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ファイザー(PFE)に新たな大型買収計画が浮上したが、それだけでは終わらない

ファイザーが注目を集め続けるのには正当な理由がある

製薬会社ファイザーはこの1年間に数々の買収を行い、今後も「買収を積極的に実施していく」意向を明らかにしています。先日も、その約束を見事に果たしました。

ファイザーは3月13日、がん治療薬を専門とするシーゲン(SGEN)(旧名シアトル・ジェネティクス)を430億ドルという巨額の現金で買収するという、超大型買収計画を発表しました。買収は2023年末または2024年初めにも完了する予定で、この動きによってファイザーの見通しは改善が見込まれますが、これは同社経営陣による一連の重要かつ有望な戦略的決定の新たな1件にすぎません。

今回の動きを含め、ファイザーの見通し改善につながった一連の動向を振り返ってみましょう。

スピンオフによって売上成長が加速

ファイザーはかつて、アップジョンというジェネリック医薬品部門を持っていましたが、2020年にスピンオフによって分社化しました。アップジョンは、ジェネリック医薬品大手のマイラン(当時)と統合し、新会社「ビアトリス」(VTRS)となりました。ファイザーにとって、なぜこれが良い動きだったのでしょうか。アップジョンは、ファイザーの事業多角化に寄与していましたが、売上高や利益の成長において足を引っ張っていました。

アップジョンが提供する製品の多くは、以前から売上が落ちていました。売上が落ちているために多角化効果も低くなっており、また事実として、事業が大きくなるほど管理が難しくなっていました。この部門を手放すことで、小さくなったファイザーは業績の良いバイオ医薬品部門に集中できるようになり、迅速な意思決定が可能となり、売上高成長率を加速させることができました。

ファイザーが注目を集め続けるのには正当な理由がある

製薬会社ファイザーはこの1年間に数々の買収を行い、今後も「買収を積極的に実施していく」意向を明らかにしています。先日も、その約束を見事に果たしました。

ファイザーは3月13日、がん治療薬を専門とするシーゲン(SGEN)(旧名シアトル・ジェネティクス)を430億ドルという巨額の現金で買収するという、超大型買収計画を発表しました。買収は2023年末または2024年初めにも完了する予定で、この動きによってファイザーの見通しは改善が見込まれますが、これは同社経営陣による一連の重要かつ有望な戦略的決定の新たな1件にすぎません。

今回の動きを含め、ファイザーの見通し改善につながった一連の動向を振り返ってみましょう。

スピンオフによって売上成長が加速

ファイザーはかつて、アップジョンというジェネリック医薬品部門を持っていましたが、2020年にスピンオフによって分社化しました。アップジョンは、ジェネリック医薬品大手のマイラン(当時)と統合し、新会社「ビアトリス」(VTRS)となりました。ファイザーにとって、なぜこれが良い動きだったのでしょうか。アップジョンは、ファイザーの事業多角化に寄与していましたが、売上高や利益の成長において足を引っ張っていました。

アップジョンが提供する製品の多くは、以前から売上が落ちていました。売上が落ちているために多角化効果も低くなっており、また事実として、事業が大きくなるほど管理が難しくなっていました。この部門を手放すことで、小さくなったファイザーは業績の良いバイオ医薬品部門に集中できるようになり、迅速な意思決定が可能となり、売上高成長率を加速させることができました。

新型コロナウイルス関連市場で大成功

ファイザーは2020年初め、バイオンテック(BNTX)と提携し、新型コロナウイルスワクチンの開発競争に参戦しました。ファイザーが抜け目ないのは、バイオンテックは当時、既に候補となるワクチンを生み出していたことです。ファイザークラスの規模の企業にとって、これは低リスク高リターンの動きでした。ファイザーは、規模の小さいバイオンテックや、ワクチン開発で競っている他のバイオ医薬品企業よりも、はるかに潤沢な資金を武器に、ワクチン開発を大幅に加速させることができました。

仮に、もしこの取り組みが成功しなかったとしても、ファイザーにとって、この投資はそれほど大規模ではなかったはずです。幸い、この投資は大成功を収め、ファイザーは新型コロナウイルスワクチン市場のリーダーとなりました。とはいえ、これは偶然の産物ではありません。ファイザーは、新型コロナウイルス感染症の代表的治療薬であるパクスロビドを開発・発売し、その力を証明しました。新型コロナウイルス関連分野での活躍により、ファイザーは過去2年間に記録的な売上高を計上しています。

2022年の売上高は過去最高の1,003億ドルとなり、今回のシーゲンを含む一連の買収劇を可能にしました。

ファイザーの次の目標

ファイザーは今回の買収により、がん領域のラインナップの拡充が見込まれます。シーゲンは4つのがん治療薬を持っており、2022年の売上高は前年同期比24.6%増の約20億ドルでした。また、ファイザーはシーゲンのパイプラインにも関心を寄せています。アルバート・ブーラCEOは今回の買収について、「我々は金の卵を買うのではない。金の卵を産むガチョウを買おうとしているのだ」と述べました。

ファイザーは、シーゲンからもたらされるリスク調整後収益が、現在のパイプラインからの20億ドルを含め、2030年には100億ドルを上回り、その後も大幅に成長すると見込んでいます。ファイザーは2023年初めに、コロナウイルス関連以外の売上高が2022年の436億ドルに対し、2030年には700億~840億ドルになるとの見通しを明らかにしました。

シーゲンが加わることで、ファイザーは2030年にかけて売上高が急増する見通しです。この他にも、株価上昇が期待できる複数のカタリストがあります。今後1年半の間に19の新製品が上市を控えています。同社は通常、年間に1、2件の新製品しか発売しないため、これは桁違いに多い数です。

また、新型コロナウイルス関連で稼いだ資金を使って、さらなる買収を行う可能性もあります。最も重要なことは、経営陣が見通しを改善させるために重要な戦略的決断をし続けていることです。経営チームは、その企業が長期的に成功する上で最も重要な要素の1つです。

そのため、ファイザーは今後も多くの重要な行動を取る可能性があり、投資妙味があると言えます。

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