笑)

尾花:クラシックしか知らなかったし、元々インターネットを使える子供でもなかったので、TSUTAYAが情報網でした。aikoからYUKIを聴いたり、椎名林檎を聴いたり。そのあと高校の軽音部でいろんな音楽を教えてもらいましたね。

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みんなヤスのことが好きだから

安藤:こうしてルーツも音楽体験もバラバラなみなさんが集まって今、「大聖堂」というバンドとして「ポップス」という音楽をやっているわけですよね。なんだろう、どうして「大聖堂」というバンドをやりたいという思いが出てくるんでしょうか。

尾花;他のみんなもそうだと思うけど、やっぱりヤスのことが好きだからじゃないですか。

ヤス:(目頭を抑えるふり)

尾花:いいデモがたくさんあるのに、私たち四人だけしか知らないのはもったいないから、頑張ってリリースしようって思ってます。

町野:うん。そうです。ジャンルとかっていうより、ヤスが送ってくる曲が好きだからですね。4人でいるのも居心地悪くはないし(笑)

尾花:すっごく仲良くはないですけどね。わかんない、私以外は超仲良いかもしれないですけど(笑)

安藤:でもなんか大聖堂って独特ですよね。毎日ずっといるわけじゃないし。

尾花:いれない(笑)

ヤス:休暇とかができて音楽とか関係なく遊びに行こうってなっても、このメンバーでは遊びに行かない(笑)

尾花:絶対行かない(笑)

ヤス:行ったら行ったで楽しいと思うすけど、そういう仲ではない。

安藤:なんでそう言い切れるんでしょう?

町野:そうすね、なんだろう、友達ではないんですよ(笑)

安藤:あ〜。

ヤス:たまにみんなからすごい礼儀を感じたりするんですよ。ああちゃんと接しなきゃいけないな、なあなあにしちゃいけないなっていうことをその度に感じて。バンドがつまらないことで崩壊することはあってはならないし、健全な人付き合いを持ち続けたいから、この感じでいいんだと思います。

安藤:でも、大聖堂のこの感じはすごい素敵だと思います。同じ方向に向かって「ウオー!」って突き進んでいくバンドもいるけど、大聖堂は全員がそれぞれ別の方向を向いているように見えて、音源やライブで垣間見えるバンドとしてのまとまりはしっかりとあるという。

尾花:それはみんなヤスが好きだからだと思います。

安藤:ヤスさんいかがですか?こんなに好きって言われて。

ヤス:いや〜、でも「好きじゃなかったらやってないだろう?」っていうのは冗談で(笑)礼節を欠かさず、いい曲を作り続けて、ずっといい関係でいたいっすね…。なんか恥ずかしいけど、それに結実すると思います。

安藤:これ僕も普通に気になるんで聞きますけど、すごいバンドが忙しくなって、みんなで一緒にいる時間が増えたとしたら、大丈夫ですか?

尾花:頑張れるかなあ…(笑)

ヤス:でもなんか音楽ありきの目標であれば、みんな同じ方向を向けると思います。

尾花:理由なくは(同じ方向を向くのは)無理そうですけど(笑)

一同:(笑)

安藤:音楽という媒介がみなさんをつなげているということですね。

ヤス:やっぱ集まるならリハがいいんです。リハが一番楽しいんです、多分。

安藤:成瀬さんはいかがですか。大聖堂メンバーのことどう思ってます?

成瀬:いやあ、「いい人たちだな」って…

一同:(笑)

成瀬:いやほんとにほんとに。めっちゃいい人たちだと思いますね。

安藤:音楽やる時以外でも会いたいと思います?

成瀬:逆に毎日会いたい人なんていないんじゃないかなあ。

一同:(笑)

安藤:いなくはないと思いますけど(笑)

成瀬:まあ…相対的に見れば毎日一緒にいれるぐらいっすよ。毎日居れる度で言えば…

安藤:なるほど、全人類と比べれば…(笑)

一同:(笑)

成瀬:ずっといたくはないですけど。

ニューシングル「プロポーズ」について

安藤:最後に、今回リリースしたシングル「プロポーズ」についてもお伺いしたいんですが、今回の楽曲はいかがですか?ヤスさん。

ヤス:これまでリリースした曲の中では一番いい曲なんじゃないですかね。曲がいいっすね、とにかく。大聖堂の中では僕の一番のお気に入りです。

安藤:「胸の中」はいかがですか?プロポーズのコードを用いたバラードですけど。

ヤス:そうですね、こういうリード曲のコードをカップリングに持ってくるとかは、大聖堂の名物にしたいですね。そういうアイデアを売りにする曲を作りたいし、バンドになっていきたいですね。

安藤:メンバーの皆さんは、この2曲はどうですか。

尾花:「プロポーズ」はいい曲です。でも私は「胸の中」のデモが来た時の方が感動しましたね。A面である「プロポーズ」を立てる、B面然とした曲であるっていうのがいいなあと思います。

安藤:陽輝くんはいかがですか?

町野:「プロポーズ」ってめっちゃいい曲だと思うんすよね。何も言わなくても聞けばわかるというか。メロもいいし楽器の絡みもいいし。和物ポップスの原風景みたいな曲だなと思っていて。この曲のデモが来た時バーナが「ユーミン越えだね!」って言ってて。

尾花:そんなこと言ってない!(笑)

安藤:「ユーミン越え」!いい言葉だな〜。

尾花:それぐらい感動したんですよ。

安藤:成瀬さんはいかがですか?

成瀬:そうですね…やたらいい曲ですね…まあ…あの…そろそろ寝ようと思います。

一同:(笑)


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