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乳房炎検知!伝導率とは?

乳房炎の検知には様々な方法があります。

これは乳房での細菌の感染に伴って生理学的、物理学的、化学的に様々な変化が起こるためです。乳房炎の検査方法は何を指標にするかによってそれぞれアプローチが異なります。
例えば、これまでの研究で有用であると言われているものは体細胞数、乳糖濃度、電気伝導度(伝導率)、NAGaseなどが報告されています。

最も広く使われているのは体細胞数であり、カリフォルニア式乳房炎検査薬(CMT: California Mastitis Test)PLテスターがよく使われています。検知率も簡易的に検査できる割には高い検知率を示しています。

体細胞数に関する記事は以前にまとめた事があるので、今回は電気伝導度とはなんなのかについてまとめてみたいと思います。

電気伝導度は最近になって割と耳にする機会が多いのではないでしょうか?
聞いたことはあるよ!って人でも、ちょっとなんのことかわかってない方もいらっしゃるかと思いますので、軽く説明した後に詳しい話をしていきたいと思います。

電気伝導度とはその名の通り「電気の伝わりやすさ」を示しており、電解質(Na、K、Mg、Ca、Clなどの金属イオン)を多く含む場合、電気は伝わりやすくなります。

12月からNetflixで放送が始まった『ジョジョの奇妙な冒険〜ストーンオーシャン』で、エルメェスと自殺の道連れにするスタンドを持つサンダー・マックイイーンとの戦闘シーンで、体に電気がよく流れるように生理食塩水をかぶるシーンがありました。
生理食塩水はNa、Clを含むため電気を通しやすいと言う性質を利用したものなのでしょう。ちょっと印象的でした。

話はそれましたが、なぜ乳房炎の検査に電気伝導度が使えるのかというと、乳房炎を起こしている乳房の乳は、健康な乳房の乳と比較して、電解質の濃度が高くなるためです。

なぜかというと、細菌感染によって乳腺細胞が損傷を受けると細胞内のNaイオンやClイオンなどの電解質が乳汁中に流れ込んでしまうからです。

つまり、言い換えると、電気伝導度は乳腺細胞の損傷を表しているとも言えます。

電気伝導度を指標として用いる場合は、一時点におけるデータで判断するのではなく、長期的・経時的にみてどのくらい変動しているかで判断する必要があります。

このような観察の仕方をした場合、健康な乳房の伝導率は日々の変動幅が小さく小刻みとなり、乳房炎の場合は変動幅が明らかに大きくなります。


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