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はりぼーの独り言#1 「就活生よ!とりあえず戦コンという考えは危険だ」

(前置き) noteではメインの連載「実践!地頭トレーニング」を通じて、会社の若手3人と実際に行った地頭トレーニングの内容を公開しています。ご興味ある方はこちらにアクセスしてみてください。「はりぼーの独り言」では、私の仕事人生で経験したこと、気がついたこと、或いは考えたことをゆる〜く書き残していきます。本編の地頭トレーニングではガチで論理的思考の話をしていますが、番外編の独り言はどちらかと言えば論理では扱えないソフト系の話しです。あくまではりぼーの考えなので異論反論はあると思いますが、一つの考えとして受け流してください。独り言なので言いっ放しで責任は取りませんのであしからず。

こんにちは、はりぼーです。
さて初回の独り言は「就活している学生の皆さん、とりあえず戦略コンサルティング・ファーム(略して戦コン)に就職し、いずれ転職しようという考えを持っていたとしたら、それは危険です」という内容です。きっかけはこちらの記事でした。

東大・京大の就職人気「コンサル1強」が実は危険な理由 (以下引用)
学生の志向も変化してきた。「大企業に入れば一生安泰という時代ではないので、自分でスキルを身に付けて生き抜いていくという、スキル志向が高まっています。転職を見据え、仕事を通じてさまざまな業界を研究しようと考えてコンサルに入る人も多い。いわば働きながら就活できるという『モラトリアム』の発想です」(同)という。

高年収で、高いスキルが身に付いて、転職の際にも有利――。そうしたイメージを持つ学生が「なんとなくコンサル」を選ぶようになったのが、人気上昇の裏側にあるようだ。

うんうん、本当に上記のような考えをしている学生がいるとしたら、それは危険ですね。しかも東大とか京大出ているハイスペック(?)な学生でもそんな考えを持った人がいるなら少し驚きです。

何が危険かというと…ビジネスの世界では事業家と投資家と助言家の3つのジョブ(FF?)があって、最初の入口を間違えると他のジョブに転職することが極めて難しくなるからです。

因みにコンサルは助言家になります。助言家でキャリアを始めた人は助言家を極めるか、投資家にジョブ・チェンジすることは可能です。でも事業家にジョブ・チェンジして成功することは非常にまれです。(因みにこれは日本で働く場合の話で、海外のことは知りませんのでご承知おきください)

転職ルール1
学生 → 助言家 → 助言家 ○転職可
学生 → 助言家 → 投資家 ○転職可
学生 → 助言家 → 事業家 ×転職不可

事業家とは世の中に製品やサービスを提供して収益をあげる会社のことです。トヨタとかユニクロとか楽天とかまぁ会社と言えば大半は事業家に属します。

投資家は事業家にお金を投資してリターンをあげる企業のこと。投資銀行、プライベート・エクイティ(PE)やベンチャー・キャピタルが代表的ですね。

助言家は事業家や投資家から雇われ、専門的なサービスを提供する会社のこと。コンサルティング・ファームやファイナンシャル・アドバイザー或いはヘッドハンティング含む人材エージェントもそうですね。

他にも公務員や政府関連或いはプロボノといったの他の機能を持ったジョブもありますが、大まかに言えば事業・投資・助言の3つのジョブ機能を持った会社の集合体で世の中のビジネスは回っています。

さて、なぜ助言家でキャリアをスタートすると事業家に転職できないのでしょうか?その理由はそれぞれのジョブを通じて身につく時間軸と成果に対する意識がかなり異なるからです。しかもキャリア最初のジョブで身についた意識は転職してもそう変わらない。

具体的に3つのジョブの時間軸と成果の意識の違いを理解するため、以下の通り3つのジョブの本質的な役割についてまとめてみました:

事業家: 永続的に製品やサービスを供給する
投資家: 数年で効率よく元手を増やす
助言家: 数ヶ月で最も確からしい助言を考える

上記の通り、先ず3つのジョブは時間軸の意識が異なります。事業家は世に出した製品・サービスに対して無期限で責任をもちますが、投資家や助言家は有限時間の中でのパフォーマンスの結果に責任をもちます。

例えば、事業家に属する営業員や開発者は今年出した製品だろうと10年前に出した製品だろうと何か顧客でトラブルがあれば責任を持ちます。もちろん現実的には保証期間を過ぎると法的責任はないのですが、少なくとも担当の意識レベルでは責任感を感じる人達が多く集まっているジョブです。一方投資家や助言家は基本的には案件毎に目標成果物が定まり、納期が来るとその時点で結果が決まります。その結果が良かろうとも悪かろうとも、それで終了。そして次の案件にアサインされ、前の案件は過去のものになっていきます。投資家と助言家ではその期間の長さに違いがありますが、有限期間のプロジェクトという点において同じです。

2つ目の違いは少し分かり難いですが成果がコントローラブルかどうか?です。事業家は製品やサービスの供給を行うという成果を基本的には自分自身でコントロールすることができません。何故ならそれは顧客が決めるからです。逆に助言家は成果をほぼほぼコントロールすることができます。何故なら助言家の言う成果とは「助言を与える」ことだからです。極論クライアントが納得しようがしまいが「我々のアドバイス・意見・紹介者はこれです」といえば、それで責任を果たしたことになります。投資家はその中間にあたります。何故なら彼らの成果は投資のリターンという点でアンコントローラブルですが投資先の自由度において事業家よりもはるかに柔軟で且つ切替えが容易だからです。

これらの意識の違いにおいて、3つのジョブの内どれが良い・どれが悪いという話しをしているわけではありません。違いがあるという点がポイントです。違いがあるということは、働き方もスキルも経験も仕事に対する心構えも自ずと異なってくるということです。

このことを念頭におくと、どの意識を最初にインストールするか?によってキャリアが変わります。助言家から投資家へのジョブ・チェンジは時間の観点からも成果の観点からも比較的近いため可能ですが、助言家から事業家への転職はかなりの意識チェンジをしないと難しいとわかるでしょう。

よくある話しが、助言家でキャリアスタートした学生が事業家に転職すると「お前、頭良くて仕事早いけど何か違うんだよなぁ」となるケースがあります。それは助言家の意識が抜けず、事業家の仕事においてもタスクを次々と早くこなし次に進めることこそが仕事だと考えてしまうからです。視点が常に自分がコントロールできるところにあり、顧客や同僚達に合わせるという意識がどうしても疎かになりがちになるからです。

なので冒頭に紹介した記事に戻って、仮に:

転職を見据え、仕事を通じてさまざまな業界を研究しようと考えてコンサルに入る人も多い。いわば働きながら就活できるという『モラトリアム』

の発想で戦コンを目指す就活生がいたら「助言家や投資家の道でビジネス人生を送る覚悟を持って入社してくださいね。いずれ事業家に転職して事業をドライブしたいと考えるなら事業家の道から始めなさい」とはりぼーはアドバイスします。(事業家からはじめるジョブ・チェンジについてはまた改めてお話しする予定です)

因みに助言家からのキャリアで事業家に転職して成功するパターンもあります。1つ目は自分で会社を起こすこと、2つ目はスタートアップに参画すること。もう一つ、3つ目は事業家の管理系の役職(経営企画とか財務とか人事とか)で出世したいなら助言家→事業家のルートもありです。でも事業家の醍醐味はPL/BS責任を背負って事業を大きくすることなんだけどね。まぁ人それぞれの考えあるので、こういう考えもあるのだと就活生の皆さんはご参考にしてください。

あとよく「助言家、例えば戦コンで身につく高度なスキルは事業家に行っても役立つと思います」という人がいるけど、それらのスキルはあくまで助言家として成果を出す(=助言を考える・説明する)スキルです。確かに事業家においても役に立つスキルではあるけど、事業家で成果を出すために必要な要素の20%くらいしか占めないんだよね。この点については改めて別途書こうと思います。

それではまた!


 


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