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【グラフ大大阪】大阪の街を走る現役日本最古の路面電車
大阪歴史倶楽部です。
大阪市内の南部(いわゆる「ミナミ」といわれている難波を中心としたエリアよりもさらに南の地域)には、いまも昔懐かしい路面電車が走っています。
阪堺電車
阪堺電気軌道(略称:阪堺電車)は、1910(明治43)年創業の私鉄路線です。さらに遡ればこの阪堺電車は、1895(明治28)年創業の大阪馬車鉄道を前身とするとても古い会社です。地元の人たちは親しみをこめて「ちん電(ちんちん電車の略)」とも呼んでいます。大阪府下では唯一残っている路面電車の路線です。
現役日本最古の車両
さて、この阪堺電車には、現役で日本最古の車両が走っています。それは「161形」という系列の車両で、1928〜31(昭和3〜6)年に製造されたものです。ちょうど大阪市が繁栄を極めていた「大大阪時代」のさなかに造られた車両です。
この「161形」電車は、冷房装置未搭載(車体の構造の関係で搭載不可能)なので、毎年秋の中頃から翌年の春の中頃までしか運転されません。その他のシーズンはひたすら車庫で眠っています。
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個性的な電車たち
そのほかにもこの阪堺電車には、かわいいパンダ電車や2020年にデビューした最新型の超低床型トラムなども走っています。
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(浦辺研究所『日本を走る鉄道車両図鑑』より)
※非商用に限り転載可・使用許可申請不要の画像です
路線と沿線
阪堺電車の路線は2つあります。1つは大阪市阿倍野区の、あべのハルカスの麓の「天王寺駅前」駅を出発する路線(上町線)。もう1つは大阪市浪速区の新世界や通天閣のすぐそばの「恵美須町」駅を出発する路線(阪堺線)です。
【上町線】
上町線は途中、安部晴明の生誕地である安部晴明神社があり、また小説家の梶井基次郎が最晩年を過ごした家もあった「東天下茶屋」を通り、大阪屈指の高級住宅地の「北畠」や「帝塚山」などを経て住吉大社のある「住吉」停留所に至ります。
【阪堺線】
阪堺線は、新世界南端で動物園やスパワールドがある「新今宮駅前」や昭和時代の雰囲気がまだあちこちに残っている人情味あふれる下町の「北天下茶屋」、千利休の師匠である武野紹鴎が晩年を過ごした「天神ノ森」(紹鴎の森)などを経て住吉大社のある「住吉」停留所に至ります。
この2路線は「住吉」停留所で合流し、住吉大社門前の「住吉鳥居前」停留所を通って南下し、やがて一級河川の大和川を越えて大阪市の南に隣接する堺市に入ります。
堺市内では与謝野晶子の生誕地であり、現在「さかい利晶の杜」(千利休・与謝野晶子記念館)がある「宿院」停留所などを経て1873(明治6)年に造られた我が国最古の公立公園である浜寺公園ゲート前の終着駅「浜寺駅前」駅へと至ります。
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2022年 大阪歴史倶楽部 撮影
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2022年 大阪歴史倶楽部 撮影
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2022年 大阪歴史倶楽部 撮影
幸運の電車?
最後に、阪堺電車の「161形」電車ですが、数が少なくなっていて、また上記のように走るシーズンも限られていますので、もし乗ることができれば幸運なのかもしれません。
路線データ
◎上町線(天王寺駅前~住吉~浜寺駅前)
所要時間:約50分(直通電車)
◎阪堺線(恵美須町~住吉〜浜寺駅前)
所要時間:約60〜70分(※途中1回乗換あり)
乗車料金:全線(大人)230円均一(2022年1月1日現在)
※阪堺線には「浜寺駅前」駅ゆきの直通電車はなく、途中の乗換指定駅である「我孫子道」駅で乗り換えなければなりません。なおこの乗り換えでは乗車料金は加算されません。
※「さかい利晶の杜」展示室内の写真は全て許可を得て撮影し掲載しています。
【関連項目】
(『大阪歴史倶楽部』第2巻 第1号 通巻11号 2022年1月1日)
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