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初秋の涸沢へ(山と瞑想とわたし)

出発。

2020年9月18日(金)20時。レンタカーで東京を出発する。シルバーウィーク前夜、紅葉もまだだけれども、妻と2人、初の涸沢に向かうことにした。

コロナ禍でもあるし、混雑は避けたい。これまでの登山は、山小屋泊だったが、意を決しテント泊用品をそろえた。大型ザック、山岳用テント、グランドシート、シュラフ、マット。ざっくり10万円強とまずまずの出費である。しかし冷静に振り返るとテント泊1回につき、(小屋泊と比較し)1.5~2万円の節約になる。5回で元はとれる。テント泊は初期投資が必要だが、長期的にみると圧倒的にコスパがよい。家族が多ければ多い方ほど、なおのことそうなるだ。

道具をそろえるため、足しげく通った神田の登山用品店の方は言った。

「夏までは自粛していた山好きの方がこぞって、このシルバーウィークは山にいくみたいですよ」

「げげっ」と思いつつも、納得せざるを得ない。なぜなら自分もその1人だからだ。

「夏までは我慢していたし、そろそろいいんじゃないか。コロナに気をつけつつ、人生も謳歌しないと」

そんなことを思っていた。

金曜夜、長野までの高速道路は空いている。4連休前半の上高地、涸沢の天気予報「C判定」だったせいだろうか、それとも前夜の移動がよかったのか、すいすい進む。

トラブル発生。山梨を通過し長野に入ったあたり猛烈に眠気に襲われる。出発のさらに前日よく眠れなかったせいだろう。理由は明らかで、楽しみでアドレナリンが出ていたのと、コーヒーの飲みすぎが原因だ。

諏訪湖のパーキングエリアでトイレ休憩。たこ焼きを食し、エネルギーチャージし、再出発する。するとわずか15分くらいで松本インターだ。こんなすぐ高速を降りるならもう少し頑張れたと思ってしまった。そこから一般道を1時間程度し沢渡(さわんど)パーキングに着く。駐車場がいくつもあって、迷いそうになる。

第2パーキングは足湯付き、第3パーキングは、上高地行きバスターミナルの最寄。翌朝の行動を考えて、第3パーキングに駐車し仮眠をとる。9月19日0時、おやすみない。

山歩き開始

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9月19日4時30分、わずか数ミリ開けていた窓からの冷気で目が覚める。買ってきたパンを貪り、歯を磨き、バスに揺られること40分くらい、上高地へ移動。ほんの数分で河童橋。YouTubeで何度もみてきた場所だ。これが芥川龍之介『河童』の舞台か。6時30分ということで、まだ人も少ない。

こらからほぼ水平に明神、徳澤、横尾まで11kmの道のりだ。

河童橋すぐの小梨平キャンプ場を通過し、進む。このキャンプ場は、8月に熊が出たらしい。上高地にほど近く、「ひとけの多いこの場所で熊なんて出るのか」と思った。7月、奥多摩で登山道に入る前、コンクリートで固められた一般道で私も熊に遭遇した。200mくらい先を道路わきから飛び出し、まっすぐに向かってきたが、途中で進行方向を90度変え、藪に消えていった。

そうこう考えるうちにキャンプ場エリアも過ぎる。肩が痛い、身体が重い。なんとも軟弱である。テントや宿泊道具が重い。祈っても軽くはならない。もともと登山スタート時は、身体が重く、スロースタータータイプだが、歩き出すと湿気と相まって予想以上に暑い。虫も多い。標高1500mはこのくらいか。明神池につき、小休止をして、また歩く。ここから先がトレッキングエリアだそうだ。

道がひらけてくると気分まで晴れやかになる。

8時10分、徳澤について、コーヒーソフトを食す。ソフトクリームにブラックコーヒーがぶっかけられているので、一度で二度おいしいパターンだ。

9時10分、横尾着。天気予報はCからBそしてAへと好転していき、まさに青天、最高やないか‼ こころなしか肩の痛みも軽減され、歩きはじめよりずっと楽になってきた。もしかして肩も重さに慣れてきたのだろうか。

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ここからいよいよ登山コースだ。

ここまでの反省点は、「水のストックは少なくてよい」ということだ。上高地、明神、徳澤、横尾、ポイントポイントで給水ができる。

ここから約3時間の登山道といいつつ、平坦な道がしばらく続き、少しずつ坂道に変わっていく。

10時30分本谷橋に着く。

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川沿いでの休憩は、マイナスイオン全開で気持ちいい。

ここから急坂がはじまるのだけれど、思いのほか歩きやすい。石のサイズがそこそこあるので、段差の小さい階段のような感じだ。あと2時間で涸沢だ。足腰の疲れというより、ザックの重さがのしかかる。そして暑い。

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足の上下運動に合わせて、歩く瞑想だ。

left,right,left,right,left.左、右、左、右。

涸沢カールまであと少し。

涸沢到着

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12時30分、ほぼコースタイム通り6時間で涸沢に着く。涸沢ヒュッテからの眺めは最高だ。ここからさらに奥穂高へ登る方もいるのだそうが、テント泊初心者としては、ここで上出来(だと思う)。

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妻が準備してきてくれたパスタ(カット野菜、ウィンナー、半茹で冷凍麺、バジルソース)に大満足。ビールを飲んで、そのまま爆睡。

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どこまでも寝れる。そして気づけば夕方、そして夜になっていた。

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「凡人が天才に勝つには睡眠をたくさんとる」ということだが、まさにそうだよね。夜のテント場も、きれいだ。

しかし思いのほか岩ゴツゴツのテント場で驚いた。コンパネ(一枚の板)を500円で貸してくれたが、このコンパネがなかったらテントが破けてしまうのではないだろうか。

「登山×瞑想」は、最高だねと思う今日この頃。

「瞑想」も「登山」も、無理に人に勧めると嫌がられる。シェアするくらいがちょうどよいのでしょう。


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