○○○さんに叱られる
実は私、
真夜中にギリギリと、歯を食いしばっているらしい。
らしい、というのは、寝ていて、自分では確かめられないから。
元々は、数年前、歯のクリーニングをしてもらおうと歯医者さんを訪れた時に、思いがけず指摘された。
「○○さんは、ここのところがこうやって出ているでしょう。これ、食いしばりをしている人がなる、典型的な症状なんだよね。しかも結構な力で。」
何か心当たりは?と聞かれたが、全く自覚がない。
おそらく、眠っている間だろうとのことだったが、夫のイビキには心当たりがあるが私の歯ぎしりは指摘されたこともない。
しかし、話を聞いていくと、デメリットばかりで段々怖くなってくる。
歯に負担がかかる、歯を支えている骨に負担がかかる。ひどくなると歯が割れてしまうこともある。ええー!寝てる間に歯が割れる⁉︎
他にも、今調べてみたら、頭痛、肩こり、首のこり、表情筋への影響もあるのだとか。笑ったり怒ったり、毎日いっぱい顔の筋肉使ってるのに、ほうれい線が気になり出したのはこのせいか?!
原因は何ですか、と聞くと、分かりませんが、ストレスですかね、とサラリと言われた。
歯医者さんから帰ってきて、夫に「私ストレスで歯ギリギリ食いしばって寝てるんだって!」と嬉しそうに報告したら、ごめん、普段そんなにストレスがたまってるんやなぁ‥と謝られた。
そうみたいよ。知らんけど。
さっそく、寝てる間にはめるマウスピースを作ることになった。渡辺直美も、歯ぎしりの対策のためつけて寝てると何かで読んだので、ま、そんなものなのかと思ってお願いすることにする。
口を開けて、冷たいゼリーみたいなもので型をとる。
口半開きのまましばらく放置。無防備な自分。
歯医者さんって、自分が本当はいかに弱い存在であるか、大人になってから気付くことができる、貴重な場所だと思う。
出来上がりは1週間後。ケースのお色はピンクとブルー、どちらにされますか、と聞かれて、じゃピンクで。と可愛い方にしたけど、いざもらうと入れ歯ケースみたいに感じて少し悲しかった。
さてそのマウスピース。
寝る時に毎晩はめることになるのだが、
これがなかなか習慣づかない。
さぁ寝よう、と布団に入って電気を消してから、あ、しまった洗面所に置いてたんだった、と気づく。
まぁ、1日くらい はめなくてもいいか。そう思ってその晩は寝ることにする。
翌晩。
5行前に戻る。以下繰り返し。
奇跡的に早く思い出して、あるいは今晩こそ‥と思って取りに戻っても、装着すると違和感があってなかなか眠れない。
また最近は減ったのだが、マウスピースを作った時は、まだ子どもたちに毎晩欠かさず〝眠る前の絵本読み聞かせ〟をしていたので、付けるタイミングを間違えると、
マウスピース付けながら絵本読む羽目になったり、
マウスピース後で付けるつもりで、さぁ早く寝るよ!と電気消してそのまま寝落ちしたり、
マウスピースケースから出した瞬間「ママ何それ!見せて‼︎うわっ何それ⁉︎」と気持ち悪がられてテンション下がったりして、なかなか寝る前のルーティンに組み込めなかった。
そうこうしている間に日は過ぎて、数年経過。
虫歯とは縁がなかったものの、「歯が丈夫でトラブルのない人は、逆に歯茎悪くなっても気がつかない場合が多くて、○○さんはそのケースです。もっと定期的に来てください」と言われて、かなり凹んだ。
歯医者さんって、大人になってから、先生に叱られるという経験ができる、貴重な場所であったことを思い出す。
恐る恐る、実は以前マウスピースを作ってもらったのですが‥このところしばらくはめてなくて‥と打ち明けると、そんなに間空いたらだめですよ、もう一度作りましょう。とまた注意されてしまった。
今度のケースは、ブルーにしてもらった。
マウスピースを洗浄する泡ウォッシュも買った。
そして数ヶ月。
‥‥‥
1日くらい、が3日になり、1週間、1か月になる。
こうして習慣はできあがる。
渡された時は、今度こそ。と頑張って毎日枕元に準備したのに。
子どもたちは大きくなって、寝る前の読み聞かせの頻度は減ったというのに。
丈夫だと褒められた歯が、割れてしまうかも知れないのに。
寝てる間の食いしばりは絶賛続行中であるに違いない。
今度歯医者さんに行っても、もう打ち明けられない。
実は私、
マウスピース二個目なのに、未だに付けるのを忘れて寝ちゃうんです。
#実は私 ××なんです