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雨に負けぬ花 (拙訳) ー "Flowers Never Bend with the Rainfall" by Simon & Garfunkel

 雨に負けぬ花、という歌のタイトル自体は私の訳ではありません。18年前に歌詞を訳した時は何となく意地でもこれを使いたくなくて、「花は雨に打たれても決して折れない」という思い切り直訳の日本語タイトルを付けていたのですが、ここでは、この歌の邦題として日本で広く使われている「雨に負けぬ花」を使いました。

今年の梅雨明けは例年より遅めのようですが、それでもそろそろ終わりが近づいてきたように思います。しかし勿論、梅雨が明けたからと言って、雨が全く降らなくなるわけではない。雨が降らない季節とか、雨が降らない月とかは(後者にしても)まずありませんね。

今日取り上げる歌の邦題は「雨に負けぬ花」ですが、しかし、雨は人間に災いをもたらす時もあれば、恵みの雨となる時もあります。自然の恵みという意味合いだけでなく、雨というのは、その時の、人の心持ち次第で、気分を落ち込ませるような雨になる時もあれば、心が癒されるような雨になる時もあるように思います(災害をもたらす豪雨は問題外ですね、あれは本当に辛い)。

植物にとっては、恵みの雨の場合の方が多いくらいかな。しかし、この歌においては比喩であって、歌詞の文脈からしたら、「辛い」方の雨ということでしょうね。

タイトル上の画像に使った写真は、昨年 5月29日の朝、霧雨が降るなか、妻と朝食前の散歩をしていたときに撮った写真です。Facebook に投稿したときに書いた記録によれば、同日朝 6時41分に撮影したものです。iPhone で撮っただけのものですが、ノーカットで掲載すると、

画像1

タイトル上のものとあまり変わりませんね(笑)。

今日、2020年 7月17日に撮った写真も掲載します。歯医者に行った帰りに撮りました。先に載せた上の写真もそうですが、我が家から 10分程度歩いたところに咲いていた花です。今日も霧雨でした。

撮影したのは午前10時37分です。細かいな(笑)。

画像2

と、雨に濡れる花の写真を掲載したところで、「雨に負けぬ花」の、歌と拙訳を掲載します。

"Flowers Never Bend with the Rainfall" は、Simon & Garfunkel が 1966年10月にリリースした彼らの 3枚目のアルバム "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" に収録されたものが一般的によく知られているヴァージョンだと思いますが、実はその前にリリースされているヴァージョンがあって、それは、Paul Simon の Simon & Garfunkel 時代のソロ・アルバム "The Paul Simon Songbook" (1965年8月, *1)に収録されている、彼だけのギター弾き語りによるヴァージョンです。

以下に、Simon & Garfunkel によるヴァージョンと歌詞および拙訳、そして Paul Simon のソロ作品の方と歌詞および拙訳(英語の歌詞は一部微妙に異なりますが、日本語訳に影響を与えるような種類の違いではありません)を掲載します。

作詞作曲は、Simon & Garfunkel の殆どの曲と同様、Paul Simon です。 歌詞は、2002年12月21日に訳しました(*2)。

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*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.2 加筆/削除/編集)。

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眠りの回廊を通り抜け
暗く深い影を通り過ぎて
僕の心は混乱の中を踊り 跳ねる
何が本当のことなのか分からない
感じるものに触れることが出来ない
そして僕は僕の幻想の盾に身を隠す

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

壁の鏡の中には
暗くてちっぽけな影が映っている
だけどそれが自分だという確信は全くない
僕は光で眼を被われている
神と真理と正義の光で
そして僕は行き先もわからぬまま彷徨うのだ

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

どうでもいいことじゃないか
キングを演じる為に生まれたのか
それともポーンを演じる為に生まれたのかなんて
喜びと悲しみを隔てるのはか細い線に過ぎないのさ
そうして僕の空想は現実となり
僕は僕の人生を生き 明日に立ち向かわなくてはならない

そうさ僕はずっとずっと信じ続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花は雨に打たれても決して折れない
そうさ雨に負けて折れたりはしないのさ

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.2 加筆/削除/編集)。

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眠りの回廊を通り抜け
暗く深い影を通り過ぎて
僕の心は混乱の中を踊り 跳ねる
何が本当のことなのか分からない
感じるものに触れることが出来ない
そして僕は僕の幻想の盾に身を隠す

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

壁の鏡の中には
暗くてちっぽけな影が映っている
だけどそれが自分だという確信は全くない
僕は光で眼を被われている
神と真理と正義の光で
そして僕は行き先もわからぬまま彷徨うのだ

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

どうでもいいことじゃないか
キングを演じる為に生まれたのか
それともポーンを演じる為に生まれたのかなんて
喜びと悲しみを隔てるのはか細い線に過ぎないのさ
そうして僕の空想は現実となり
僕は僕の人生を生き 明日に立ち向かわなくてはならない

そうさ僕はずっとずっと信じ続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花は雨に打たれても決して折れない
そうさ雨に負けて折れたりはしないのさ

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18年前にこの歌詞を訳した頃、当時やっていた自分の mixi のページにこの歌と歌詞の拙訳を投稿したところ、mixi の友達だったプロの英語翻訳者の方が、褒めてくれました。勿体ないお褒めの言葉でしたが、確か、"So I'll continue to continue to pretend" を、「そうさ僕はずっと望み続けよう」とか、「そうさ僕はずっとずっと信じ続けよう」と訳した辺りを、褒めてくださったように記憶しています。

彼女のありがたいコメントに、「ありがとうございます。子どもの頃に何度も何度も聴いた歌で、レコードに付いていた日本語訳も当時見ていたでしょうから、"corridors" を『回廊』と訳した箇所などは、もしかしたら当時の記憶が残っていたかもしれません」と応えたことを憶えています。

"corridor" は、Eagles の "Hotel California" の歌詞にも登場する言葉で("There were voices down the corridor, I thought I heard them say")、ロック好きには印象に残っている英単語の一つです。

Hotel California の "corridor" は一般的にどう訳されているのかな。普通に「廊下」でしょうか。あの歌もそのうち、訳したい気がしています(でも訳してみたい歌が多過ぎて、いつやるか分かりませんが)。

というわけで、"corridor" を「回廊」と訳したのは、もしかしたら、小学校高学年か中学の頃に見たはずの、レコードに付いていた歌詞カードの影響があるかもしれません。あらためて確かめてないので、「もしかしたら」ですが(笑)。

*1 Paul Simon が Simon & Garfunkel 時代に出したソロ・アルバム "The Paul Simon Songbook" はユニークなアルバムで、以前、その Paul Simon のソロ・アルバムと、Simon & Garfunkel が 1966年1月にリリースした彼らの 2枚目のアルバム "Sounds of Silence" のそれぞれに収録された "Kathy's Song" の歌と歌詞・拙訳を投稿した際に、"The Paul Simon Songbook" について少し書いています。ご関心のある方は、こちらの投稿もご覧になっていただければ幸いです。

"Kathy's Song" の歌詞は、"I hear the drizzle of the rain"(ぼくは霧雨の雨音を聞いている)で始まります。今日の投稿の冒頭で掲載した 2枚の「雨に負けぬ花」の写真、あれらの写真を撮った時に降っていたのと同じ雨、霧雨、こぬか雨です。

*2 "Flowers Never Bend with the Rainfall" は 2002年12月21日に訳したのですが、

(2001年夏に本を買って html を独学して立ち上げた当時の仕様のまま、今もネット上に残しているホームページで、OS のヴァージョン次第で文字化けします)

当時、歌を訳した日は、殆どの場合において、自分のホームページ上の日記にそのことを書いていたのですが、その日の短い日記が残っているものの、どういうわけか、今となっては自分でも分からないのですが、その日記にはこの歌を訳したことが書かれていません。

以下は、ホームページ上に掲載した、その日に書いた私の日記です。

2002年12月21日(土)   SAY A FEW WORDS

Say a few words.. Well, let's hope that we're.. Let's hope that we, continue to live.. (A FEW WORDS that PAUL SIMON said at the request of his audience and was recorded in his album LIVE RHYMIN')

いつも書いている「生きる」とか live とかって言葉には、もちろん、「いかに生きるか」「どのような生き方をするか」「どのように生きることが出来るか」という意味合いが込められているし、同時に、大前提として重大な命題としての、一方でまた別次元の命題としての、そしてもちろん、カネの問題(これはもちろん重要だけど)とは全然違う、ある意味で 詩人ケン が言うのに近い、あるいはそれと全く同様に、単に生物としてヒトとしての、生命(いのち)のレベルとしての意味を込めている。いちいち書いてないけどさ。両方込めているけど、そして、どっちにより比重を置いているかはその時々で揺れているけれど、それぞれが共に、尚且つ別々に、かけがえのないことなのだ。

(同上。OS のヴァージョン次第で文字化けします)

"Say a few words.. Well, let's hope that we're.. Let's hope that we, continue to live.." というのは、上に転載した当時の日記に書いてある通り、Paul Simon が 1974年3月にリリースしたライヴ・アルバム "Paul Simon in Concert: Live Rhymin'" の中で聞くことができる、彼が聴衆の中の一人から "Say a few words!" とリクエストされてステージから応えた彼の言葉ですが、これは彼がライヴで Simon & Garfunkel 時代の名曲の一つ、"America"(*3)を歌う直前の、聴衆とのやり取りです。その音源と、歌詞の拙訳を掲載した投稿があるので、下にリンクを残しておきたいと思います。

そうか、いま改めて分かりました。Paul Simon は "Let's hope that we, continue to live.." と言っているわけですが、"Flowers Never Bend with the Rainfall" の歌詞の中に、"So I'll continue to continue to pretend .. My life will never end. And flowers never bend with the rainfall" という節がありますね。

おそらく、あの日の私は、あの日記を書くことで、具体的に触れずとも、"Flowers Never Bend with the Rainfall" の歌詞を訳したのだということを記録したつもりになっていたのではないか、そう思えてきました。

*3 "Ameirica" については、2回取り上げました。

"America" の歌詞の中で "Kathy" が登場していて、Paul Simon の Simon & Garfunkel 時代のソロ・アルバム "The Paul Simon Songbook" のアルバム・ジャケットに映っている女性がその人 Kathy なので、1回目の投稿ではその写真を投稿のヘッダー写真に使ったのですが、"America" という歌自体は、 Simon & Garfunkel が 1968年4月にリリースした 4枚目のアルバム "Bookends" に収録された歌で、"The Paul Simon Songbook" リリース時にはまだ作られておらず、当然ながら同アルバムには収録されていません。

この投稿の中で紹介した "America" は、上に転載した、2002年12月21日付の私の日記の中にある、"Say a few words.. Well, let's hope that we're.. Let's hope that we, continue to live.." と Paul Simon がステージ上で語った時のヴァージョンの "America" です。  

2回目の投稿では、"America" の "Bookends" 収録ヴァージョンや、1981年9月の一時的な再結成の時期の Simon & Garfunkel によるライヴ・ヴァージョンなどを取り上げています。


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