旅行プラットフォームのKLOOKがシリーズEで$200Mを調達など:米国主要VC投資調査vol.27
今回は珍しい日曜更新です。
来月から試験運用として、更新時期を月曜日⇨金曜日に変更することにしたため、今出来ている分を先に更新します(思いつきで始めるので、来週には戻すというパターンもあるかもしれませんw)。
そのため、今回は5件ですが、今回載せなかった分・金曜日以降のものに関しては、来週2月5日に合わせて更新しますのでよろしくお願い致します。
お知らせ
昨年7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。
米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。スタートアップやベンチャーキャピタル、投資家の方の参考になれば幸いです。
【2021/01/25〜2021/01/29】
< Andreessen Horowitz:2社 >
・Clubhouse 不明 / Series B / SNS(音声)
・dYdX $10M / Series B / 仮想通貨取引所
< Kleiner Perkins:0社 >
< Sequoia Capital:3社 >
・KLOOK $200M / Series E / 旅行
・Pilot $60M / Series C / 会計
・4Paradigm $700M / Series D / AI
< Andreessen Horowitz:2社 >
Clubhouse 不明 / Series B / SNS(音声)
参照元/HP:https://www.joinclubhouse.com/
音声ソーシャルアプリのClubhouseが、a16z主導のシリーズBで資金調達をしたと発表。金額は不明($100Mという噂)。
用途として、プラットフォーム上のクリエイターに収益を還元できるようにするための、クリエイターサポートプログラムに使用されるそう。
Clubhouseでは、プレミアムプランなどの課金方法は提供されておらず、広告にも対応していませんが、このプログラムを通してClubhouse自体の収益維持をすることができるとのこと。
クリエイターへの収益還元の計画としては、チップ・チケット・サブスクリプションの3つの分野でテストを行う予定です。
北沢:スタートアップ、ベンチャーキャピタル界隈で話題のClubhouse。ここ数日の動きとして、芸能界でも始めた方が増えているそう(ロンブー淳氏、小嶋陽菜氏、ディーンフジオカ氏など)。
「Clubhouseの競合はテレビ」といったニュアンスのツイートを見ましたが、仮にそうなるとすれば、芸能人の方は、テレビの出演条件に「番組の放送時間中のClubhouseでの配信は禁止」の文言が入るようになるのかもしれません。
...そんなことを思いついたので書いて見ましたが、どちらかといえば、スマホ内のYouTubeやTikTokなどの動画サービスが競合かなと(そもそもテレビを競合として捉えているサービスの方が珍しいのでは?)。
今後、GoogleやAmazonは企業イメージとしてない気がしますが、FacebookやTwitterが買収するようなことがあれば面白そう。MicrosoftはSlackの時のようにビル・ゲイツ氏次第でしょうか。
個人的にはユーザー数が増える・広がることで、思いも寄らない使い方が出てくるんだろうなと思っていて(パッと出てくるのがよくないパターンだったので書きませんが)、それこそ10代の方が当たり前に使うようになれば色々出てくる気がします。
最後にこうした側面もある、という関連記事を置いておきます。
海外では「議論」の場として、日本(現時点)では「雑談」の場として利用されている、という感覚を持ったのがやけに印象的でした。
dYdX $10M / Series B / 仮想通貨取引所
参照元/HP:https://dydx.exchange/
仮想通貨取引所のdYdXがシリーズBで$10Mを調達。
ThreeArrowsCapitalとDeFianceCapitalがリード、フォローオンでAndreessen Horowitz、Polychain Capital、Kindred Ventures、1confirmation、Elad Gil、Fred Ehrsamが参加。
新規投資家としては、Wintermute、Hashed、GSR、SCP、Scalar Capital、Spartan Group、RockTreeCapitalが参加した。
2017年に設立されたdYdXでは、最大10倍のレバレッジを持つ永久スワップ取引、スポット取引、最大5倍のレバレッジを持つ信用取引の3種類の商品を提供。
TheBlockの報道によると、dYdXでは2020年の累計取引量が$2.5B以上で、2019年の$63Mの取引量から40倍に増加している。また、今月だけで累計取引高はすでに$1.3Bを突破しています。
同社は今後、韓国、日本、シンガポールでへの拡大に力を入れていく予定。
翻訳しても読み取れなかった部分がこちら。
"dYdXはEthereum上に構築されており、ブロックチェーンネットワークのトランザクション容量の制限とトランザクションコストの高さを考えると、dYdXを含むいくつかのDeFiプロジェクトはロールアップの導入を検討しています。ロールアップの核となる哲学は、トランザクションデータはオンチェーンで、トランザクション計算はオフチェーンで行われ、Ethereumの容量をスケーリングするというものです。"
北沢:元Coinbase・元UberのエンジニアであるAntonio Juliano氏が設立したdYdX。中国は非常に重要な市場だと述べており、前述したように、韓国や日本、シンガポールなどアジアでの事業展開を目指しているそう。
仮想通貨ベースのFX・デイトレードサービス(?)の印象を受けましたが、あながち間違いではなさそう。
商品として挙げられていた「永久スワップ取引」「スポット取引」「信用取引」のうち、信用取引は聞いたことがあったのですが、他の2つがよくわからず。
調べてみると、永久スワップ取引とは「デリバティブ取引」の1つで、高レバレッジ取引が可能なもの。スポット取引は、「約定(取引が成立した日)から資金受渡日までの期間が2営業日以内の取引」のこと。
まだふわっとした理解程度ですが、永久スワップ取引についてはこちらの記事が分かり易かったです。
最後に引用した(翻訳をそのまま持って来た)部分も、イーサリアムの技術を用いたサービスという解釈をしているのですが、ピンとこないので、分かる方がいらっしゃったら教えて頂きたいです、、、
< Sequoia Capital:3社 >
KLOOK $200M / Series E / 旅行
参照元/HP:https://www.klook.com/
旅行プラットフォームを提供するKLOOKがシリーズEで$200Mを調達。2018年には評価額が$1billionに達していましたが、その後の評価額は未公開。
Aspex Managementがリード、Sequoia Capital China、Softbank Vision Fund1、Matrix Partners China、Boyu Capitalなどが参加しました。
2014年に香港で設立されたKLOOKは、Covid-19の影響で、数百万件の予約を失ったが、組織再編として、チケット販売、流通、在庫管理、マーケティングなど、地元で活動する業者のためのサービスとしてのソフトウェアに舵を切ったこと、制限が緩和されたことで、地元での活動への出費が増えていると同社は話している。
世界中の2,500社以上の加盟店の予約を支えているプラットフォームとして、今後もソリューションの開発と展開を続けていく予定。
北沢:KLOOKはソフトバンクが出資していることで話題になっていますね。ウィーワークの問題もありましたが、最近ではこんなニュースもあり話題には事欠かず。
KLOOKは旅行プラットフォームではあるのですが、観光やツアーだけでなく、スポーツやリラクゼーション、ワークショップといった体験プランまで幅広くあり、日本語だけでなく、韓国語やスペイン語など多くの言語に対応しているため、サイトを見ているだけでも面白くて良いですね。
国内だけでも286件(2021/01/28時点)のアクティビティが登録されていて、京都だと、着物のレンタル&ヘアセットや、嵐山・清水寺などの寺社巡りツアーなどがありました。
サイト自体も見易く、海外だと、シンガポールやシドニー、ロンドンやバルセロナなど個人的に興味を引くものが多くあり調べるのが楽しかったですw
Covid-19の影響もありますが、規制が緩和されたシンガポールや香港・台湾などでは利用が増えているため、今のうちに旅行先の候補を決めるのも自粛中の楽しみとして良いかなと思いました。
原宿でマイクロブタと触れ合うカフェのプラン(画像にリンクを貼ってあります)もあったので、お近くの方はぜひ。僕も近ければ行ってみたいw
Pilot $60M / Series C / 会計
参照元/HP:https://pilot.com/
会計サービスを提供するPilotがシリーズCで$60Mを調達。
Sequoia Capitalがリード、Index Ventures、Stripeがこのラウンドに参加した。今回セコイアは初出資で、Index VenturesとStripeはそれぞれシリーズA、Bからフォローオンで参加している。
Pilotは2017年にCEOのWaseem Daher氏、COOのJeff Arnold氏、CTOのJessica McKellar氏によって設立されました。これまでに2度の事業撤退を経験し、3度目のスタートアップになります。
同社は、バックオフィス支援として、正確な財務データの把握をするための会計サービスを提供しており、顧客がすでに使用している請求書・銀行・経費・給与システムと直接統合して利用ができるそう。
Pilotは1,000人以上の顧客を持ち、現在までに$120M(約1億2,000万ドル)を調達している。
北沢:創業者3人が、以前の会社を設立する際に、彼ら自身が直面した問題を解決するために作られたサービスとありましたが、自分が欲しいと思うサービスを作るのは、ユーザー目線を持つこともできるし、熱量の持ち方として良いと思う派です。
それがあまりにも小さな問題では、事業としてやる意味は薄いかと思いますが、会計・経理という分野なら競合は多くても取り組むサイズとして成り立つので、利益が出そうだからやるような、「これは本当に必要なサービスか?」と迷いを持ってやるよりは圧倒的にいいはず。
熱量を持てる働き方をすることで、仮に結果としてピボットすることになったとしても納得できるのはそういう取り組み方ではないかと感じます。
もちろんその際は、投資家・株主に対してちゃんとした説明は必要だとは思いますが、お互い結果に納得するためにも、創業者の熱量というのは大きなポイントなんだろうなと。
そういう意味で、諦めずに3度目の挑戦というのは、投資家からしても応援しようと思うのではないでしょうか。少なくとも、僕はそういった熱量を持つ人に投資したいと思いました。
4Paradigm $700M / Series D / AI
参照元/HP:https://www.4paradigm.com/
中国のAI企業4Paradigm(第四範式)が、シリーズDで$700Mを調達。
Boyu Capital、Primavera Capital、Hopu Fund、Sequoia Capital China、Goldman Sachsなどに加えて、政府系ファンドである、国家製造業転型基金、国家開発投資集団、中国国新控股などが参加。
2014年にBaiduのマーケティングプラットフォーム「Fengchao」のシニアサイエンティストでもあるDai Wenyuan氏が設立。
今回の$700M(約700億円)という金額は、2020年以降AI分野での資金調達としては最高額であり、用途としてサービス開発や、人材育成などに充てられる予定で、中国の5つの大手銀行から出資を受けた唯一のスタートアップ企業となっている。
AIプラットフォームとして「Prophet 3.0(他サイトでは先知3,0と表現)」を提供しており、データ、アルゴリズム、生産性という3つのコア機能から成り立つ。
Dai Wenyuan氏によると、業界の収益として、現在、金融部門は全体の収益の50%以下であり、一方、新規小売業と製造業は急速に成長しています。
北沢:原文が中国語の影響もあってか、翻訳した時の表現に困りますねこれは。
記事を読んでいても、いまいちピンとこないのですが重要なこととして、
①2020年以降AI分野での資金調達としては最高額(約700億円)であること
②中国の5つの大手銀行から出資を受けたこと
③政府系ファンドからも出資を受けていること
こういった部分を鑑みると、ゴールドマンサックスや、セコイアも入っているとはいえ、中国の期待値の大きさは伝わるかなと。
また、昨年8月には企業向けAI「Sage AIOS」の提供を開始しており、Windowsのようにデスクトップから必要なAI機能が利用できるそう。
機能として秀でているものがあっても、ユーザー/顧客にとって使いづらければ利用されなくなってしまうので、このような形で使えるのはとても良いなと感じます。
フォルダを開けば、AIによる画像解析や、音声を聞き取って議事録を作成、記事の自動作成などができるイメージでしょうか。そう思うとAIがだいぶ身近に感じられる気がしました。
関連記事:AIユニコーン「4Paradigm」が約730億円の資金調達 2020年以降AI分野で最高額 | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア(リンク)
以上です。
来週は、2月5日金曜日に更新予定です。
冒頭で述べたように、来月から試験運用として、更新時期を月曜日⇨金曜日に変更することにしました。
そのまま固定にするか、月曜日に戻すか、もしくは他の曜日に変えるかなど、運用次第ではありますが、良い判断にできるように取り組んでいきます。
読者のみなさまにはお手数をおかけしますが、よろしくお願い致します。
北沢 大樹
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