バーチャルヒューマンを活用した動画を作成するSurrealがシードで金額非公開で調達など:米国主要VC投資調査vol.30
リニューアルをしようとあれこれ考えてやっていたのですが、時間が足りず通常運転に戻すことにしました...
改めてよろしくお願い致します。
お知らせ
昨年7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。
米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。スタートアップやベンチャーキャピタル、投資家の方の参考になれば幸いです。
【2021/03/01〜2021/03/07】
< Andreessen Horowitz:3社 >
・Hopin $400M / Series C / オンラインイベント
・Instacart $265M / Venture / デリバリー
・Whatnot $20M / Series A / EC
< Sequoia Capital:5社 >
・Apna $12.5M / Series A / 求人
・Clari $150M / Series E / データ解析
・Doppler $6.5M / Venture / セキュリティ
・Klarna $1B / Venture / 決済・BNPL
・Surreal 金額不明 / Seed / 動画作成
< Andreessen Horowitz:3社 >
Hopin $400M / Series C / オンラインイベント
参照元/URL:https://hopin.com/
オンラインイベントプラットフォーム&ビデオを提供するHopinがシリーズCで$400Mを調達。評価額は$5.65Bへ。
Andreessen Horowitz、General Catalystがリード、Salesforce Ventures、Tiger Global Management、DFJ Growthなどがこのラウンドに参加しました。
2019年に設立されたHopinは、1対1のビデオチャットとしても、複数人のオンラインイベントとしても利用することができ、HPでは参加したユーザーの高評価が数字に現れています(多少のあれはあるかもしれませんが)。
オンラインツール/ビデオチャットといえばZoom、という認識でいますが、こういった感情に刺さらない、無機質なサービスに関しては正直、「使いやすければ良い」というのが本音だと思うので、今後は使い分けなどが進んでいくのではないでしょうか。
来年にはIPOの準備ができるように〜と記載があり、2022年か2023年にIPOの可能性があるとのこと。
話が逸れますが、こうしたビデオツールを活用したオンラインでの飲み会や合コンは「気を紛らわせる」効果(孤独感を薄くさせること)はあっても、それ以上はやはり難しいと感じています。
人対人の感情に刺さる体験が、オンラインに置き換えられることはないと考えているので、死ぬまでコミュニケーション能力が必要なのは間違いではないなと改めて感じました。
Instacart $265M / Venture / デリバリー
参照元/URL:https://www.instacart.com/
オンデマンド食料品配達プラットフォームを提供するInstacartが$265Mを調達。昨年10月にも$200Mを調達しており、評価額は当時の倍以上の$39B(390億ドル)へ。
Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、D1 Capital Partnersなどが参加。
2012年に設立されたInstacartのHPを見ると、店舗数が4万、取り扱い製品が5億点(食品に加えて事務洋品や美容製品など)以上、配送地域は5,500以上と、とてつもない規模の大きさですね。
こうしたEC/デリバリー系は、Covid-19が追い風になっている部分が大きいとは思いますが、1度でも利用し、配達される便利さに慣れてしまえば、収まったあとでも継続的に利用するユーザーは多いと思いました。
2018年の11月にシリーズFで$271Mを調達し、そこから4度目の今回の調達と、個人的にはここまでくるとあまり関心がないのですが、これだけ伸ばしていると上場はいつになるのでしょうか。
Whatnot $20M / Series A / EC
参照元/URL:https://www.whatnot.com/
マーケットプレイスを提供するWhatnotがシリーズAで$20Mを調達。
Andreessen Horowitzがリード、Operator Partners、Wonder Ventures、Y Combinator、Scribble Venturesなどがこのラウンドに参加。
翻訳したものを読んだときは掴めなかったのですが、「二次流通のマーケットプレイス+目利きによる偽物や粗悪品の審査」を提供。
こちら(リンク)の記事が分かりやすかったので一部引用します。
1.Whatnotのサイト/アプリ上で商談が成立
2.売り手はWhatnotに商品を送付
3.Whatnotは商品を審査
4.問題なければWhatnotが買い手に配送
引用元/URL:Whatnot ―偽物を掴ませない、新しいマーケットプレースの形(リンク)
ただ中古品の販売を行うわけではなく、コレクターが存在するスニーカーや、フィギュア、ゲーム、カードなどをメインに扱っているそう(手数料が9%程度)。
僕自身はコレクションを持つようなものがないのですが、高額な商品を買った結果、偽物だった時のショックは想像がつきますし、コレクターの方であれば尚更そうではないかなと。
そういった層からすれば、リスクが最小限に防げるのであれば、10%近い手数料を払う人は割といるのではないか。
同社は箱のサイズのわずかな違い・ロゴが少しおかしいなどの初期段階で問題を発見できるようにするデータベースを構築している、とも記載があり、非常にニッチだと感じましたが、だからこそ固定ファンが付けば強いサービスになると感じました。
< Sequoia Capital:5社 >
Apna $12.5M / Series A / 求人
参照元/URL:https://apna.co/
インドで求人アプリを提供するApnaがシリーズAで$12.5Mを調達。
Sequoia Capital India、Greenoaks Capital、Lightspeed India、Rocketship VCが参加。
元Appleの従業員によって、2019年に設立されたApnaは現在、車のドライバー、配達員、美容師など600万人以上のユーザーが利用しているのですが、アプリ上でユーザー同士が、仕事のアドバイスや、労働条件の交渉の仕方などを提供する「コミュニティ」としても利用されているそう。
インドの人口(約13億人)を考えると、600万人というのはまだまだ少ない数字だと感じます。Covid-19の影響で多くの人々が仕事を失っている状況を考えると、タイミングとしては追い風になっているのではないかなと。
ワクチン接種が始まったことも、市場としては大きな後押しになりそうですが、こうしたニュースもあるので急成長まではいかない気がしますが、着実に伸びてきそうです。
Clari $150M / Series E / データ解析
参照元/URL:http://www.clari.com/
データ解析から収益予測を支援するClariがシリーズEで$150Mを調達。評価額は$1.6B(160億ドル)へ
Silver Lake、Sequoia Capital、Sapphire Ventures、Bain Capital Ventures、B Capital Group、Madrona Venture Group、Thomvest Ventures、Tenaya Capitalがこのラウンドに参加しました。
2012年に設立されたClariは、自動化とAIを活用して、「企業が月単位、四半期にどれだけの収益を上げるかを推定できるクラウドサービス」を提供しているそうですが、いまいちピンとこないのは僕だけでしょうか。
自社での予測と、サービスを利用しての予測が大きく違うのであれば、死角があると判断して活用するのはアリかなと思いますが、そうでなければ、継続利用するほどのものではない気がします。
でも、シリーズEまできているということは、ちゃんと理由や数字があるはずだと思うので、そういうものか。
Doppler $6.5M / Venture / セキュリティ
参照元/URL:https://www.doppler.com/
セキュリティプラットフォームのDopplerがベンチャーラウンドで$6.5Mを調達。
GVがリード、Sequoia Capital、Y Combinator、Addion、BoxGroup、Peak State、Lachy Groom、Chapter Oneなどがこのラウンドに参加。
ユーザー数や、詳細な数字は出ていませんが、昨年10月のシードラウンドで$2.3Mを調達してからの成長率は6,000%以上とのこと。
セキュリティ企業に関しては、過去にも何度か取り上げたことがあるのですが(SentinelOne:$267M/EFP、Forter:$125M/EC不正防止など)、こういった機能性が重視されるサービスは、いかにスイッチングコストを上げて、解約率を下げるか?が重要ではと感じます。
もちろん新規獲得も必要ですが、「そのサービスでないといけない理由」というのが、機能性以外に見出すことが難しいと思うので、一定数を確保したら、解約率を下げるのが重要かなと思いました。
ただ、法人がメインの顧客になるものに関しては、むしろ機能性以外に求めるものがない(感情は関係ない)とも思うので、その場合はリソースは分散させることが悪手にもなりますよねえ。
個人的に感情に刺さるものが面白いと考えているのですが、見方を変えれば、そういうものは法人には刺さらないんだろうなと。
Klarna $1B / Venture / 決済・BNPL(フィンテック)
参照元/URL:http://www.klarna.com/
スウェーデンの後払いサービスを提供するKlarnaが、ベンチャーラウンドで$1Bを調達。評価額は$31B(310億ドル)へ。
Sequoia Capital、Dragoneer、Bestseller Group、Permira、Visa、Atomico、Ant Group、Commonwealth Bank of Australi、Northzoneがこのラウンドに参加。
Klarnaの後払いサービスは、H&M、Ikea、Samsung、Peloton、Abercrombie & Fitch、Nike、AliExpressなどを含む25万件以上のショップで利用が可能。
ペロトンに関しては、先日上場したAffirmの(2020年9月末までの四半期)売上の30%を占める顧客ということもあり、こうしたサービスに積極的な印象を受けます。
Forbesの記事によると、まだ赤字を掘っている最中で、昨年は1億6300万ドルの損失を計上。
YouTubeもあったので興味のある方はこちらも。
Surreal 金額不明 / Seed / 動画作成
参照元/URL:https://www.surreal.la/
中国の動画作成スタートアップのSurrealがシードラウンドで資金調達(金額は非公開)。
Sequoia Capital China、ZhenFundがこのラウンドに参加。設立から3ヶ月ですが、すでにオファーが10件近くあったとのこと。この分野では「Reface(顔交換アプリ)」も同じだと思うのですが、動画の需要が伸びていることを考えれば、こういったサービスもまだまだ出てきそうです。
Surrealのソフトウェアを利用することで、動画の顔写真を変更したり、新しい画像や動画を作成することができるのですが、動画の直接リンクがなかったので興味のある方は上記のHPをどうぞ。
要は、「バーチャルヒューマン」をベースにした、実際のモデルを使わない広告動画や、写真を作成できるということですね。
先日もTwitterを見てて面白いなと思ったのがこちら。
このクオリティで、人間の表情・動きを作れる技術がすでにあるということは、建物や動物、他の背景などが全てバーチャルだったとしても気づかないレベル。
動画はSurrealとは直接関係はありませんが、ここまで技術力が高くなっていることは知っておくべきだと感じました。
すでに同社は、約1,000万件の写真と動画の注文を受け付けたとあり、これが100%バーチャルでの作成でないとしても、今後実際のモデルの必要性は間違いなく下がっていくはず。
何よりスキャンダルの心配をしなくて良いのは、スポンサーにとっては非常に大きいと思うので、広告動画に限らず、テレビや雑誌、YouTube(は既にそんな部分がありますが)もバーチャルヒューマンが主流になっていくのではないでしょうか。
そうなるとモデルの方の主戦場は、「人間性」で勝負するしかなくなるので、一応ドラマもありますが、長い目で見たらバラエティしかなくなってしまう気が。
この辺がどうなっていくのかすごい興味がありますねw
以上です。
冒頭で述べたように、更新をしなかった2,3週間の間にリニューアルをしようと考えて、あれこれ設計をしていたのですが、思うようにいかず構成としては今まで通りの運用にすることにしました。
変更点として
・更新を「金曜日」から「日曜日」へ
・関心の薄いスタートアップに関しては簡略化
理由として
・平日更新の場合と休日更新の場合で閲覧数に大きな差が出ること
・僕自身の時間確保がしやすいこと、など
閲覧数に関しては、完全に力不足なので、いつどのタイミングで更新しても、多くの方に読んでいただけるように取り組んでいきます。
二転三転して読者の方にはご不便をお掛けしますが、引き続きよろしくお願い致します。
来週は、14日日曜日に更新予定です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?