だいなしキツネ

人間の文化を少し勉強したキツネです。

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    人間の文化を少し勉強したキツネが世評の高い作品たちをいっちょ前に解説していきます。

最近の記事

生活世界の植民地化に抗して ハーバーマス『コミュニケーション的行為の理論』

◆ご挨拶こんにちわ、だいなしキツネです。 今日は、ユルゲン・ハーバーマス『コミュニケーション的行為の理論』を台無し解説していくよ! ◆ユルゲン・ハーバーマスとは?ユルゲン・ハーバーマスは、1929年にドイツで生まれた社会哲学者だよ。10歳の頃に第二次世界大戦が始まって、15歳のときにはヒトラー・ユーゲントに属していたそうな。1945年に第二次世界大戦が終わったときには、戦争と全体主義から解放されたという安堵を覚えたそうだよ。ナチス体制の悲惨な状況が白日のもとに晒されたとき、

    • 芸術は自らの先駆者を作る

      ◆ご挨拶こんにちわ、だいなしキツネです。 今回は『だいなしキツネ』本編における「本当の孤独? ガルシア=マルケス『百年の孤独』」の裏話をしていくよ。 ◆芸術は自らの先駆者を作るだいなしキツネがラテンアメリカ文学に興味を持ったのは、ホルヘ・ルイス・ボルヘス『伝奇集』を読んだことが切っかけだよ。それ以来、キツネはボルヘスとともに生き、ボルヘスとともに読んでいるといっても過言ではない。 そのボルヘスを「現実の政治世界から目を背ける逃避的な作家だ」と揶揄していたのがガルシア=マル

      • チェーホフの喜劇?

        ◆ご挨拶こんにちわ、だいなしキツネです。 今日は4月前半の読書を紹介していくよ。 ◆4月前半の読書チェーホフ(浦雅春訳)『桜の園/プロポーズ/熊』 ソフィ・ラフイット『チェーホフ自身によるチェーホフ』 佐藤清郎『チェーホフ劇の世界』 沼野充義『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』 アマルティア・セン他『功利主義をのりこえて』 池田浩士『ボランティアとファシズム』 ジュリア・ショウ『悪について誰もが知るべき10の事実』 ジュリア・ジェインズ『神々の沈黙』 ミリアム・B・ハンセ

        • 本当の孤独? ガルシア=マルケス『百年の孤独』

          ◆ご挨拶こんにちわ、だいなしキツネです。 今日は、ガルシア=マルケス『百年の孤独』を台無し解説していくよ! ◆ガルシア=マルケスとは?ガルシア=マルケスは、1928年頃(※諸説あり)にコロンビアで生まれ、ジャーナリスト、映画脚本家などを経て、1955年に『落葉』という小説でデビューした作家だよ。その後、1967年に『百年の孤独』で世界的大ヒットを飛ばして一躍ラテンアメリカ文学の旗手となったんだね。その他の代表作に『族長の秋』、これは権力者の孤独を不可思議な時系列と迷宮めいた

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          10本

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          炎上系宮廷人 清少納言『枕草子』

          ◆ご挨拶こんにちわ、だいなしキツネです。 今日は、清少納言『枕草子』を台無し解説していくよ! ◆清少納言とは?清少納言は、966年頃(※諸説あり)に日本で生まれた、平安時代中期の宮廷人で、『枕草子』というエッセーを書いたとても有名な作家だよ。お父さんは、清原元輔という貴族で、こちらもとても有名な詩人だね。元輔は「三十六歌仙」の一人で「百人一首」にも選ばれているし、『今昔物語』にも逸話(※馬から落ちた際に冠が取れてツルピカ頭があらわになったけれど、本人は夕日に照らされ爛々と輝

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          生のデザイン

          こんにちわ、だいなしキツネです。 ◆現実の生現実に生死の問題を考えるのは困難だけど大切だよね。キツネたちはいつ死ぬかわからない動物だ。でも、そもそもいつの間にか生きていた動物でもある。「さぁ、始めるぞっ」と思って生き始めたわけではない分、そもそも生きることの意義をどう捉えればいいのかは問題となる。 キツネは以前、「生きることの意義って何ですか」と質問されて、「決まってない」と答えたことがある。続けて「その答えは逃げだ」と言われたので、「他人に答えを求めるのは逃げだ」とも伝

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          死別はしんどくない

          ◆ご挨拶 こんにちわ、だいなしキツネです。 じつは先日、一部の界隈で「しんどい」作品をお薦めしあうというブームが到来していたんだ。そこで今日は、キツネが思う「しんどい」作品を紹介するよ。 ◆アーサー・ミラー『るつぼ』 アーサー・ミラーは1915年のアメリカ生まれた、アメリカ演劇の黄金期を代表する劇作家だよ。その代表作『るつぼ』は17世紀末におけるセイラム魔女裁判を題材にした作品だ。Fate/Grand Orderのプレイヤーなら、第1.5部4章の元ネタと聞けばピンとくる

          死別はしんどくない

          モノとマナとモナド

          遠藤薫『廃墟で歌う天使』にて紹介されていたトリビアを一つ。 ◆「もの」から「マナ」へ日本語の「もの」は者であり物であり霊である、多義的な概念だ。「こと」が時間的に生起・消滅する現象を表すのに対して、「もの」はその現象を担う不変な実体を想定して用いる語だ。 この「もの」の概念は、決して日本独自の概念ではない。太平洋諸島には「マナ」という言葉がある。これもまた代数記号のようにそれ自体としては意味のない言葉で、多様な用いられ方をする。日本の「もの」と太平洋諸島の「マナ」は変換可能

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          アウラはどこにある?

          ◆ご挨拶 こんにちわ、だいなしキツネです。 今日から、だいなしキツネの日常を紹介していくよ! なぜこんなことを思いついたかというと、YouTubeの「だいなしキツネ」の更新頻度は多くて週1回程度になりそうなので、ぼんやりする期間が長くなるなぁと予感したからだよ。気が向いたときにだいなしキツネの生態を観察してくれると嬉しいよ! といってもだいなしキツネの本業は守秘義務がきつめで全然エピソードトークにならないから、概ね読書録になると思うんだ。本好きホイホイだね?(?) ◆三

          アウラはどこにある?

          不条理劇とは何か ベケット『ゴドーを待ちながら』

          ◇動画 ◆ご挨拶 こんにちわ、だいなしキツネです。 今日は、ベケット『ゴドーを待ちながら』を台無し解説していくよ! ◆ベケットとは? サミュエル・ベケットは、1906年にアイルランドで生まれたフランスの劇作家・小説家だよ。パリではかの有名なジェイムズ・ジョイスと知り合って、珍作『フィネガンズ・ウェイク』の口述筆記や複写を手伝ったという噂だね。第二次世界大戦中はフランスのレジスタンスに参加したという強者だけど、なんやかんやあってパリを脱出してから小説を書き始め、1952

          不条理劇とは何か ベケット『ゴドーを待ちながら』