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【文化財紹介】大阪最古の新聞屋さん(国の登録有形文化財)

大阪歴史倶楽部です。

大阪市平野区ひらのくにあります「現存する大阪市内で最も古い新聞販売店」と言われている「小林新聞舗こばやししんぶんほ」さんをご紹介いたします。

小林新聞舗とは
小林新聞舗こばやししんぶんほは、大阪市平野区ひらのく平野本町通商店街ひらのほんまちどおりしょうてんがいの中にある街角の新聞屋さん(朝日新聞販売店)です。

いまから90年以上も前の1929(昭和4)年に建てられた鉄筋コンクリート造り2階建ての店舗と木造の居住部分からなる建物です。今回は店舗の部分を紹介させていただきます。現在は店舗の前には商店街のアーケードがあります。この小林新聞舗さんは「新聞屋さん博物館」となっていますが、現在は建物の中は見学不可となっているようです。

小林新聞舗の店舗部分(東から)
店舗正面入口(北から)
店舗正面中央2階部分(北から)
小林新聞舗の店舗部分(西から)

この小林新聞舗さんの店舗は、大きなビルディングではありませんし凝った装飾もないのですが、重厚で存在感があり、時代の雰囲気を感じさせる建物だと思います。外観はとても良い状態で残っています。

文化財データ
小林新聞舗
大阪市平野区平野本町4丁目12-3
(平野本町通商店街内)
1929(昭和4)年 竣工
日本国登録有形文化財
写真:2021年10月大阪歴史倶楽部 撮影

※新聞屋さん博物館
http://asahi-kobayashi.com/museum/

ちなみに、大阪・中之島なかのしまにあった当時の朝日新聞大阪本社(大阪朝日新聞社)のビルは下の写真ような建物で、1916(大正5)年に完成しました。当時としてはたいへん珍しかった鉄筋コンクリート造りで、しかも高さ40mの時計塔を持っていたので当時から名建築・大阪市の名所のひとつとして知られていましたが、1965(昭和40)年に解体されて建て替えられました。

当時の朝日新聞大阪本社ビル
『大阪市大觀』1925年より
(九條正博 蔵/パブリックドメイン)
上の写真を大阪歴史倶楽部が自動でカラー化を試みました

【豆知識】
日本を代表する新聞社(五大紙)のうち、朝日新聞・毎日新聞・産経新聞は大阪市で生まれました。朝日新聞は1879(明治12)年に、毎日新聞は1882(明治15)年の『大阪毎日新聞(大毎だいまい)』をその起源のひとつとして、また産経新聞は1922(大正11)年の『南大阪新聞』を起源として生まれました。大阪市は近代的な新聞文化の発祥の地と言えるかもしれません。

小林新聞舗さんはいまも現役
今回ご紹介いたしました小林新聞舗さんは、現在もこの建物の近くで朝日新聞の販売店として現役で営業されています。たんに新聞の販売や配達のみならず、地域紙を発行したり地域のイベントを企画したりと、メディアの最前線として地域の賑わいや発展に貢献されています。


小林新聞舗への行き方
小林新聞舗へは、大阪メトロ谷町線たにまちせんの「平野ひらの」駅4号出口から北東へ約1.1km(徒歩約20分)です。

平野ひらの」駅4号出口を出てまっすぐ東へ700m(徒歩15分)ほど進むと「平野本町ひらのほんまち5丁目」の大きな交差点があります。そこを左折して(すなわち北へ曲がって)まっすぐ300m(徒歩5分)ほど進むと信号のある小さな交差点があります。交差点の左側(すなわち西側)には平野本町通商店街ひらのほんまちどおりしょうてんがいのアーケードがありますので、そのアーケードの中に入って(すなわち西へ向かって)まっすぐ100m(徒歩1分)ほど進むと左側に小林新聞舗(「新聞屋さん博物館」)があります。


おわりに
ここでご紹介いたしました小林新聞舗さんの建物を見学したり写真や動画などを撮影されるときには、商店街を利用されている人たちや周辺にお住まいの方々のご迷惑にならないようご配慮をお願いいたします。

また許可なく小林新聞舗さんをはじめ他の人の敷地内に入ったりしないようお願いいたします。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


(『大阪歴史倶楽部』第2巻第10号通巻20号2022年3月12日)

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