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打倒Peloton⁉︎TempoがシリーズBで$60M調達など:米国主要VC投資調査 番外編part.02

先日初めて月見バーガーを食べたのですが、予想以上に美味しくて驚きました。僕は食に関しては守ることが多いのですが、時には食べたことのないものへの挑戦も必要だと思いましたw

お知らせ

7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。

米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめていきます。スタートアップやベンチャーキャピタルの方などの参考になれば幸いです。


前回の番外編では、中国VCの投資先として、自動運転車のXpengや、半導体チップのBiren Technology、生鮮食品ECのTongcheng Lifeについてまとめました。マガジンの中で一番読まれている記事なので是非。


今回は番外編part2として、ゼロ・トゥ・ワンの著者でもある、ピーター・ティール氏が率いるファンド、Founders Fundが7月に投資した3社をまとめました(本当は8月中に投稿する予定でした...)。

・Founders Fund:3社
< Anduril Industries $200M / Series C / VR&ロボット:国境警備 >
< Lattice $45M / Series D / HR:人事 >
< Tempo $60M / Series B / ヘルスケア:フィットネス >


Anduril Industries $200M / Series C / VR&ロボット:国境警備

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参照元/URL:https://www.anduril.com/

実在版スターク・インダストリーズをビジョンに掲げる防衛技術企業Anduril Industries(アンドゥリル・インダストリーズ)がシリーズCで2億ドルを調達。2017年にOculusの創業者であるPalmer Luckey氏と元PalantirのBrian Schimpf氏などにより設立。

開発チームにはOculusやPalantir以外にも、General Atomics、SpaceX、Tesla、Googleで働いていた経験を持つメンバーで構成されている。

Andreessen Horowitzがリードし、8VC、Elad Gil、Founders Fund、General Catalyst、Human Capital、Lux Capital、Valor Equity Partnersが参加。

AIを利用した無人監視システム「Lattice(ラティス)」を提供。約3キロの範囲の中で、レーダー、光学・熱センサーから人や動物を発見・識別し、その情報をVRやディスプレイに鮮明に表示できるという。すでに国境警備局と数億ドルで5年間の契約をしている。

また、防衛技術の一つとして、ドローン撃墜ロボットであるGhost(ゴースト)とAnvil(アンビル)も提供。この幅広さがスターク・インダストリーズの実在版を作るという創業者のビジョンの表れだという。

また、同社の存在がメキシコを渡る不法移民の動きを遮断しようとするトランプ政権の強硬な試みの中で、移民の権利擁護者の標的となっている。

北沢:国境警備システムと聞いてどんなものだろうかと思っていたのですが、動画にあるような太陽光発電で動く建物でした(動画開始4秒〜7秒の間)。国境警備というジャンル?のため、国防省や国境警備局などが顧客になっています。

ジャンルとして、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン/航空機や宇宙船の製造企業)・Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン/人工衛星やミサイルの製造企業)・Boeing(ボーイング/航空・宇宙機器製造企業)などの上場企業が競合に当たるとのこと。

確かに名前や、ドローンを撃墜する映像からスターク・インダストリーズを彷彿とさせる部分もあるなと感じました。アイアンマンを観たことがない方にはなんのこと?と思われるでしょうが、兵器や軍事技術を開発・製造する軍需企業で、僕がマーベルシリーズで一番好きな作品です。

競合がどれも巨人ですが米国だけで軍事費用が7,000億ドル(2019年)もあり、世界全体の約4割(米国が圧倒的差で1位)を占めているのでまだまだ食い込める余地が大きいのでしょうか。

ニッチとはいえ巨大な産業であること、メキシコからの不法移民というタイムリーな問題もあり今後の展開が気になります。


Lattice $45M / Series D / HR:人事

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参照元/URL:https://lattice.com/

人材管理プラットフォームを提供するLattice(ラティス)がシリーズDで4,500万ドルを調達。これまでの合計調達額は9,430万ドル、評価額は4億ドルへ。

Tiger Global capitalがリードし、Frontline Ventures、Founders Fund、Khosla Ventures、Thrive Capital Partners、Fuel Capital、Y Combinatorが参加。

2016年にサンフランシスコで設立されたLatticeはSlack、Postmates、Cruise、Redditを含む1,900社以上にサービスを提供している。

ターゲットとして社員数30~500人の企業に絞ることにより、他の人事系サービスを提供するスタートアップ、または大企業と競合にならず成長しているとのこと。

Thrive CapitalのパートナーであるMiles Grimshaw(マイルズ・グリムショー)氏は、「よりリモートな世界への移行において、組織がチームを管理し、エンゲージメントを高め、成長するためのツールはこれまで以上に重要。」と述べている。

北沢:ラティスを使うことで、人事評価や目標設定、仕事のフィードバックができるなど主にHRの人事系プラットフォームという印象。

HRは労務や人事に採用など、その中でまた分かれているのですが、この辺をトータルで提供するサービスはない様子。

従業員の成果をスコアにして管理しKPIの設計に役立てるなど、リモートが普及する、成果を数字で把握することが当たり前になる中で伸びてきそうだと思いました。

数字にできない(直接結果には繋がらない)仕事は、仮にAIが奪わなくても、評価ができないため今後給料が下がり、いずれ失くなっていくのかなあと。

従業員のデータや成果といったデータがサービス上に蓄積されていくと、他の類似サービスに変えることもしづらくなると思うので、長く使ってもらうほど解約率は下がりそう。


Tempo $60M / Series B / ヘルスケア:フィットネス

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参照元/URL:https://tempo.fit/

家庭用デジタルフィットネスマシンを提供するTempo(テンポ)がシリーズBで6,000万ドルを資金調達。2月に行われたシリーズAの1,750万ドルを含め、累計調達額は7,750万ドル。

Norwest Venture PartnersとGeneral Catalyst、Founders Fund、SignalFire、DCM、Y Combinator、Bling Capitalが参加。

本体が2,000ドル(約20,000円)、使用料が年間1,995ドル、もしくは月額39ドル(約4,000円)から利用ができ、3Dビジョンカメラの機能により、ユーザーの動きを1秒間に30回スキャンし、トラッキングや、フィードバックを42インチのディスプレイを通じて行います。

また、ライブクラスと呼ばれるコースでは、ユーザーがミスをするとインストラクターに通知され、リアルタイムで指導を受けることが可能。バーベルとウェイト(3キロから45キロまで)、ワークアウトマット、フォームローラー、心拍数モニターも付属するため様々なトレーニングができる。

現在50人の従業員を、年内にはその倍の100人にする計画だとCEOのMoawia Eldeeb(モアウィア・エルディーブ)氏は述べています。

北沢:家庭用フィットネスといえば去年9月に上場したPeloton(ペロトン)や、高級ブランドのTechnogym(テクノジム)、Lululemon(ルルレモン)に5億ドルで買収されたMirror(ミラー)などがあり、市場としてCovid-19の影響が追い風になっています。

Tempoが、上場したPeloton(ペロトン)と違う点は、Tempoは動きを3Dモデルを取り込むセンサーを搭載していて、後者は普通?のカメラだということらしいのですが、よりトレーニングの精度を上げる、体がきちんと動かせているのかを把握するためにはTempoの方が機能としては上だと感じます。

Lululemonに5億ドルで買収されたMirrorに関しては、もうマシンではなく、名前通り、ミラー型のモニター兼、鏡を提供し、それを使ってオンラインでトレーニングを行う形のため、元からマシンを置くスペースがない人向けなのでは?富裕層ならPelotonとMirrorと両方使っている人もいそうな気がしました。笑

もちろん、マシンの機能だけでサービスの良し悪しを判断するものではないのですが(この場合はデバイスという表現?)。機能として強みがあるというのは、後発でも市場シェアを取るための武器になるのでいいなと。今後のPetlonの動きと合わせて追いかけたら面白そうだと思いました。

ただ、Pelotonには、リアルタイムで順位を競う・他のユーザーのスコアが見られる・いいね的なエールを送ることができる、などのコミュニティとしての一面もあるため、利便性だけでは勝てないかなと。

一度コミュニティとして成立してしまえば、それを崩すのは難しいとFacebookが証明しているので、真っ向勝負は厳しいのではないかと思いました。

今までフィットネス系はあまり関心がなかったのですが、調べて見たら面白くなってきたので、フィットネス系のサービスのみでまとめるのも有りだなと。

関係ないですが、ルルレモンって可愛いネーミングでとても惹かれましたw


以上です。

番外編の第2弾として、Founders Fund編をお届けしました。気になるVCが多いので、月1くらいで主要3社以外もまとめていけたらと思います。


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