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仮想通貨・暗号資産プラットフォームのBitCloutが金額不明で資金調達など:米国主要VC投資調査vol.33

今週は11件でした。

お知らせ

昨年7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。

米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。スタートアップやベンチャーキャピタル、投資家の方の参考になれば幸いです。


【2021/03/22〜2021/03/28】

< Andreessen Horowitz:5社 >
・AKASA $60M / Series B / 業務自動化(医療)
・AnyRoad $10M / − / データ解析
・Komodo Health $220M / Series E / データ分析(医療)
・Loft $425M / Series D / 不動産
・Neighbor $53M / Series B / シェアリング(不動産)

< Kleiner Perkins:1社 >
・Sidekick $2M / Seed / OS

< Sequoia Capital:4社 >
・Mote $2M / Seed / 音声メッセージ
・Middesk $16M / Series A / データベース
・StarkWare Industries $75M / Series B / ブロックチェーン
・Rec Room $100M / Venture / ソーシャルゲーム

< Andreessen Horowitz & Sequoia Capital:1社 >
・BitClout ? / Seed / 仮想通貨取引所


< Andreessen Horowitz:5社 >

AKASA $60M / Series B / 業務自動化(医療)

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参照元/URL:https://akasa.com/

医療向けの業務自動化サービスを提供するAKASAがシリーズBで$60Mを調達。

Bondがリード、Andreessen Horowitz、Costanoa Venturesがこのラウンドに参加しました。

2018年に設立されたAKASAは、病院の既存の電子カルテや、収益サイクルのインフラの中で運用することで効率性を向上させることができるそう。

また、「機械学習機能により、コストや、時間のかかるアップグレードやメンテナンスの必要がない」と、共同創業者/CTOのVarun Ganapathi氏は述べています。


AnyRoad $10M / − / データ解析

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参照元/URL:https://www.anyroad.com/

https://venturebeat.com/2021/03/24/how-anyroad-lets-brands-measure-customer-experiences-online-and-offline/

顧客体験の可視化・測定(?)プラットフォームを提供するAnyRoadが$10Mを調達。前回がシリーズAだったので、位置づけとしてはBかなと。

Andreessen Horowitz、Runa Capitalがリード、Rally Ventures、Precursor、Day One Venturesがこのラウンドに参加しました。

2014年に設立されたAnyRoadは「ブランドによる顧客体験の創造、管理、測定を支援する体験関係管理サービス」とあり、サイトを見た感じだと、オンライン予約、フィードバックデータの収集、データ解析、チケット予約&決済など、「ブランドと顧客のタッチポイントを押さえる」ことが強みのCRMサービス(顧客管理システム)。

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Source:https://www.anyroad.com/

企業としては、AnyRoadを導入することで、顧客情報の管理・セールス・効率化などのメリットがあり、すでにネスレやホンダなどの企業が顧客になっています。

参考記事:CRMとは?導入検討時に知っておきたい基礎知識と活用方法


Komodo Health $220M / Series E / データ分析(医療)

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参照元/URL:https://www.komodohealth.com/

医療データ分析プラットフォームを提供するKomodo HealthがシリーズEで$220Mを調達。評価額は$3.3Bnへ。

Tiger Global Managementがリードし、Casdin Capital、ICONIQ Growth、Andreessen Horowitz、SVB Capitalがこのラウンドに参加。

2014年に設立されたKomodo Healthは、AI技術と高度なデータ分析、臨床専門知識を用いた「Healthcare Map」サービスを3億2500万人以上のユーザーへ提供している。

これは医療に関するあらゆるデータ(病気の症状や通院記録などの患者/ユーザーに関するもの)を活用することで、適した医療の提供や、病気の早期発見ができるようになるということかなと。

また、新薬の開発や、投与後の症状の確認にも役立てることができると思いますし、プライバシーの問題はデータを扱う以上は必ずありますが、ビッグデータがこの分野ほど活かせるものはない気がします。

参考記事①:医療を変革する「AI」活用。デジタルヘルススタートアップの最新動向を分析:eMarketerレポート
参考記事②:国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表


Loft $425M / Series D / 不動産

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参照元/URL:https://www.loft.com.br/

不動産プラットフォームを提供するLoftがシリーズDで$425Mを調達。

D1 Capital Partners、Advent、Altimeter、DST、Silver Lake Waterman、Soros、Tarsadia Capital、Tiger Global Management、Andreessen Horowitz、Caffeinated、Fifth Wall、Monashees、QED Investors
、Vulcanなどが参加。

不動産の検索から購入、その後のリフォームや保険の対応など、多くのことがオンラインで出来るLoft。2018年に設立されたことを考えると評価額が$2.2Bnというのは驚異的ではないかなと。

昨年には掲載される物件数が10−15倍になり、サンパウロとリオデジャネイロの約130の地域で13,000件以上を管理し、3万人以上の仲介業者とも提携。

また、同年に住宅ローン企業を買収し、この事業にも参入したとのこと。

不動産の購入をオンライン上でするとしても、物件自体は実際に見る人の方が多いはずなので、それまでの仲介が100%が置き換えられることはないように感じます(提携している意味としてカスタマーサポート的要素が強い気が)。

ユーザーとしても物件が探しやすくなり、その後の手続きも簡単+リフォームや保険にも対応しているのは良いなと。Loftだけで購入に踏み切ることは少ない気がしますが、買うにあたってのハードルを下げる意味は大きいと思いました。


Neighbor $53M / Series B / シェアリング(不動産)

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参照元/URL:https://www.neighbor.com/

不動産のシェアリングサービスを提供するNeighborがシリーズBで$53Mを調達。

Fifth Wall Venturesがリード、Andreessen Horowitz、Tony Xu氏(DoorDash/CEO)、Scott Cutler氏(StockX/CEO)などがこのラウンドに参加しました。

2017年に設立されたNeighborは、オフィスビルの空きフロアや、活用されていない店舗・複合施設の「ホスト」と、そういったスペースを必要としている「ゲスト」を繋ぐプラットフォームを提供。Airbnbのオフィス版をイメージしたらわかりやすいかもしれません。

創業者/CEOのJoseph Woodbury氏は「昨年、当社は全米規模まで成長し、上場企業であるPublic Storage社(トランクルームのリース企業)よりも多くの州でアクティブな借り手を抱えています」と述べています。

記事には、従来よりも40%−50%ほど低い価格設定になっているとあり、これも大きな強みですね。この設定でも利益が出せるということは、人件費を含む固定費をかなり抑えられているのではないでしょうか。むしろ、そうしないと半額近い料金で利益は出ない気が。

自社だけでなく、不動産管理企業と提携することで、プラットフォームの充実を図っています。

国内でも、銀座やその周辺の超一等地のビルがCovid-19の影響でガラ空きになるといったニュースを見た方も多いかと思いますが、こういった物件も空きスペースの活用として一般開放される日が来るのかもしれませんね(適当)。



< Kleiner Perkins:1社 >

Sidekick $2M / Seed / OS

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参照元/URL:https://www.meetsidekick.com/

生産性を高めるOSを提供するSidekickがシードで$2Mを調達。

Kleiner PerkinsとRemote First Capitalがこのラウンドに参加しました。

2019年に設立されたSidekickは、「ChromiumブラウザをベースにしたOSを提供している」とあり、Google Chromeでの拡張機能としても提供しているそう。

利用イメージは下の画像が分かりやすいかと思うのですが、ブラウザ上でアプリを管理する感覚でしょうか。1つの機能として、ユーザーが使用しないタブを予測(?)してメモリから削除することでRAMの消費を抑えることも可能。

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Source:https://www.meetsidekick.com/

現在は、Microsoft、Dropbox、Slack、Lyftなどの企業で導入されていて、3万人以上がユーザーとして利用しているとのこと。

実際にDLして触ってみたのですが、動作が早い。普段はChromeを使ってこのマガジンや、調べもの、ネットサーフィンなどをしている感覚と比べて「早い」の一言に尽きるなと。軽いという表現が正しいかもしれません。

個人的に重要なブックマークが初期設定では表示がなく、そもそも固定表示できるのかもサラッと使った感じでは分からなかったのですが、常にあの読み込みスピードなのであれば、Chromeから乗り換えるのはアリだなと思いました。

正直ブラウザにこだわりがあるわけではなく、使い慣れているから使っている、という人が僕含めて大半だと思うので、意外と可能性はあるのかも。

Safariが良い・ブラウザは使い分ける、というこだわりのある方にも一度使ってみて欲しいと感じました(サイトのDownload nowボタンからすぐですw)。



< Sequoia Capital:4社 >

Mote $2M / Seed / 音声メッセージ

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参照元/URL:https://www.justmote.me/

ボイスメッセージング企業のMoteがシードで$2Mを調達。

Craft Venturesがリード、Sequoia Capital、Oxford Angel Fundもこのラウンドに参加。

2020年に設立されたMoteは、共同創業者のWill Jackson氏とAlex Nunes氏が、リモート環境で働くチームが効率的・共感性の高いツールが必要だと考えたことが原体験になっています。

現在は、リモートワーカーだけでなく、研究者や教育者など多くのユーザーが、タイピングの代わりにボイスメッセージを送る/添付することで、時間の節約だけでなく、コミュニケーションが円滑になったと(後述しますが)Google Chromeの機能レビューにもありました。

学校でも世界170カ国・米国50州の10,000校以上が導入、最近ではGmailとの統合によって、Gmail内で音声メッセージを作成・添付することができるようになったとあり、設立1年とは思えない速さだなと。

ZoomやMicrosoft Teamsなどの「ビデオツール」がCovid-19の影響で普及し、「スマホ/PCに向かって話す」ことが一般的になった今だからこそ、このスピード感で伸びてきていると感じます。

これがもし逆であれば「テキストの方が気楽」「それなら電話の方がいい」という状態で伸びる余地が限りなく0に近かった気が。まさにタイミングの問題。

タイミングと書いて思い出したのですが、起業家・エンジェル投資家の有安 さん(@ariyasu)の、このツイートが個人的にとても好きでスクショしてよく見返しています。

これは書いてある通り事業に限らず、日々の一挙一動すべてがそうだと感じています。会話で言えば、「言葉」「温度感」「相槌」など。あ、これは野球の方が分かりやすいですね。

バットを振るタイミング次第(厳密には角度や速度もありますが)で、ホームランにもアウトにもなると考えると伝わるかなと思います。

話が逸れましたが、MoteはGoogle Chromeの拡張機能で利用することが可能で、週間利用者数が100万人を突破。国内(主にTwitter)では、利用しているという声はまだ聞きませんが時間の問題かもしれません。


Middesk $16M / Series A / データベース

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参照元/URL:https://www.middesk.com/

検証スタートアップ(?)企業MiddeskがシリーズAで$16Mを調達。

Sequoia Capitalがリード、Y Combinator、Accelがこのラウンドに参加しました。

2018年に設立されたMiddeskは、検証系という全体が掴めない企業だと思ったのですが、過去の記事も合わせて見ると「納税者番号と名前の確認」「納税口座の登録」「Webサイトのリスク検証(法に触れるコンテンツの確認)」が主な事業のようで、「データベース」の扱いになるのかなと。

税金回り・納税口座等の記載があり、「企業が州政府への納税口座の登録をより簡単に行うことが可能」ということからも、HR要素もあるスタートアップだと感じました。

すでに7500万以上の企業の設立書類や納税者番号など、潜在的な企業の顧客に関するデータベースを提供していて、収益は昨年5倍に。バックオフィス業務のSaaSという捉え方が良さそう。


StarkWare Industries $75M / Series B / ブロックチェーン

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参照元/URL:https://starkware.co/

イスラエルのブロックチェーン企業のStarkWare IndustriesがシリーズBで$75Mを調達。

Paradigm(仮想通貨専門VC)がリード、Sequoia Capital、Founders fund、Alameda Research、Three Arrows Capitalなどが参加しました。

ParadigmのMatt Huang氏は「我々は、彼らがDeFi、NFT、Ethereumをより広範囲に拡大するのを支援できることに興奮しています」と述べている。

ブロックチェーン関連ということは分かったのですが、詳しい事業内容が掴めず。

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Source:https://starkware.co/product/starkex/

「同社のスケーリング技術とセキュリティ技術には、NFT分野から注目が集まっている」とあり、個人的にNFT関連のマガジンを書いているので非常に興味があるのですが。


Rec Room $100M / Venture / ソーシャルゲーム

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参照元/HP:https://recroom.com/

ソーシャルゲームプラットフォームのRec Roomが新しいラウンドで$100M を調達。評価額は$1.25Bnへ。

Index Ventures、Sequoia Capitalがリード、Madrona Venture Groupがこのラウンドに参加しました。

前回取り上げた時は、iOS、PlayStation 4、Oculusを含むデバイスや端末は利用が可能で、Androidのみ非対応だったのですが、今は対応しているそう。

この時にも書いたのですが、ゲーム内で作成できるルームというのは「コミュニティ」だと僕は解釈していて、ゲームが好きな人が集まるルームがあれば、ただ話したい人が集まるルームがあるなど、mixiのコミュニティが近いような気がします。あれのVR版とも言えるのかもしれません。

プレイしてないので違う部分はあるかと思いますが、mixiの時と大きく違うのは、「没入感」が強いのでは?と感じていて、同じコミュニティ(Rec Room以外のVR系)でも、他者の存在を身近に感じることができ、VRという空間でゲームや音楽などを一緒に楽しむことができる、オンラインでの自分の存在意義が感じられるなど。

個人的にはこういったコミュニケーションにおいて、「非日常」と「日常」の境目を薄く、グラデーション化させたことがVRの一番の功績ではないかと思います。

「ネットなんてオタクがやるもの」という空気があった時を思い返すと、想像もつかない世界になっていると感じますが、今後さらにこの境目は薄くなって、重要性が「オンライン(仮想) > オフライン(現実)」と捉える人が増えると思うとすごくおもしろいですね。この流れがNFTにも大きな影響を与えているのかなと。

セコイアに関しては、初期のシードからすべてのラウンドに参加しているのでどれだけ持っているのかが一番気になりましたw



< Andreessen Horowitz & Sequoia Capital:1社 >

BitClout ? / Seed / 仮想通貨取引所

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参照元/URL:https://bitclout.com/

仮想通貨取引所(?)を提供するBitCloutが資金調達を実施。

Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、Digital Currency Group、Coinbase Ventures、North Island Venturesなどが参加。

今日の時点(2021/03/23)では、ローンチ前のプロジェクトということで、HPでは「Welcome to the BitClout blockchain. A password is required to access this node.(BitCloutブロックチェーンへようこそ。このノードにアクセスするには、パスワードが必要です。)」と表示されていて情報が明らかにされていません。

記事にあった業界紙によると、BitCloutに接続された1つのウォレットに、公開前にも関わらず、1億6500万ドル相当のビットコインが入金されているそうで期待値の高さが感じられます。

仮想通貨取引所という表現がありましたが、「BitCloutのプラットフォームに入れたビットコインは、BitCloutトークンに変換され、ネットワーク内の個々のクリエイターに使うことができる」とあったので、仮想通貨ベースのプラットフォーム・コミュニティという認識が正しい?

情報がまだ少ないですが、いずれにしても、このリリースについては国内でも話題になりそうだなと思いました。今後の流れによっては海外アート最新動向マガジンでも取り上げるかもしれません。

a16zに関しては、「a16z crypto」という仮想通貨専門ファンドからの投資のようですね。これまでにもEco、Arweave、Celoなど9社に投資をしています。



以上です。

StarkWare IndustriesとBitCloutでも少し触れましたが、今年に入ってから始めた「海外アート × NFT」に関するマガジンもよく読まれているので、興味のある方はこちらからどうぞ。

来週は、4月4日(日曜日)に更新予定です。


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