見出し画像

疲れたとき、うまくいかないとき、エンジンをかけるためのきっかけ

この記事は、「ReDesigner for Student 後輩に贈るデザイナー就活応援 Advent Calendar 2022」の17日目の記事です🎄

はじめに
記事の前に一つお話をさせてください。“やらなくてはいけないことを前に足踏みをしている時間について”です。デザイナーとして働きはじめて9ヶ月、1人暮らし歴も同じく9ヶ月、最近気づいたことがあります。お風呂に入らないと、お皿を洗わないと、洗濯物を干さないと、早く寝ないと….。着手すると意外とあっさり終わるものの、やり始めるまでが大変面倒だと、感じることがあると思います。

就活でも同じことが言える気がします。普段の制作や課題も、就活のためのポートフォリオ制作も、やり始めたら意外と楽しいし頑張れる。ただ、やるまでの時間がとても苦しいですよね。この記事では、就活の様々なシーンにあわせた“やり始めるためのきっかけ”をいくつか仕込んでおきたいと思っています。記事は全て読む必要はないので、気になる項目があれば、目次から一気に飛んで読んでみてください。就活をノリノリで楽しむ方にも、就活に踏み切れずにモヤモヤしている方にも、どこかでモチベーションが上がるきっかけをお届けできたら嬉しいです。

この記事の目標
・読んだ人のモチベがちょっと上がる
・重たい腰を上げるきっかけになる

1 何から始めたらいいか分からない

周りの人の動きが気になったり、何かしら忙しかったり、手がつかないまま時間が過ぎるほどに、就活に対するネガティブな感情は膨らむばかり。まずは何かしらのアクションをすることをおすすめします。エンジンがかかる前の段階では、なるべく負担にならない方法で一歩を踏み出すのもひとつです。

1-1 就活を知る

就活の全体像をざっくりと把握できると、次にやるべきことが明確になる。まずは漠然とした不安感を解消するところから。

■ やること
・就活情報が自動的に入ってきやすい環境を作る
・スマホ(PC)でちょこっと調べる
・強制的に機会を作る

■ 手段
・プラットフォームに登録、活用
・先輩に聞く
・TwitterやNoteを探す
田口さんをフォローする
・(イベントに参加してしまう)

■ 得たい情報
|選択肢を知る
制作会社?メーカー?事業会社?事務所?
デザイナーとして働く際に、選択肢がどれくらいあるのか把握する。ここでは選択肢を絞ることはせず、ざっくばらんに理解するイメージで調べてみましょう。

|スケジュールを知る
各業界の大まかな就活の流れや、面接時期・フローを知る。気になる場所が見つかったのに、そもそもエントリーが不可能だった、という事態を避けたいという意図があります。「Aの業界だとインターン参加がエントリーの条件であることが多いんだな、Bの業界の就活は、年明け前にエントリーオープンしてるんだな」というくらいざっくり把握できたら十分です。

|今年の温度感を知る
コロナによる影響や、企業の動向によって、毎年少しずつ就活の速度感や温度感が変化していると感じます。こちらも、なんとなく気にしておけると安心です。

15分-30分ほど、PC(スマホ)とにらっめこして、<得たい情報>であげた項目について、一旦調べてみてください。そこそこ、情報が手元に集まるはずです。それ以上時間をかけても、漠然と全体像を追い続けることになりかえって苦しいので、時間を区切ることをおすすめします。Twitterなどで気になる就活情報アカウントをフォローしておくと、何の気なしにアプリを開いた時に、勝手に情報に触れることができるのでおすすめです。

■ 体験談
私の体験談になりますが、イベントに参加してしまうという選択肢もあります。イベントに応募することで、情報に触れる機会を強制的に作りました。イベント自体が満足感を得られるケースが多く、モチベーションにも繋がります。コロナ禍前だった当時、地元の宮城から東京へ行き、ReDesigner for Student主催の就活イベントに参加しました。新宿のオフィスで行われたイベントで、実際に企業の方にお会いできたことで、やる気がかなりアップしたことを覚えています。

1-2 企業を探す

世の中のデザイナーたちはどんな企業で働いているのか。新卒募集の有無に関わらず、視野を広く、興味の赴くままにリサーチ。

■ やること
・企業サイト、採用ページを見る
・気になる企業をストックしていく

■ 手段
・新卒募集の有無は気にせず、各社のサイトを訪れる
・プラットフォームが紹介している企業をみる
・各大学のHPの就職先を見る(自校に限らず)
・身近な先輩の就職先を調べる
・制作物からの逆引き

■ 得たい情報
|興味を引かれる企業の共通点
直感的にでも良いので、ポジティブな感情を抱いた企業や、気になった企業をメモしておきましょう。それらの企業を並べ、共通点を探すことで、もしかすると自分の興味の発見につながるかもしれません。

|よく目にするワード
給与・勤務時間・人物像・選考フローなど、各サイト共通でよく目にするワードがあると思います。よく目にするワードを意識することで、就活の中でアンテナを張るべきポイントが自然と身につきます

■ 具体例
“気になった企業メモ”をNotionなどにまとめることでモチベを上げるのも一つですし、手間をかけずにブックマークをつけるのも一つです。息抜きも兼ねて、私は制作物から逆引き検索をするのが好きでした。サービスやプロダクト、ビジュアルを起点に、それらを制作している企業はどこなのかを辿るという方法です。先輩に教わったのですが、ちゃんとワクワクできるのが良い点です。

■ 体験談
新卒募集のある企業を探していると、バイト探しの時に見るような求人サイトにたどり着いてしまったりして、難しいなと感じたことを覚えています。持っている情報が少なかったので探すこと自体に苦労しました。私の場合は、いっぺんに見つけようとしないことでどうにか乗り切りました。サイトは一旦、芋づる式にたどれば良いですし、このリサーチ自体が既に、就活への解像度を上げることに繋がったと感じています。中には、探し方の上手な人もいます。情報共有など、協力作戦も考えると良いかもしれません。


2 何がしたいか分からない

自分のやりたいことや適正など、1-100までわからなくて当たり前、それでも良いと思っています。ただ、将来や働く姿の解像度を上げることは、何らかの選択をする際の判断材料になったり、自己分析が進むことにもつながるので、全部を分かろうとせず、ゆるりと取り組めると良さそうです。

2-1 自己分析する

漠然と自分と向き合うと、時間もエネルギーも消費量が大きくなりがち。適性や興味について「就活」を通して自己分析を行う

■ やること
・自分について理解を深める、発見していく
・自分自身を言語化して説明できるようになる

■ 手段
|診断ツールを使う
診断ツールが全ての答えをくれるわけではなく、1人では考えが及ばなかった部分の思考を進められることがメリットだと考えています。「あなたはど真面目タイプです」と言われると、本当にそうか?という思考(考えるきっかけ)が生まれたりします。

|これまでを振り返る
いい機会なので、時間がある場合はこれまでの歩みを振り返ることをお勧めします。生まれた時まで遡り(高校からとかでもok)どういう経緯で何に興味を持ち、現時点では何を目指しているのか。思わぬ発見があったり、就活軸が見えてくることもあります。

|誰かと話す
壁打ちは何においても効果的。親、同級生、先輩、先生、デザイナー、田口さんなど、話す相手によってわかることも様々です。うまく話せずとも、まとまっていなくとも、話す中で整理されること、得るものが多いです。

|将来のことを具体的に考えてみる
1年後、3年後、5年後・・・10年後(は流石に難しい)
[A社で働いて3年経ったら転職する未来、1社目のB社でどんどん昇進する未来、5年目に業界ごとチェンジする未来]など。難しいながらも負荷をかけて想像することで、少なからず解像度は上がりますし、現状よりも多くの選択肢を得ることができるはずです。

|自分に合う企業を探す
自己理解のために問いを立てるイメージで、時には「自分はこの企業に勤めたいか」「今この企業で自分はどう活躍できそうか」という具体的な問いを立てて考えてみるのもおすすめです。

|作品を通して自分の特徴を考える
制作を改めて振り返ると、無意識ながらこだわっていた共通部分が見えてきたり、各制作とも感じている課題感が近いことに気づくなど、何かと発見が多いです。就活軸発見に繋がることも、あるかもしれません。友人に聞いてみるのも一つです。

■ 体験談
<自分に合う企業を探す>で紹介した方法の続きです。企業と自分を照らし合わせて考えているうちに、「===という点はいいけど、〜〜〜という点は合わなそう」というように、段々と自分が企業に求める条件が見えてきます。具体→抽象の順に企業との相性を考える中で、自己分析が進みました。また、相性の良い企業を見つけたときに、即座にアンテナが反応したのは、ここでの取り組みが活きた瞬間だったと思います。


3 ポートフォリオが進まない

つくりはじめようにも、育てようにも、いくらでも作業ができてしまうからこそ、つらさを感じる場面も少なくありません。手順や取り組みを変えることで、自分をうまくノせてあげられると良いと思っています。時には自分を褒めて、時には頑張らせながら、そういうコントロールも大事です。

3-1 つくりはじめる

なかなか作成に踏み切れない。ポートフォリオ憂鬱は、ゴールを決めて一旦手を動かすことで解決。

■ やること
・一旦作り切る

■ 手段
・シンプルなフォーマットに強制的に流し込む
(先人のフォーマットをお借りするのがおすすめ)

■ ポイント
・綺麗に作らない
・細かい作業はしない
・作品を選ばない
・時間をかけない

■ メリット
|必要情報が揃う
スタート地点という意味で最適です。一旦流し込むことで、足りていない情報が明確になります。次回以降のポートフォリオ制作は、ここにある情報をもとに、追加したり、コンパクトにしたりして、調整をしながら制作を進めることができます。

|欲しい素材がわかる
ポートフォリオの全体感を見ながら、各ページの見せ方を考えることができます。必要な写真が明確に言語化できるので、撮影時間も最小限に抑えることができます。

|二度手間を省くことができる
フォーマットをガチガチに組んだ後で、当てはまらない箇所が出てくると苦労します。例えば、[サブタイトルがある作品とない作品があるのに、表記がマストになっている]など。予め融通が効くようフォーマットを作成できると、余計な作業を減らすことができます。

■ 体験談
スタートからクオリティの高いものを目指すと心が折れがちです。少し特殊な例かもしれませんが、私は飛び込みで申し込んだイベントのために、大急ぎでポートフォリオを作成しました。今考えるとそれが良かったんだと思います。
【ポートフォリオの準備すらしていない2年生の1月、田口さんから「気になるならおいでよ」とお誘いを受け、東京で行われた会社説明会に参加しました。学期末だったこともあり制作時間が取れず、結局友人と共に、夜行バスや新宿の朝マックで、ドタバタ作成することに。時間にしておよそ5時間ほどだったと思います。クオリティはかなり低かったものの、デザイナーの方にフィードバックを頂いたことでモチベーションが上がりました。また、レベルが低い制作物があると、ついブラッシュアップしたくなるもので、億劫さを感じる前にぬるりと着手することに成功したのでした】

3-2 ブラッシュアップする

最初から全改修をしはじめたら地獄のはじまり。まずはモチベーションが上がるページを作るところから。

■ やること
・モチベーションが上がるページを作る
・他のページにも反映させていく

■ 手段
・1ページの作成に注力する
・↑できたページのデザインをフォーマットに落とし込む
・ポートフォリオに限らず、参考になるものを見てみる
(図鑑、情報量の多い誌面、アートブック、教科書など色々)

■ ポイント
・見せやすいページから着手してもいい
・フォーマットに落とし込む段階で調整する
・押し出す情報の優先順位を決める

■ メリット
|楽しく制作できる
それまでがんじがらめになっていた制約がないので、自由に制作ができることが既に楽しいです。ページの見え方や全体との兼ね合いを考えることも大事ですが、楽しく自由に手を動かすことで、制作に対して前向きになることが大事です。

|型にはまったポートフォリオの打開
制作する中で段々と単調なリズムになりがちなポートフォリオですが、一旦制約を設けず、「このページの作品をより良く見せるには」という視点で作業に取り組むことで、縛りのない見せ場となるページの作成につながります。

■ 体験談
無計画に、気に入ったページを微調整し始めたことがきっかけでした。細かな修正をするはずが、ノってしまって大変更が加わり、「このページのデザインを全てのページに反映させたい」と思うように。できたページをもとに、縦/横位置向けのフォーマットや、制作フローを示すページなどをどんどん展開、すごい勢いで手を動かしました。ブラッシュアップの際、少し冒険したところからスタートし、調整して展開を行うことで、良い意味でリズムが生まれました。

4 面接の準備は気が重い

その場での対応力が求められる面接もまた、際限なく練習ができてしまう点が負担です。面接は、質問がたくさん飛んできているわけではなく、何かを聞き出そうとしているということを意識できると、全ての質問に回答を考えて挑む必要はないということに気づきました。

4-1 言語化をしつこく行う

自分の考えや将来のイメージなど、言語化することに慣れていると、面接の時に自然と言葉が出やすくなる。会話したり、スマホのメモで気軽に。

■ やること
・エントリーシートを書く
・書き出す、口に出す、人に話す

■ ポイント
・エントリーシートにあるトピック(学生時代に力を入れて取り組んだこと、アピールポイントなど)を中心に、自分の考えや分析で得た情報を考え始めるところからスタートすると楽
・「何について考えるんだっけ?!」と迷子になったら、面接でよく聞かれる質問への回答を考えると楽

■ 手段
|口に出して整理しながら書き出してみる
自己分析や企業リサーチをする中で、気づいたことや再認識したことがあると思います。発散した思考をまとめる作業をすることで、漠然と存在していた就活に対する自分の考えが、少しずつまとまってくると思います。「確かにこれは大事にしているかも・・」など、独り言を話しながら書いてまとめたり、一気に書き出して重要事項に赤丸をつけていくなど、自分に合う1番楽な方法で行うことをおすすめします。

|関係性を見つけていく
将来の目標、今の目標、やりたいこと、苦手なこと、制約、その他諸々。就活では、色々な軸や制約がごっちゃになっているせいで、全ての情報を綺麗に分類してまとめるのは至難の業です。言語化した後は、無理にまとめようとはせず、共通項が多くあったり、内容の近いトピックについて、それらの関係性を把握しておくと良いと思います。それぞれのエピソードや考えに紐づいて整理ができるので、面接での臨機応変な対応に強くなります

■ 体験談
面接前には、企業リサーチと、企業に対する自分の考えなどを、A4用紙いっぱいに書き出すことをしていました(およそ一時間くらいで行うようにしていた)。上記にあるように、膨大な情報と様々な考えを結びつけて発散し、まとめていくことで、自分自身も納得感を持って進めることができてよかったです。飛んでくる質問に対しても、場当たり的に答えるというより、軸を持って話すことができたので、相手にとっても納得感を得やすい話の仕方ができていたのだと思います。

4-2 実践する

「就活を知る」と同じく「面接を知る」ことが大切。場数を踏むほど考えが深まり、話し慣れもしてくる。面接に挑むのも楽になっていく。

■ やること
・実践!

■ ポイント
・メモを覚えようとしない
・話の型をいくつか持っておく

■ 手段
|1人で模擬面接
例えば「課題解決をとことん行うデザイナーを目指したい」という話を面接の場でするとして、この目標の説明の仕方は沢山考えられると思います。より簡潔に伝えるのか、エピソードと絡めて伝えるのか、など、話の手順や接続方法を前もって考えられると、面接の場でもある程度対応ができるようになるはずです。スルスル話せるようになると良いですね。

|面接を受ける
面接の中で得ることは本当に多いです。面接とは、言語化や情報整理に長けたプロのデザイナーの方が、私を知るために様々な質問を飛ばしてくれるスペシャルタイムだと思っていました。場数が増えると、会話の流れから質問の意図がわかるようになったり、意外と各社共通している、新卒デザイナーに求めていることがわかってきたりします。質問の意図や話の展開が把握できるだけで、面接時の落ち着きや安心度はグッと上がりました。

企業に関する内容はその都度異なりますが、自分自身の話は、場数を踏めば熟されていくばかりです。面接は自己分析がすごい速度で進む貴重な機会でもあるので、ぜひ臆すことなく挑戦していってほしいなと思います。

■ 体験談
大失敗したことを覚えています。インターン選考か本番か、記憶は定かではないのですが、ほとんど準備をせずに臨んだ面接がありました。質問がきても、話しながら迷子になって堂々巡りしたり、慌てて思ってもいない将来の夢を語ったり、惨敗です。面接官の方から見たら、人物像がブレブレだっただろうなと思いました。何を聞かれていたのか、あの時何を答えたらよかったのか、大失敗を元に考えることで、解に辿り着くのが早かったように思います。

たまに、想像もしなかった質問が飛んでくることがあります。新たな問いは、新たな発見への切り口なので、私は少しワクワクするタイプでした。慌てずに、真摯に質問と向き合って答える、答えられなかったら、一旦落ち込んでも良いので、「あの時、なんと答えたかったか」について考えられたら十分かと。次の面接では、多少うまく話せるはずです。

さいごに

エンジンがかかりづらいタイプの私は、強制的に始めざるを得ない環境に自分を放ることで、ある程度テンポ良く就活を進めていました。ただ、構えてしまったり、足踏みする時間が長引いた時には、打開するのにエネルギーを使いました。あわせて、就活の辛いポイントは、時間の制約だと思っています。やることも多い上、授業やバイトとの兼ね合いもあって、自分のペースを保てないことが憂鬱のはじまりなのではないかと。

腰が重くてなかなか立つことができない時、そういった状況を打開するのに、「身体を使って壁を打ち破る」イメージよりも「無くならないと思っていたのに、ちぎって食べていたらいつの間にか食べ終えていたパン」のようなイメージで解決できると、心が健康でいられそうですよね。この記事が、足踏みしている誰かの役に立てますように。

疲れた時には、まるくて白い甘いパンを食べながら、体をよくあたためて、ぬくぬくと乗り越えてください。応援しています!

神谷雨音|Kamiya Amane
22新卒として春から就職
事業会社でブランディングデザインに従事
東北芸術工科大学 グラフィックデザイン学科卒業

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?