見出し画像

【66枚目】人間椅子『踊る一寸法師』

人間椅子の5枚目のアルバム『踊る一寸法師』(1995)

宇宙一かっこいいバンド「人間椅子」今回は『踊る一寸法師』です。

人間椅子は1987年に青森県出身の和嶋慎治(G)と鈴木研一(B)によって結成された3ピースロックバンド。現在のドラムはナカジマノブ。『踊る一寸法師』のドラムは土屋巌です。ドラムの違いを意識して聴いても面白いかも。

ブラック・サバスを彷彿とさせる70年代風ブリティッシュ・ハードロックのサウンドに、日本語・津軽弁での歌唱、怪奇をテーマとした世界観の歌詞を乗せた、独特の音楽性を特徴とする。

懐かしく恐ろしいHR/HM。そこに日本文学の要素が入った唯一無二のバンド。30年以上このスタイルを貫いていてかっこいいですね。長年売れずに苦労してきたバンドなだけに近年、知名度が上がり再評価されていて嬉しいです。youtubeだと海外の方のコメントも多く高評価ですね。

2021年に再販された『踊る一寸法師』。再販前はプレミアついてて1万円以上してました。レーベルメルダックとの契約が解消した後、インディーズで発売された作品。人間椅子のやりたいことを詰め込んだとのこと。初期の名作と評判ですね。捨て曲なしです。2.5.10曲目はハード。迫力ある。4.9曲目にスピード感のある曲が入ってテンポも良い。6曲目があまり聴かない人間椅子のフォークソングで面白いです。

アルバム制作のため一週間合宿を行い、合宿先でスピッツと会ったというエピソードをライブで聞きました。スピッツが「チェリー」とか歌ってる横で「暗い日曜日」歌ってたのが笑えます。

アルバム・タイトルは江戸川乱歩の同名小説『踊る一寸法師』から。
アルバム・ジャケットに写るフィギュアは、『黄金の夜明け』でもアートワークを担当し、以前から交流のある漫画家大越孝太郎が製作したものである。

怖いけどクセになる、素晴らしいアートワークですね。一寸法師というよりチャッキー。元ネタの江戸川乱歩の小説は読んだことないので気になります。

特に好きなのは「暗い日曜日」「どだればち」「踊る一寸法師」です。

1.モスラ

デカくて重い音がテンポよくズンズン鳴ってる。怪獣が攻めて来るような雰囲気です。2:10~、徐々に盛り上がってギターソロに突入。奇怪なかっこ良さ。モスラが羽ばたいてる光景が浮かぶような音です。鈴木研一の野暮ったいボーカルも良い。

2.暗い日曜日

暗くて激重なリフが最高です。和風ホラー感満載。ブラック・サバス感つよい。1:50~、サビ前のメロディが洒落てますよね。そこからサビ"暗い日曜日"ってフレーズが力入ってます。3:50~、重い音の渦に呑まれる。4:50~、ギターソロがブチ切れてる。

”暗い日曜日 誰も 急いでる 暗い日曜日 誰も 楽し気な 日曜日”

3.どだればち

攻撃的で超かっこいいイントロ。テンション上がる。「あらどした?」ってコーラスをつけるのが人間椅子だなって感じです。ドラムがドカドカしてて激しい。ツェッペリンの曲みたいなパワーがあります。「どだればち」は、津軽弁で「どこのどいつ」という意味だそう。

4.ギリギリ・ハイウェイ

ハードロック。バイクでギャリギャリ疾走するイメージ。頭空っぽにして聞けます。ドラムも和嶋慎治の歌い方も楽しそう。妙に爽やか。2:00~、曲の展開が好きです。

”ハンドル切り抜け出そう 窒息する世界を
アクセル踏み逃げ出そう 膨張する世界へ”

5.エイズルコトナキシロモノ

この曲もブラック・サバス感つよい。重暗い。ずるずるヘビーなベース。歌詞の"不気味に蠢くエイズルコトナキシロモノ"が曲の世界観を完璧に表現できてると思います。2:50~、スピードアップ。プログレ感。5:00~、あたりの唸り声が好きです。

"不気味に蠢くエイズルコトナキシロモノ"
”封印された遺伝子の記憶が蘇り 染色体の自滅装置が作動したのか
それとも宇宙の生命体の寄生なのか 
はたまた皆死なねば処理できない バグなのか”

6.羽根物人生

明るいけど何処か悲し気。無駄に爽やかなイントロ。0:25~、どこか疲れた感じが面白いです。トホホ~って感じのメロディ。羽根物はパチンコ台のことだそう。それ知ると納得。2:25~、のハーモニカに哀愁がありますね。四畳半フォーク。悲壮感はあるけど重くはない。4:20~、ギターが「なにくそ」って感じで熱いです。

7.三十歳

曲名が好きです。バリバリにハードで元気な一曲。リフが鋭い。0:50~、お互いの掛け合い、ブレイクが心地いい。2:05~、間奏がハードで滅茶苦茶かっこいい。歌詞が自由で良いです。少年のような三十歳。

”朝は海行き 釣りをして 昼は山行き 虫を採る 
夜は町行き パチンコして
おやすみ前に ブラックサバス”
”それが俺の三十歳 そして俺も三十歳
そうさ俺も三十歳 やがて君も三十歳”
”それは十五の春だった 俺は命の地図を手に入れた
石の上にも十五年 さざれ石は巌になるさ”

8.時間を止めた男

これも曲名が好きです。引きこもり?の歌でビートルズにハマってそれしか聴けない、時が止まった男のことだとか。無駄にかっこいいですね。ギターのリフがギラギラしてて良い。和嶋慎治の声の伸びがクセになります。”ヨーソロー!”とか”時間をー止めたー男ー!”とか。ワウの「うわん」って音も気持ちいい。後半がもの悲しい。丁寧な美メロに情けない感じのギターソロが絡まって好きです。

9.ダイナマイト

スラッシュメタル。パワーで押し切る感じ。鈴木研一のボーカルもテンション振り切れてます。”俺の頭はダイナマイト!!”かっこいい。この「ダイナマイト」と「羽根物人生」はパチンコ好きの鈴木研一の曲だとか。別のアルバムですけど「膿物語」って曲も好きです。曲名含めて。

パチンコでの大当たりを題材とした「ダイナマイト」は、ギャンブル好きの鈴木研一が手掛けており、後にシリーズ化された。 声優の上坂すみれは、この曲を聞くと元気が出るとラジオ番組『上坂すみれの文化部は夜歩く』の中で述べており、アシスタントを務めていた早瀬かなもフィーバー感があると同様の意見を述べている。

10.踊る一寸法師

おどろおどろしい。和風ホラー。ミドルテンポでじめじめしてる。ドラムのリバーブ聴きまくって迫力ありますね。”アヒャヒャヒャ”って声が人力とは思えないクオリティです。取り憑いてる。不気味な美しさもある名曲。

※人間椅子の最新作『苦楽』は「悪魔の処方箋」が好きです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?