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【特別編・外国語教授法の歴史 前編】日本語教育能力検定試験まとめ

みなさん、こんにちは。大根です。この記事は、以下の動画の原稿を公開しているものです。(全8073文字)

動画を見ただけじゃ学習が進まない!という方は、以下の原稿をご活用ください。マインドマップの画像も貼っています。

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今日は特別編、「外国語教授法の歴史 前編」です。

検定試験の学習を進めていくと必ず学習しなければならない「外国語教授法」ですが、外国語教授法は本当に様々な種類があります。しかも、名前が似ていたり、内容が似ていたりと、とにかく覚えづらい!苦手な方も多いのではないでしょうか?

僕も試験勉強しているときには、外国語教授法に相当苦しめられました。

「そんな苦しい思いをするのは、もう僕だけで十分!」

これを見ればスッキリ理解し検定試験対策できる、という動画を「外国語教授法の特別編」と題してお届けします!

1本目の今回、次回の2本目の2回に分けて「外国語教授法の歴史」を研究します。平成26年度から令和3年度までの8年分の過去問を参考に、全22種類の外国語教授法をどどーんと紹介します。
しかも、ただ教授法を列挙するんじゃなくて、過去8年間で問われた内容やキーワードなどを盛り込みながらお伝えします。検定試験対策としてきっと高い効果が期待できると思います。
さらに、その教授法が生まれた時代背景や人々のニーズについてもお話しますので、教授法の歴史をイメージとして覚えていただけると思います。

外国語教授法の種類は何十種もあり、過去8年間の検定試験を参考にしたものに絞っても、22種類もの教授法があります。22種類のうち、前編の今日は、「中世〜1950年代、60年代ころ」の外国語教授法12種類を扱います。

僕も教授法をなんとか覚えられないかと色々と試行錯誤しましたが、一番良い方法は歴史順に並べて覚えることでした。

なぜなら
・社会的な背景 と
・人々が外国語に対して求めること(ニーズ)
 
という2つのポイントを背景に、外国語教授法が生み出されるからです。

「こういう時代だったから、こういう教授法が生まれたんだ!」と理解するのが、一番覚えやすいですし、重要です。
単に暗記するのではなく、「社会的な背景」と「人々が外国語に対して求めること(ニーズ)」について理解した上で、外国語教授法を覚えましょう。

文法訳読法

外国語教授法の歴史はどこから始まるか?

検定試験に限らず、赤本やその他の参考書を見ても、一般的に外国語教授法の歴史は「文法訳読法」から始まります。文法訳読法は、中世ヨーロッパからあるラテン語教育のために開発された教授法です。

「文法訳読法」が生まれた“中世ヨーロッパ”は、どんな時代だったでしょうか?

一言で言うなら、「キリスト教を中心に成立・展開したキリスト教文化」の時代です。教会が絶大な力を持ち、人々の生活や文化のあらゆる面を信仰を通して支配していた時代です。

この時代の移動手段は歩くか馬車か、みたいな時代で、国境をこえて人が移動するなんてことはほぼありませんでした。そういう時代に外国語を必要としたのは、宗教関係者と一部の富裕層だけで、外国語に求めたことは「教養」です。「ラテン語で書かれたキリスト教などに関する書物が読める」という教養を身につけるために、「文法訳読法」が開発されました。

文法訳読法は、「目標言語で書かれた文章の文法を教師が解説し、学習者は母語に翻訳することで文章の内容を理解していく」というものです。規則を明示的に説明し、その後個々の言語データに適用させる「演繹的指導」(平成26年度 試験Ⅰ問題6問1)を行います。

読解力を養成し、目標言語を母語に置き換えられるようになる(令和2年度 試験Ⅰ問題4問1)ことが目的で、会話能力の育成には向いていません。

ナチュラル・メソッド

そんな「文法訳読法」に代わる教授法がヨーロッパで台頭したのが19世紀後半です。この時代、何があったのでしょうか?

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