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メンタルヘルスプラットフォームのModern HealthがシリーズCで$51Mを調達など:米国主要VC投資調査vol.23

今週は7件でした。

お知らせ

7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。

米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。スタートアップやベンチャーキャピタル、投資家の方の参考になれば幸いです。


【2020/12/14〜2020/12/20】

< Andreessen Horowitz:1社 >
・Parsec $25M / Series B / クラウドゲーミング

< Kleiner Perkins:1社 >
・Modern Health $51M / Series C / メンタルヘルス

< Sequoia Capital:5社 >
・CassTime $35M / Series C / 自動車部品販売&修理
・dMed $100M / Series C / 医療(CRO)
・Rec Room $20M / Series C / ソーシャルゲーム
・Vise $45M / Series B / 資産運用
・Wakefit ₹1.9B / Series B / 家具(スリープテック)


< Andreessen Horowitz:1社 >

Parsec $25M / Series B / クラウドゲーミング

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参照元/HP:https://parsec.app/

仕事と遊びの両方のためのストリーミング技術を提供するParsecがシリーズBで$25Mを調達。

Andreessen Horowitzがリード、Lerer Hippeau、Makers Fund、NextView Ventures、Notation Capitalも参加。

CEOのBenjy Boxer氏は、ビジョンは常に「人々がどこからでも、どんなデバイスからでも、自分の技術やソフトウェア、コンテンツに簡単に接続できるようにすること」と述べている。

Parsecは、ゲーマーが他のデバイスからゲーミングPCにアクセスできるようにしており、現在はWindows、Mac、Linux、Android、Raspberry Pi、Webに対応。

同社は、EA、Ubisoft、Blizzard Entertainment、Square Enixなどの主要なゲーム企業と連携しており、建築やエンジニアリング、テレビ放送、編集プロダクションなどの業界でも使用されているそう。

北沢:ゲームのストリーミング技術?と思って調べてみると、「ゲームをPCのスペックに関わらずプレイすることを可能にするサービス」と解釈しました。

ゲーミングPCというのがあるように、ゲーム専用のハイスペックなPCを持っている人と、そうでない人が同じ条件で遊べるようになるのかなと。

例を挙げれば、一部(例えばLinux)にしか対応していなかったゲームがあっても、Parsecを介す事でWindowsやMacでプレイができるとか。

その技術をゲームだけでなく他の業界でも利用されているのは納得。企業の予算として仮に新しいPCを買えなかったとしても、Parsecを利用する事で仕事のレベルが引き上げられる・(少なくとも機能としては)統一できるのは良いですね。

僕自身はPCゲームをやらないのであれですが、ゲーマーの方も、ゲーミングPCに依存しない練習やバトルができるようになると思うので、スペックで勝っていた場合は今後の勝敗が変わってきそう。



< Kleiner Perkins:1社 >

Modern Health $51M / Series C / メンタルヘルス

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参照元/HP:https://www.joinmodernhealth.com/

メンタルヘルスとウェルネスのプラットフォームであるModern HealthがシリーズCで$51Mを調達。現在の評価額は$500Mから$1Bへ。

Battery Venturesがリード、Felicis Ventures、Kleiner Perkins、Founders Fund、01 Advisors、Afore Capitalなどが参加しました。

2017年に設立されたModern Healthは、エビデンスに基づいたアプローチで、セラピスト、コーチ、デジタルコンテンツを活用して、あらゆるレベルのニーズに対応したメンタルヘルスケアへのアクセスを従業員に提供し、包括的なサポートを行っている。

前回の資金調達以降、従業員数を3倍に、顧客数を2倍に増やし、現在では世界中で190社以上の企業顧客にサービスを提供。また、会社の収益は25倍になり、30カ国にメンタルヘルスの専門家のグローバルネットワークを構築した。

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今までもメンタルヘルスの問題が職場に与える影響を雇用主は認識していましたが、Covid-19の危機感もあり、今まで以上にメンタルヘルスについてのサポートが、企業の福利厚生の中核的な柱となっています。

北沢:日本だと一般的にまだまだ認知度の低い話かと思いますが、健康管理の1つとして、メンタルのケアは必須だと感じています。風邪や怪我のように、外から見て分かるものではないですし、分かるようなる頃には...というパターンもあります。

国内のスタートアップだと、コーチングサービスのMentoや、カウンセリングサービスのcotreeなど、この分野で頼もしい企業が増えてきてはいるので、健康管理の1つの手段として利用するのが当たり前になるといいなと思います。

僕は利用したことはないので、前述したサービスの詳細については書けませんが、大事なのはこういったものがあることを知っておくこと。

目に見えないと、どうしても後回しになったり、気にかけること自体も疎かになってしまいますが、健康に過ごすためには早い段階で自分の意識や、感情の動きについて理解しておくことだと感じます。

僕は毎日日報を書いているのですが、これが一人二役的な感じで自分との対話になっており、知らず知らずのうちに助けられている部分があります。

気軽にできるのは日々の振り返り(メモ書きでも可)だと思うので、是非やってみてください。



< Sequoia Capital:5社 >

CassTime $35M / Series C / 自動車部品販売&修理

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参照元/HP:https://www.casstime.com/

自動車アフターマーケット業界のDXを推進する中国企業のCassTimeがシリーズCで$35Mを調達。

Source Code Capital、Sequoia Capital China、Greater Bay Area Homeland Development Fund、Shunwei Capitalが参加した。

自動車部品取引プラットフォームの「CassTime Auto Parts」と、自動車修理店の「No.1工房」を提供。

同社の提供している高級車のオリジナル部品の普及率は15%を超え、深セン、東莞、重慶、長沙など多くの都市で30%を超えるまでになっている。

北沢:中国の2020年1~9月の中国国内の新車販売台数は累計で1711万6000台だそうで、アフターマーケット(中古車市場)として流れてくるのが、この3割だとしても500万台程度。

日本の去年の中古車小売台数は262万台。中国の半分(仮定)であるこの数字でも市場が成り立っていることを考えると、まだ伸びる余地はありそう。さらには中古車を選ぶ人が増えているというデータもあり、今後さらに市場は広がっていくのではないかと。

趣味としての車は女性に評判が悪いと何かの記事で読んだ気がしますが、提供側に立てば、部品数が多く単価も高いため(カーナビやヘッドランプなど)、仕入れ次第ではありますが、利益率は良さそう。

個人的にはテスラの部品価格や、販売価格が気になりますw イメージとして、テスラというブランドへの課金が強いため中古市場に出回ることが少ないのかなと。

...と、思って調べたら価格ドットコムにありましたw 今日(2020/12/19)の時点で37件ヒットしたので興味のある方はこちらからどうぞw

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dMed $100M / Series C / 医療(CRO)

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参照元/HP:http://www.dmedglobal.com/

製薬・医療業界向けのソリューションを提供するdMedがシリースCで$100Mを調達。

Fidelity Management & Research Company, LLC がリード、新規では Sequoia Capital China、Kaiser Foundation Hospitals、E Fundが参加。フォローオンで Qiming Venture Partners、Lilly Asia Ventures、Vivo Capitalが参加しました。

dMedは医薬品開発業務受託機関(CRO)として、中国と世界の革新的な製薬企業の臨床研究開発の効率化、研究サイクルの短縮、成功率の向上に貢献している。

2016年に設立された同社は、上海、北京、武漢、ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ブリュッセルなどの主要都市にオフィスを構えており、約600名のプロフェッショナルを雇用。

創業者/CEOのLingshi Tan氏は「今回のラウンドにおける重要な目標は、将来のIPOに備えて、長期的な公開市場に焦点を当てた機関や戦略的パートナーを含む投資家の層を拡大することです」と述べている。

北沢:創業者のLingshi Tan氏は、元ファイザーの中国技術開発部長で、この業界に精通していることに加えて、CRO市場自体も年平均27.06%の複合成長率で拡大していることが事業を伸ばす要因になっています。

CROに触れておくと、「医薬品開発業務受託機関」であり、詳細は以下の通りです。

企業、医療機関、行政機関等の依頼により、医薬品、医療機器、食品(特定保健用健康食品)、化粧品等の臨床開発及び臨床試験(治験)に関わる業務を、受託、または労働者派遣等で支援する外部機関。
引用元:CROとは | 製薬業界 用語辞典 | Answers(アンサーズ)

もう少し具体的に書くと、早期臨床開発、臨床科学・医事、臨床業務、データ管理、医薬品安全性・薬事監視、品質保証などを受託で行っている機関になるそうで、dMedでは、ここにコンサル業務も加わっていることも、ただの受託にならないための強みだと感じました。

関連記事:米国における医療関連市場動向調査: (医薬品/医療機器/デジタルヘルス)


Rec Room $20M / Series C / ソーシャルゲーム

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参照元/HP:https://recroom.com/

ソーシャルゲームプラットフォームのRec RoomがシリーズCで$20Mを調達。

Madrona Venture Groupがリード、irst Round Capital、Index、Sequoia、DAGなどがこのラウンドに参加しました。

「世界中の友達と一緒にゲームをプレイ・作成ができるオンラインの世界」と謳っているRec Roomは、VRユーザーのためのソーシャルハブやゲームプラットフォームとして数年前から存在していました。

2016年6月にSteamのデジタルストアで初公開されてからは、iOS、PlayStation 4、Oculusを含む他プラットフォームで2Dとバーチャルリアリティの両方のバージョンを提供するまでに成長。

9月の時点で、Rec Roomのコミュニティの規模は前年の3倍になり、プレイヤーは300万以上のルーム(仮想環境)を作成したと発表しました。CEOのNick Fajt氏は、この1年で機能拡張を行なってきたことで、総視聴者数(ユーザー数?)が3倍になったと推定。

今月3日にXboxで公開されてからは、一晩でRec Roomの観客数を実質的に倍増させたという。

北沢:ソーシャルゲームプラットフォームを提供するRec Roomは、今はAndroid以外のデバイスから利用ができるそう。

この3ヶ月間でルーム(仮想環境)の数が400万を超え、ユーザーは1日平均2.4時間をRec Roomで過ごしていると、CEOのNick Fajt氏はブログの中で明らかにしており、9月からの3ヶ月間でルームの数が100万以上も増えているのは驚異的だと感じます。

このルームというのは「コミュニティ」だと僕は解釈していて、ゲームが好きな人が集まるルームがあれば、ただ話したい人が集まるルームがあるなど、mixiのコミュニティが近いような気がします。あれのVR版とも言えるのかもしれません。

Rec Roomは来年の第1四半期にゲームクリエイター報酬プログラムを開始する予定で、特に人気の高いコンテンツを作ったRec Roomユーザーに100万ドル以上のボーナスを支払うとのこと。

サイトやリリースを見る限りだと、ゲームに関してはRobloxやEpic Gamesのようなものではなく(そういう意図のデザインなのかもしれませんが)あくまでもミニゲームだと感じました。

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参照元/HP:https://recroom.com/

どちらかといえばコミュニティ要素が大きく、Covid-19で外出や直接的コミュニケーションが取れない中で人気が高まっているのではないかと。サブスクやアバターなど課金ポイントはいくつも作れるので、利用用途はゲームじゃなくてもいいのか!と気づいたのが学びでした。

調べていたら日本語にも対応しているそうで、こんなリリースもあったので興味のある方はこちらから。


Vise $45M / Series B / 資産運用

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参照元/HP:https://vise.com/

投資管理プラットフォームを提供するViseがシリーズBで$45Mを調達。

Sequoia Capitalがリード、Founders Fund、Greenoaks Capital、Allen & Company LLC、
Michael Ovitz、Nikesh Aroraが参加しました。

2016年設立されたViseは、ポートフォリオの構築と管理ができる、AIを搭載した投資管理プラットフォームを提供。

今年5月に発表したシリーズA以降に顧客数を4倍に増やし、最近ではAurelien Capital Partners、Barber Financial Group、Hexagon Capital Partnersがクライアントとして契約しました。

また、9月には、Shah Hafizi氏(元BlackRockのデジタルウェルス部門COO)をCOOに、Niki Sri-Kumar氏(元Affirmのプロダクトディレクター)をプロダクト担当VPに任命するなど、いくつかの重要な人事を発表。

北沢:この分野だとRobinhoodが一番近い、競合になるのか?と思いましたが、リードで参加したセコイアのパートナーであるRavi Gupta氏は「Robinhoodのメインユーザーがミレニアル世代と考えているため、競争相手として見ていない。」と述べている。

たしかに、HPを見た感じだと、本格的に投資や資産運用をしたいユーザーがViseで、初心者や手軽さを求めるユーザーはRobinhoodと分かれそうだなと。

この分野に関しては、関心の強さで、同じ年齢層であったとしても顧客になるかどうかが変わってくるため(他はパッと思いつかず)、似ていると感じていたのは読み違いでした。

日本だと、先日上場したウェルスナビが投資サービスとしては人気かと思いますが、興味がない方からしたら、ウェルスナビも、One Tap BUYも、THEOも全部同じに見えるんでしょうね。

それがある意味スクリーニングになっている部分もあるので、悪い意味ではないのですが、認知として日本ではまだまだな分野だと感じています。


Wakefit ₹1.9B / Series B / 家具(スリープテック)

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参照元/HP:https://www.wakefit.co/

ホームソリューション企業のWakefitがシリーズBで₹1.9Bを調達。VerlinvestとSequoia Capital Indiaがこのラウンドに参加しました。

インドのベンガロールを拠点とするWakefitは、睡眠ソリューション事業として、マットレス、枕、ベッド、タオルなど様々な商品を提供。最近では、学習机やソファ、本棚などインテリア家具の分野にも進出している。

2016年にChaitanya Ramalingegowda氏とAnkit Garg氏によって設立。今後は従業員の数を今年初めの600人から、来年3月までに3000人に増やす計画。

創業者/CEOのAnkit Garg氏は「スタートアップの世界では珍しく、早い段階から利益を上げ、高い成長を目指してきました。今回の資金調達によって、より多くの人々の生活に触れ、インド市場に深く浸透させていきます。」と述べている。

北沢:寝具のスタートアップだと思っていたら、ソファや本棚、テレビ台に靴箱などインテリア家具も今は扱っており、事業の伸ばし方・広げ方としては技術の流用や、寝具での知見が活かせるので外れないのかなと思いました。

自社サイトだけでなく、Amazonインド版でも買えるそう。ざっと見た感じだと、レビュー数も多いのですが内容も良く、この分野で伸びていることが伺えます。

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寝具もインテリア家具も、一度購入したら買い換えることがそうないと思うので、固定客にならず(一通り揃えるまでは別として)、インドのような人口が多い国じゃないと伸ばすのは難しいのではないかと思います。

Redseerの最近のレポートによると、インドの家具セグメントは、現在160億ドルの価値があり、年率15~17%の複合成長率で成長しているとのことです。

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引用元:Setting Up The $300Mn+ Online Furniture Market

日本でもスリープテック企業がありますが、寝具オンリーの扱いだといずれ頭打ちになるため、Wakefitのようにインテリア家具(ウェアラブルなどの)事業にも進出するのは必須かも?



以上です。


件数次第では、今年最後の更新になるかもしれないので、ご挨拶をば。

7月に始めたこの米国主要VC投資調査マガジンも、気がつけばもう約半年になります。非常にニッチなジャンルにも関わらず、多くの方に読んで頂き、誠にありがとうございました。

2021年も、引き続きよろしくお願い致します。


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