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実践!地頭トレーニング#1 連載の趣旨

はじめまして、はりぼーです。現在日本のメーカーで働いています。転職組の私ですが10年前は某外資系戦略コンサルティングファームにいました。

近年書店では地頭について書かれた本をたくさん見かけます。フェルミの推定にはじまり、ロジカルシンキング、問題解決の教科書等々。主に物事を論理的に思考する方法論が中心で、若手〜中堅のビジネスパーソンはもちろんのこと、コンサルティングファームへ入社を目指す学生にも人気があるようですね。

特に最近の若い人達は全般的にスキルアップの意識が高いです。その中でも論理的思考はとっつき易いのか?はたまた流行なのか?身につけたい人気スキルの一つに挙げられます。私の会社の若手もご多分にもれず「地頭を鍛えて成長したいです。はりぼーさんのおすすめの本はありますか?」と以前聞かれたことがありました。

いくら本を読んでも地頭は鍛えれない

「うーん、いくら本読んで勉強しても地頭を鍛えることはできないだろうね」と私は答えました。

「でもロジックツリーとかMECEとかのスキルあるじゃないですか?それらを身につけてバリバリできるビジネスパーソンになりたいのです」と若手も食い下がります。若いのによくそんな用語を知ってるなとある意味感心しましたが(笑)

(私)「なんだ知ってるじゃん、じゃあなんでおすすめの本なんか聞くの?」
(若手)「何冊か本を読んでその時は分かった気になるのですが、、、実際に使おうと思っても上手くいかなくて、、、」
(私)「そこだよね。だから本を読んでも地頭は鍛えられないって最初に言ったんだよ」
(若手)「じゃあどうすれば地頭は良くなりますか?もしかしてできない子はいつまでもできないのでしょうか?」
(私) できない子って…(笑)笑いを噛み殺しつつ、若手の熱意に負けて地頭の鍛え方について説明しました。

地頭を鍛えるための3条件

本連載では地頭の定義を「論理的思考をベースに問題の解決案を生み出す力」と定義しましょう。地頭はトレーニング次第で誰にでも身につけることができる能力です。ただしトレーニング次第という点がポイントで、以下の3つの条件が必要です。

1. 論理的思考の助けとなるスキルを学ぶ (ロジックツリーやMECE等)
2. 論理的思考を使って考える練習課題を少なくとも100回はこなす
3. 練習課題の回答を地頭の良い人(師匠)に最低20回は添削してもらう

先ず巷にある地頭関連の本を使って勉強することで上記の1番目の条件を満たすことは可能でしょう。でもそれは野球のピッチャーに例えるとカーブやスライダーの基本的な投げ方を本で勉強しただけに過ぎないです。実践でカーブを投げるためには、実際にボールを握って繰り返し何度もカーブを投げる練習が必要です。

地頭を鍛えたいのであれば本に書いてある論理的思考のスキルを駆使して最低でも100回は問題を解く練習する必要があります。練習が必要だということは子供でもわかる当たり前のことです。しかし、ことビジネススキルになると何故か大体の人は、カーブを投げる練習をしないけどカーブは習得したいと考えます。

スキルを学び、最低100個の課題をこなすことは必要条件ですが、それだけでは十分とは言えません。それが3番目の条件である地頭の良い人(= 師匠)に添削してもらうことです。理由は添削を通じて師匠の「思考のクセ」を盗むためです。最低でも20個ぐらい課題を添削してもらえば師匠の思考のクセが見えてきます。あとはそれを真似しながら、自分自身で80回ぐらい課題をこなすと論理的思考が自然とできるようになっていきます。

余談ですが、私が戦略コンサルに入ってはじめに言われたことは「コンサルタントは徒弟制度でしか育たない。だから一人前になりたかったら先ず自分の師匠を見つけ、その人の考えのクセや物事の進め方を徹底的に真似しろ」でした。当時はピンと来なかったのですが今ではよ〜くわかります。

考え方には固有のクセがあるのです。例えば同じMECE (次回説明します)で考えても、MECEの切り口は人によって異なります。師匠の思考のクセを自分のものにすることで、師匠の考え方を比較対象にしながら自分の思考を客観的に見つめることができるようになります。結果的に自分の考えに自信が持てるようになります。お手本となる思考のクセを身につけない限り、いつまでたっても独りよがりで、正しいかどうか検証できず、地頭は鍛えられないでしょう。逆に考え方の引き出しが多ければ多いほど良いので、複数の師匠を持つことは更に良いことです。(時間がかかりますが)

本連載の内容

さて若手の話しに戻って、地頭を鍛えるための3条件を説明したところ「だったら是非はりぼーさんが私達の師匠になって頂き、地頭のトレーニングをして頂けないでしょうか?」という流れになりました。自身の時間を勉強会に費やすことに少し抵抗がありましたが、結局熱意に負けて業務時間外で自主的に行う勉強会の下、若手3人と私で一緒に一年間かけて地頭のトレーニングを実践しました。

課題数で約20題、フェルミ推定の課題から実際の企業を取り上げたケース課題まで幅広く扱いながら一年間トレーニングすると、若手3人組の思考の引き出しが驚くほど増えました。もちろん20題だけなのでまだまだ荒削りで私の思考のクセが身についているとは言えない状態ですが、基礎的なベースが固まりつつありました。そこから先は私の手を離れ自分達の力で地頭を鍛えることができるでしょう。

本連載の「実践!地頭トレーニング」では若手3人組と一緒に行った地頭トレーニングの内容を公開していこうと思います。課題は全て実際に解いたもので、それらを3人がどのように取り組み、それに対して私がどういう添削をしたか、当時のやりとりのメモを参照しながら出来るだけ忠実に再現する予定です。

この公開メモを通じて、地頭を身につけるプロセスを読者の皆様に少しでもわかってもらえると筆者としては嬉しいです。また皆様自身におかれましても各課題の解答にチャレンジしてもらえるとより効果的だと思います。

これから本連載にお付き合い頂けることを期待して、また次回お会いしましょう。

(表紙写真@フランス パリ)


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