秘密基地ぼうけん未満
このところ、ボーイズがハマっている遊びがある。
〝押し入れ上段 秘密基地計画〟。
押し入れには日中は布団をしまってある。
チャンスは、布団を敷いた後、寝る前の数十分。空いた上段に、ふわもこ毛布とお気に入りの漫画を持ち込んで、「今日はオレここで寝る」「オレもここで寝る」と、消灯までの時間を楽しんでいる。
元々は、次男が始めたソロキャン(?)ごっこだった。
子ども部屋として使っている和室に、5年前に購入した、ニトリの折りたたみテーブルを置いてある。
サイズ感がいいのか、学習机を買ってからも、宿題や工作をするときはいつもそっちを使うほど、大活躍のテーブルである。
ただ、最近は寒い子ども部屋より、床暖房のあるリビングで、一日中過ごすことが多いので、机はたたんだまま部屋の片隅で忘れられていた。
そこに目をつけた工作・改造大好き次男。
ひざ掛け用の小さいブランケットを、テーブルに一生懸命ガムテでとめ、毛布の足りない部分は、大きなカレンダーの裏を利用してカーテン代わりにして。
何と、一人用のテントが完成した。
放課後、帰ってきてちょっとゴロンとしたい時。
何となく一人でボーッとしたい時。
‥かどうかは分からないが、時々この下にもぐっている。
小学1年生だって、一人心静かにどこかにこもりたくなる時もあるのだろう。テーブルの下に入って毛布もカレンダーも全部下ろすと、完全個室(定員一名)になる。
ちなみに、足は曲げないと入れません。
ママも入っていいよ、と言ってもらったが、息苦しかったので数分で出てきた。気持ちだけもらっておくね。
制作者の次男、テントにこもって隠れたくはあるが、そのままほっとかれるのも切ないらしく、
「オレここに入ってるから、用事があったら、ピンポンって言って呼んでね」
「ちょっと一回ピンポンって呼んでみて」
「ピンポンって呼んだら出てくるからね」
とあまりに念を押すので、別に用事はないけどピンポンと言って呼んでみた。
「ここ、めくって」と、中からカレンダーをツンツンして教えてくれる。おじゃましまーす、とめくると、
「入ってます。」と言われた。うん。知ってたよ。
もう一回やって!と言うので、再びカレンダーのカーテンを下ろし、ずれたブランケットを整えて、やり直す。
ピンポン、と二度目の訪問をすると、今度は「ニャー」と言って毛布にくるまっていた。
‥何だろう、これ、新手の赤ちゃん返り?
どちらにしても、こんなあざと可愛いことができるのは、我が家では次男だけだ。
次男猫はしばらく机の下でニャーニャー言いながら丸まっていたが、何分かすると「おやつ食ーべよ」と言って這い出て来た。猫になるのは満足したらしい。
その頃から。子ども部屋はあるのに、それとはまた別の「自分だけの空間」に味をしめたのか、押し入れに目をつけた様子。
その気持ちは私にも分かる。小学生高学年になってからだったが、弟と別の部屋をもらい、下にチェストのついたロフトベッドを買ってもらった時は、本当に嬉しかったから。
だから、上がいい、上りたいという気持ちはよーく分かるのだが、何せ押し入れが半間サイズなので、ボーイズ二人でくつろぐには手狭なのだ。
まして、足を伸ばして寝るには。
座布団を持ち込んでみたり、足の角度を変えたりして何度もチャレンジしては、その都度居心地の良い体勢を工夫しているようだが、まだ一度もここで一晩過ごしたことはない。
電気を消して5分ほど経つと、
「狭すぎ」「足がしびれる」と言って、まず長男が諦め、その次は一人になった次男がやっぱり「狭かった」「暑すぎ」と言って出てきて、下に敷いている布団で(つまりはいつも通りの部屋で)寝ている。
でも。
狭いのは最初から分かっているが、消灯後、夏でもないのに「うわー、暑くて寝られへんわー」と言いながら出てきた理由。
おそらくこのためか、という理由を、先日発見した。
↓
元は弟が小学生の時に読んでいた、実家にあった絵本。数年前、母があげるわ、と言うので喜んでもらってきた。それが、最近読みっぱなしのまま、本棚の下に広げてあった。
そう言えば、この絵本が家にきた当時、長男は年齢が二つ上なこともあって、何度か、寝る前に読んで と持ってきたが、次男は、二回目以降「ぜったいにいやだ!読まないで!」と言い張って、違う絵本に選び直していたっけ。
今、これやったらきっと大問題になっちゃうだろうし、実際、今押し入れで遊んでる時も戸は開け放してあるのだが。実弟が大人になった今も、この絵本と せなけいこさんの「ねないこだれだ」はトラウマだ、と言うくらいだから、次男にとっても、この冒険はかなりのリアリティをもっているのだろう。
(うちの押し入れには、ねずみは出ないと思うんだけどね。)
数年したら、ボーイズには二段ベッドを買って、そこで寝てもらうことになるだろう。
その時は、どっちが上を取るのか、まだ分からないが。それまでまだしばらく、「うわー、布団はやっぱり足伸ばせていいわー。だから、押し入れで寝るの、やめとこーっと」ということになるのかな。
でも、今の君たちなら、あせもができるほどの大冒険だってきっと出来ちゃうと思うよ。
多分この時と顔変わってるので、載せても大丈夫だと判断して、載せてみる。
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