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卒業は突然に

その夜のデザートは、スーパーで買った4個パックのプリンだった。
食べた皿を、軽く流しながら食洗機の中に入れていく。
生ゴミを新聞紙でくるんで、ビニール袋へ。
白の食品トレーは洗って乾かして、次回、回収ボックスへ。
プリンの容器は洗って水切りカゴで乾かし、子ども部屋へ。

ちょっと待った。


一応、聞いてみることにしよう。


次男ー。さっき食べたプリンの容器、いるー?

「いらんー」


いらんよね、うん。
なんとなく、そんな気はした。


先日、2階の(ほぼ物置きと化している)部屋を片付けていたら、出るわ出るわ。沢山の工作の材料があっちにもこっちにも置いてあった。
大きな段ボールにお菓子の空き箱、飲むヨーグルトの入ってた小さいペットボトル。シャンプーの入ってたポンプ式ボトル。ラップの芯なんて大小合わせて5本くらい出てきた。
一時は、次男が工作に使いたがって、需要に供給が追いつかなかったから、ラップが無くなるたびに慌ててとっておいたのだ。
ゼリー容器もプリン容器も、同じ形でいっぺんに複数揃うから、工作では結構重宝していた。


でも、もう使わないよね。


全部捨てた。


なんだろう、この罪悪感、
そして寂しさは‥


元は、中身(ラップについては、外身?)を使った段階で用済みになった物なのだから、捨てたって何も問題ない訳だ。というかもはや取っておく必要がない。
なのに使うかもと思って後生大事に取っておくから、我が家はどんどんゴミ屋敷みたいになってしまうのだ。子どもが作った作品を捨てられないのなら話も分かるけど、まだ作品になる前の材料は、言わばただの日常ゴミ。


幼稚園や小学校低学年の頃には、「制作の材料に使うので、ご自宅で使わなくなったペットボトルや、余っているリボン、毛糸などを持ってきてください」「算数でかたちについて学習するので、空き箱を持ってきてください」なんてお知らせがあったりして、その都度いそいそと、とってあった素材を持って行かせた。
我が家にはいつでも余分にあるから、お友だちがもし忘れてたらあげてもいいよ、なんて言って二つ持って行かせたこともあったなー。


でも‥


もう使わないよね。


プリン容器は、こびりついていたカスタードを綺麗に洗って乾かし、ゴミ箱へとさようならした。
同じく乾かしていたお豆腐の容器もさようなら。


そう言えば、今週届いた、夏用ラグの入ってた段ボール、生地もしっかりしてたし、次男サイズならまだ中に入って遊べそうだったな‥

また2階に置いておいたら、夏休みに海賊船ごっことか基地づくりとかに‥


もう使わないよね。

テープを剥がし、段ボール箱をつぶして広げた。あとは来月の廃品回収日に出すだけだ。


子どもの「卒業」は突然。心が追いついていないのは、母だけのようだ。


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