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豊島紀 ⑧そしてぐるぐると豊島は回る

正月二日に豊島の出るイベントがあるらしい、というのは十一月ぐらいからささやかれていて、どうも豊島先生の地元愛知のナニかではないかと想像していたらやはり、名鉄百貨店一宮店初売り日の『ぐるぐる対局将棋』というイベントであることが暮れに判明。

名鉄百貨店の2023年初売り日チラシ。右上を見よ

その全貌がわかった時、「あ、これは行けねえわ」と即座に諦めた。だって徳島から名古屋異様に遠いもん。距離の話じゃなくて(←この「距離の話じゃない」というのは後々に効いてくる話なのでおぼえといてください)、徳島ってのは東海道山陽新幹線のある駅まで出るのにバスで二時間半かかるってのが消耗するんですよ。徳島からSKEの劇場公演何回か行って帰ってきたらけっこうゲッソリしたんだよなー。それに今回名古屋じゃなくて一宮でしょ。それも正月二日にですよ。ムリムリムリ。

ああそれなのに。

なぜ私は正月二日に名鉄百貨店一宮店にいるのか..... _| ̄|●

いや、SUNTORY将棋オールスター東西対抗見て帰った翌日の朝、「一宮……行ってみてもいいかも」とふと思ったもんで……それにわが家は暮れも正月もない、大掃除もしなきゃおせちも作らない家ですから「正月」というのは何も私を引き留めるものがなかった。一宮にはずいぶんむかし、オールスター競輪を見にいったことがあり(私はオールスターが好きなのか)、いい街だという記憶もある。それで出かけたんですけどね、

…………行ってよかったですよ!

SUNTORYの記念撮影のグダグダに文句つけたりしましたが、私はこの一宮のイベントに来て、心から思いました。

「イベントとは、グダグダしてナンボである」

と。いろんな業界のイベントで暖かく心に残ってるのはグダグダなやつばっかだ。「愛あるシロートが一生懸命やろうとするあまりグダグダ」は笑えるいい思い出にしかならない(SUNTORYはなんせサントリーだしシロートが回してるはずないと思うが、いかにもシロートくさくてよかった)。そしてこの名鉄百貨店一宮店のイベントも、いろんな意味で「すばらしきグダグダでサイコー」でした。

まず舞台の名鉄百貨店一宮店。ここが良かった。

デパートにもいろいろありますが、ここは「良いローカルデパート」の典型みたいなところで、川越の丸広とか宇都宮の東武とか、地元に昔からあって地元の客が来て安心できる、垢抜けてないとこが逆に魅力な、リニューアルなんかしちゃダメ!っていうデパートですよ。ローカルデパートがそういうふうに育つのって難しいもので、徳島のそごうなんてイオンに押されて客がいなくなって空気はしらーっとしてるわ照明も暗くなるわで、どうすんのこれ……と思ってたらちゃんと閉店した。ふつうはそうなっちゃうんだ。

その日の名鉄百貨店一宮店、初売りだからってのもあるだろうがそれだけではない熱気っていうんですか、昭和のデパートの賑やかさにあふれていて素晴らしかったです。すぐ横にちょいオシャレな駅ビルがあるのにそっちに負けてなかったですもん。

で、『ぐるぐる対局将棋』の会場は「そういうデパートの、いかにもよくある催事場」、さいしょ私は催事場の階を間違えていて「ついにぐるぐるの本丸に攻め込むぞ! でも気持ちを落ち着けるために一階下のフロアを一周してから行こう」と思ってドキドキしつつフロアを歩いているとデパートのカルチャー広場っぽいところがあって何かの呼び込みをしていて「何やってんだろう、今日は催事がいっぱいあるんだな」と思いながらエスカレーターを上がり、緊張で吐きそうになりながら会場を探したが北海道物産展しかやってない。端から端まで探したのにそれらしいスペースがない。階段の踊り場まで確認したし。そんなとこでやるほど豊島は落ちぶれてないぞ!

青くなってチラシで確認したら一階下の、さっきの呼び込みしてたところが会場だった……。あわててまた降りたら長机がずらっと、コの字というか己の字というか回の字みたいに並んでいて将棋板が置いてあるし、呼び込みのおじさんは「豊島さん来ますよー、レシートあったら将棋の駒のストラップと交換しますよ〜」て言ってるし、それ見て聞いてるはずなのにさっきなんで気がつかなかったんだよ。先日、千田翔太七段が後手番なのに初手指してその瞬間反則負けでニュースになってたが、人間は思い込むと見えるものも見えないし聞こえるものも聞こえなくなるということが、このことでもよくわかる。

並んだ机の前方というか後方壁際に小さなステージ(高くない。地べた)がしつらえてあって、その前に丸椅子がバラバラと並んでいて、その最前列にはすでに、岩場にはりつくイソギンチャクのようにファンがいる! 北海道物産展の中に豊島の居場所を探し回っているうちに、また遅れをとってしまった! 負けずに私もイソギンチャクの一員となるべく二列目の丸椅子に座った。

……とはいえそれは定刻の三十分前。座ってるのは10人ぐらいだし後ろ見たって誰もいないし辺り一帯がらーんとしてるしこの会のスタッフらしいおじさんが盛んに呼び込みしてるぐらい客がいないんですが……このままスカスカで開始とかいう事態があったりするのか? と不安になっていたら、このイベントの主催というか運営主体というのか『尾張一宮将棋同好会』の神田会長が出てきた。

「もーじき豊島先生と岩佐女流がきますけんね〜」(←こんな方言じゃないんだけどこんな感じ)

この神田会長、神田のおっちゃんというのがふさわしい、人懐っこくて親切でいい意味で空気の読めない将棋大好きなおっちゃんで、この人がこのイベントを回しはじめた時点でもう、「これは忘れがたい神イベントになるのでは……!」の予感がバリバリである。

神田会長のうれしくてたまらない「イイ笑顔」


神田さんは「質問あったらこの紙に書いて出してね〜。こちらで質問選ぶから、当たった人は自分で豊島先生や岩佐女流に直接質問してね〜」と、紙を配りだしたのでもらった。質問コーナーがあるのはわかっていたから、一つ考えてたやつがあったのだ。神田さんは「豊島先生お正月はどう過ごしましたかーとか、そんな質問でもなんでもいいからね〜」というのでもう一つ、思いついたのを書き足して提出した。

神田さんがそりゃもううれしそうにいろいろ前説をしているうちに、ふと気づくとステージ回り人いっぱいで、長机のむこうにまで人が群がってるし! 一宮の豊島人気すげーと思ってる間に、岩佐美帆子女流2級が来ました。

うわ……岩佐さん可愛いんですが……岩佐さん写真写り悪いよもっといい写真撮ってあげてくれ……ホンモノは美少女だ……。

岩佐女流2級。袴がすごく似合いそう。巫女さん姿もさせてみたい

そして豊島がふいに登場した。うわ、わわ、わ、来た、来たよ。ってそりゃ来るよ出演するんだから。サントリーの前夜祭の時ほどじゃないが(多少は慣れたのだと思われる)今日も目がくらんだ。やはり体内から光っている。

そして神田さんのご紹介で、豊島・岩佐のご挨拶となる。こないだのツーショットの時はツーショットの瞬間だけは近接するがあとは「舞台にかぶりつき」とはいってもある程度の距離がありましたわけですが、その時よりもっと近いし、同じ高さのとこにいるし……どーすんのこれ!

ステージの飛沫フェンスガードの手作り感もよかった。……ってそれどころじゃないよ豊島だよ!

もう、年末から年始にかけていきなり純度高いやつを静注されてガンギマリ状態になった私。しかしその時はなぜか不思議なほど落ち着いていた……って書いてみたけどそれウソだな。浮き足だってたわ。ピンボケ写真大量に撮ってるし。何気取ったこと書いてんだ。

式次第によれば、ご挨拶のあとに『ぐるぐる対局将棋』が開始となり、ぐるぐる将棋が終わったあとに「豊島・岩佐両先生に質問コーナー&トーク」ということなのでそのつもりでいたら、神田さんが「そんじゃお二人に質問がきとるでね、答えてもらいます。えー最初の質問はー」と手元にある質問用紙をぺらぺらとめくりだした。「え。質問コーナーってぐるぐるが終わったあとじゃなかったのか」

初手からスケジュール無視! いい感じのグダグダになりそうな予感、とか喜んでいたら、「最初の質問はー……えーとこれ、青木さん?」

げ。

私かよ! 神田さんがマイク持ってニッコニコで「どうぞこっちに出て豊島先生の前で質問して」って言うから「ダメですいいですそんなめっそうもない!」ってブンブン手を振って断ったらドッと笑われ(豊島先生も笑ってるし……!)、質問しました……。

「豊島先生、今年の初夢はご覧になりましたか?」

声震えたし。こっちは「正月にちなんでの質問」で思いついて書き足したやつです。私がマイクもらってその質問をしたのち、私のマイクが豊島さんに渡るという「いいのか! いいのかー!」という事態のすえに豊島先生がお答えになったのは、

「あー…あんまり初夢とか意識してなかったので、……何か見た気がするんですけど、どんなだったのかおぼえてないです(と笑う)」

これは実にリアルな、ウソのないお答えだと思った。そのあとの話に出てたけど「大晦日も元日も研究やってた」そうだし、初夢とか意識もしてないだろう。それに私も最近そうだけど夢見ても朝には忘れてんだよねー、って私といっしょにしちゃいかんか。終わったつもりでぐったり力が抜けてたら神田さんがニッコニコで「もう一つのも」ってマイクを再び渡された(豊島先生が持ってたマイク……)のでもう一つの質問もする。

「岩佐先生、豊島先生にほめられたこと、叱られたことがあったら教えてください」

これが家から用意してきた質問だった。豊島先生笑ってたが、岩佐さんはほんとにまじめに考えて(わりと長考)答えてくれた……んですがアタマがぶっとんで記憶が混濁してるので正確な返答が思い出せないんですが確か、

「叱られたことはないと思う(←ここ真顔)けれど、終盤の進め方について注意というか、してもらったことがあります。ほめてもらったことは……やっぱり対局の進め方でいいところを、ここがこういうふうにいいとほめてもらいました」

というようなお答えをいただきました。ありがとうございます。いやー正月早々お年玉もらった。2023年の運を使い果たしたかもしれん。

そのあとも何人かの質問が続き、ふつう一人一問だと思うじゃないですか、採用された人も一問きいたらそのつもりでマイク返すのに、神田さんが「もう一個書いてたでしょ、それも!」ってニッコニコでマイク再び、なのである。そして豊島先生も岩佐さんも、丁寧にゆっくり考えて答えてくださる。たまに神田さんも入ってきて質問したりする。それで盛り上がったり脱線したり面白いからいいんだけど、本来の「ご挨拶」のパートに質問コーナーが乱入してすごく伸びちゃっているのだが。それに、ぐるぐる将棋後の質問コーナーはどうなるのか。質問はここで終わらせて本来の質問コーナーのところをトークコーナーにするとかか? とか気になってしょうがないが、どう転んでも面白いだろうと思ったから考えないことにした。

この質問コーナーで私がとても印象に残ったのが、「アマ初段ぐらいになりたいのですが、どういうふうに勉強をしたらいいでしょうか」という男性の質問に豊島先生が、

「詰め将棋を、そんな難しいのじゃなくて簡単な詰め将棋でいいので、それをたくさんやって、見たらすぐわかるぐらいになるといいと思います」

これには「そうか!」と目が開いた気がした(しただけでぜんぜん棋力なんか上がりゃしないが)。素晴らしい知見をありがとうございます。あとはこれですね。

なんかこのツイート、私史上最大のイイネを貰ってるんですが……しかし確かにイイ話ではある。豊島先生はマンガの登場人物でも「真面目系変人が好きなようです」とおっしゃっているが、ご本人も真面目系変人というか真面目系ブラックというか真面目系ぶった切りの人のように思われる。

質問者四人終わったところでようやくコーナーが終わりになり、先生お二人しばらく休憩ののち、ついに『ぐるぐる対局将棋』となる。何ですかぐるぐる将棋って。それはテーブルに地元一宮の将棋好きの皆さんが35人、それを豊島先生、岩佐先生、神田さんが順番にぐるぐる指導対局していくという、多面指しですね。神田さんが「将棋好きな子ども」をすごく応援しているから小学生ぐらいの子がいっぱい来ていて、私が見物してた机の子は小学校低学年かなあ、目の大きな可愛い女の子で、豊島先生が来てぱちっと指したら「ワァとよしませんせいだ……」なんて気を取られたりもせず盤面だけにらみつけて、ただちに「同銀!」とかやって、すごいのである。こっちみたいな色と欲との二人連れみたいなことのない、純粋に将棋が好きな様子に感じ入った。いやー指導対局にはこういうお子さんみたいな人が参加するべきであるな。私はまちがっても指導対局には近寄らないと誓った(見物はする)。

とにかく私は今回、豊島の「指し手」の写真を撮るのが最大の目的だったのでこんな写真が何十枚もある。並べてもいいがいかにも気味が悪いのでやめておきます。ゆびゆびゆび。

あと、こういう素人相手の指導対局の時にどういう感じで指すのかなあと思っていたら、豊島先生も岩佐先生も、けっこうクールにぱちりとやってサッと去っていくというのが意外でかっこよかった。が、勝負がつくと──さいしょに勝負ついたのが小学校低学年男子だったが(どっちが投了したのかは見逃した)、豊島先生は机にしゃがみこんですごく熱心に感想戦やって「こっち金を指してたら」「じゃこっちは?」「いったん引いてから」とかきれぎれに聞こえてきて、いつかぜったい指導対局を受けようと誓った(見物もする)。

一手ですべて見透かされる。指導対局など百年早い。

これでぐるぐる将棋を立ちっぱなしで二時間近くじーっと見ていたという、新年早々何をやってるんだという日でした。しかしやりきったという達成感はある、が誰もほめちゃくれません。このあと、また休憩をはさんで、「質問コーナー(本来の)」となる。さっきのステージのところで、いったん片隅に片付けられていた丸椅子を客が手分けして出して並べて、座った……けどあからさまに最初の質問コーナーの時よりも丸椅子がステージに詰め寄っていて椅子の密度も詰まっている……そしてその最前列ドセンに座ってる私……いい年して何やってんだとやや反省するが、やっぱ両先生が出てこられると「最前列は前をさえぎるものがない……しあわせだ」と思ったので人間としてもはやダメだと思う。

すでに質問コーナーやっちゃったからどうすんのかなーと思ったら、ここでさらに質問コーナーが続くのだった。とにかくこのイベントを回している神田さんが「憎めないおっちゃん」そのもので、さっきまでは使えていたマイク(古いポータブルの、そんなに高くなさそうな……デパートの備品なのかそれとも)はすっかり音が出なくなってしまい、「大声対応」でなんとかするという状況で、こういうのって場合によっては「いい加減にしろ!」案件なのだが、なんかこう、「許してしまえる」んですね。愛すべきグダグダとしてみんなが「しゃーないわ」と思えるという、そのへん神田さんのキャラによるものも大きかったと思う。それに神田さん、しゃべりはトツトツとしてるが声は通るんだ。キモになる単語はちゃんと聞こえる。そして、質問する小学生男子や小学生女子の声がちっちゃいと、神田さんが大きな声でみんなに聞かせてくれて、豊島先生も声を張って皆さんに聞こえるように、目の前の小学生に言い聞かせるようにしゃべるという、けっこう珍しいところも見れたのでたいへんよかった。

しょうぎがつよくなりたいおとこのこと、つよいおとこのこ。

で、豊島発言の、いつもの通り印象に残ってることだけ書いていきますが(それも記憶に頼ってるのでニュアンスちがってるところもあるかもですが)、

「(負けた時は)その日のうちはまずい指し手のことばっかり考えてしまうが、翌日になって検討してみていいところを見つけたりして、なんとなく次に進む感じ」

私も豊島が負けると気絶したりするので、ご本人である豊島さんのこの言葉を拳拳服膺して、ちょっとでも気持ちを強くしたいと誓った。あと、質問が採用されたが質問者が出てこなかったので神田さんに代読された

「藤井聡太に身ぐるみはがされたけど藤井聡太のことはどう思ってんだ(大意)」

という、すげえこときくなーと思いつつもたぶんみんながききたいと思う質問。神田さんが「これ、ここに書いてあるまま読みますよ!」って笑いながら言って会場も笑いに包まれたその質問に、豊島はわりと真顔で答えたので「はっ」とした。といって、気を悪くしてる感じはぜんぜんなく、

「要は自分の棋力が上がれば(対藤井聡太だけでなく)あらゆる問題は解決すると思う」

的なことをいつもの調子でたんたんと言い、私は「ああ……これが豊島将之だ……」と感じいったのだった。電王戦のあとに対人の研究会をいきなりぜんぶやめた、というエピソードが、豊島の思想というか行動原理の一端を表すものとして私はものすごく好きなのだが(というより、すごくかっこいいと思う)、それと通じるよな、この身も蓋もない答えは。あー、そうだ、先日の棋聖戦二次予選の対稲葉陽の対局、あの時にも「うわ、これはなんと身も蓋もない勝ち方」とあっけにとられた&ある種の感動に打たれたことを思い出した。

豊島の対局を見ていて、私は徐々に「あるイメージ」を固めつつあるのですが、もしかするとぜんぜん見間違いかもしれないんだけれど、しかしこうやってオフのトークなんかもきいてると、「うむ、やっぱり豊島という人は〇〇なのかもしれない」と思っちゃうな。〇〇についてはまだ書けない。〇〇をちゃんとまとめて発表できる日は来るだろうか。

と、そんなこんなでぐるぐる対局将棋&質問コーナーのイベントも終局をむかえることになった。最後に特別プレゼントとして「豊島が竜王名人時代」の揮毫入り扇が、「名鉄百貨店のレシートで高い値段のを持ってる人から順に三人に豊島さんから手ずからもらえる、というのがありまして、私は名鉄百貨店どころか愛知県で一銭も使わなかったというダメ客だったので当然権利無しだった。すると神田さんがにこにこしながら扇をもう1本持って出てきて、

「じつはあと1本あったので、……そうですね、この中で、いちばん遠くから来た人に豊島さんから渡してもらいますね!」

なんだと……

こういうのはいつもスルーするがこれに限っては……最初に手を挙げた人が「倉敷」と言いどよめきが起こり、これは……イケルのでは……。思わず手を挙げて「とと徳島です」と言ってしまった。けっこう驚かれたが(そういやこないだのSUNTORYのツーショットで、豊島に「徳島から来た」って言ったけど忘れててくれ〜。またはるばる来たのかよ正月二日に…何やってんだよ…とか思われるのはつらい)、次の人が広島から来た人で、広島に決まってしまった。

そりゃ確かに距離でいえば広島のほうが遠いよ……でも新幹線1本じゃん! こっちはバス乗って新幹線で、広島から来るより一時間近く余計にかかるんだよおおお……!

しかし旅費は広島のほうがかかるな……やはり負けか…

しかしそんなことで暴れるようなヤカラ姿を豊島さんに見せるわけにはいかない、それでなくても不審者みたいなことをすでにやってる気がするし……私は潔く諦め、退場していく豊島さん岩佐さんを拍手で見送ったのでした。その日は朝から飲まず食わずで午後五時で、新幹線で大阪についてから、駅のパン屋でパン買ってバスの中でむさぼり食いました。よい一日でした。豊島さん岩佐さん、そして神田会長ありがとう。このあと神田さんと豊島と(たぶん岩佐さんも)寿司食べに行ったそうですが、豊島先生のお好きなネタはなんなのでしょうか。

「それは内緒です」(新春の福の神)


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