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バーチャルHQプラットフォームのGatherがシリーズAで$26Mを調達など:米国主要VC投資調査vol.31

今週は7件でした。

お知らせ

昨年7月から米国主要VC投資調査マガジンを始めました。

米国トップVCと呼ばれるAndreessen Horowitz、Kleiner Perkins、Sequoia Capitalの3社についてまとめています。スタートアップやベンチャーキャピタル、投資家の方の参考になれば幸いです。


【2021/03/08〜2021/03/14】

< Andreessen Horowitz:4社 >
・Belong $40M / Series B / 不動産管理
・Cedar $200M / Series D / 請求書作成(医療)
・Tackle.io $35M / Series B / クラウドマーケットプレイス
・Wrapbook $27M / Series A / HR(給与計算)

< Kleiner Perkins:1社 >
・Calixa $4.3M / Seed / ソフトウェア

< Sequoia Capital:2社 >
・Gather $26M / Series A / バーチャルHQプラットフォーム
・Neeva $40M / Series B / 広告


< Andreessen Horowitz:4社 >

Belong $40M / Series B / 不動産管理

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参照元/URL:https://belonghome.com/

カリフォルニアにある不動産管理スタートアップのBelongがシリーズBで$40Mを調達。

Andreessen Horowitz、GGV Capital社、Battery Venturesなどが参加。a16zはシードで単独出資、Aを見送ってからの今回フォローオンでの参加でした。

こういうパターンは、初期で投資をしたものの、思うような数字が上がらなかったためVCが追加投資を見送る⇨その後、数字や条件が変わったためフォローオンで投資したのかなと。

Covid-19の影響かとも思ったのですが、シリーズAは2019年6月だったためその線ではない様子。不動産管理というジャンルは、ホームランを狙うようなサービスにはならないと感じるので(堅実だとは思いますが)、そういう意味合いもあるのかなと思いました。

サービスとしては、住宅所有者、賃貸者、サービス専門家の間のやり取りの改善とあり、「不動産仲介業」の方が適切に聞こえますね。

引越し業者の手配・身元調査から家賃の回収・損害保険なども取り扱っているそうで、借主側から見れば、Belongを使うことで、家探しから引越しまで一括してできる様子。

賃主側にも専任のプロのスタッフがメンテナンスや、その他対応を代行するとあるため、手数料や管理報酬などで、両方から利益を上げることができる設計かと。

利益としてはいかに物件を確保して、管理報酬を上げていけるか?が重要だと感じますが、IPOやEXITした起業家が持つ物件をツテで回してもらえるのでは??

この辺は横の繋がり次第ですが、そこまで見越した上で取り組んでいるとも思うので(僕だったらそうしますが)、やはりホームランにはならなくても、着実にヒットにはなりそうな気がしました。


Cedar $200M / Series D / 請求書作成(医療)

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参照元/URL:https://www.cedar.com/

医療費の請求書作成を行うCedarがシリーズDで$200Mを調達。評価額は$3.2Bへ。

Tiger Global Managementがリード、Andreessen Horowitz、Thrive Capital、Concord Health Partnersがこのラウンドに参加しました。

a16zは、医療機関の支払い処理と、それに伴う顧客の体験を改善するために投資したとあったのですが、医療機関は年間1250億ドルの損失を出していると言われているそうで、十分なニーズがあると判断したのか前回のシリーズCから参加しています。

2016年に設立されたCedarは、創業者家族の、病院からの判読できない紙の請求書の山、間違った住所に送られてくる明細書、さらには債権回収業者からの電話などの原体験がベースになっているそう。

主力商品として「Cedar Pay」を提供しており、病院やその他医療機関が使用する医療財務プラットフォームとして、Covid-19の中でも2020年だけで事業規模を4倍に拡大。

現在は企業の買収やIPOについては計画していないとのことですが、「Cedar Pay」というネーミングは上手いなと感じました。フィンテック企業が意識しやすく、医療機関への展開としてM&Aの可能性もあるのでは、、と思ったのですが、$3.2B(約32億ドル)という評価額を考えると薄そう。


Tackle.io $35M / Series B / クラウドマーケットプレイス

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参照元/URL:https://tackle.io/

クラウドマーケットプレイスを提供するTackle.ioがシリーズBで$35Mを調達。

Andreessen Horowitzがリード、Bessemer Venture Partnersが前回に続きフォローオンで参加しました。

「企業向けソフトウェアのマーケットプレイス」とあったですが、これは、欲しい機能をTackle.ioで販売/購入ができると解釈。現在はAWS、Azure、Google Cloudの選択肢が。世界3大クラウドが揃っているため次は機能を増やす方向に行くのかなと。

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引用元:https://tackle.io/

創業者/CEOのJohn Jahnke氏は、「私たちは今後も販売者が開発者を必要とせずに簡単にサービスを開始できるようにし、販売者が独自の製品を革新できるようにしていきます。」と述べている。

記事の中に、「エンジニアリングチームとプロダクトチームの負担を大幅に軽減」とあったのですが、要は「エンジニア&デザイナーのアウトソーシング」ができるということ。

社内に人材がいない、またはそれに値するリソースがない企業向けだと思うので、大手企業よりはスタートアップが主要顧客になりそう。

ただ、リソースがあっても、アウトソースした方が安いと判断されてしまえば、置き換えられてしまう可能性もあるので、エンジニアやデザイナーの方も目に見える「数字」や「結果」を、個人の実績として出し続ける必要があると感じました。

仕事について、僕は常々「数字を出す」か「人を知る」しか、生き残るすべはないと思っているのですが、これがより加速していくんだろうなと。

参考資料:AWSが依然首位、「Microsoft Azure」と「Google Cloud」も成長--2020年Q4クラウドインフラ支出


Wrapbook $27M / Series A / HR(給与計算)

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参照元/URL:https://www.wrapbook.com/

給与計算ソフトを提供するWrapbookがシリーズAで$27Mを調達。

Andreessen Horowitz、Equal Ventures、Uncork Capital、Jeffrey Katzenberg's WndrCo、Michael Ovitz氏などが参加しました。

2018年に設立されたWrapbookは、メディア制作会社に特化した給与計算ソフトウェアを提供しており、Covid-19の影響があっても収益は7倍になったと主張しているそう。

ステイホーム期間に該当するメディア事業自体が伸びた結果がその数字かなと思います。これが落ち着いてからはどうなるのか・そこから数字がどう伸びていくのか?が重要ですが、メディア系は浮き沈みがなさそうな気も。

と書いたのですが、「メディア」というのが括りが大きいのでこの解釈が間違っているかもしれません。「プロジェクト単位で支払い管理ができる」、という面で理解する方が正しいなと。

給与計算以外にも保険や、オンボーディングツールなども提供しているのですが、このまま横展開をしていき積極的にクロスセルを狙っていくのが王道かと思いました。



< Kleiner Perkins:1社 >

Calixa $4.3M / Seed / ソフトウェア

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参照元/URL:https://www.calixa.io/

ボトムアップの販売アプローチを管理するCalixaがシードで$4.3Mを調達。

Kleiner Perkinsがリード、Operator Collective、Liquid 2 Venturesなどがこのラウンドに参加しました。

発表は今日でしたが(3/10)、クローズされたのは昨年2月だったそうで、一年以上ステルスで活動をしていたということかなと。

HPには「SaaS企業向けのカスタマーオペレーションプラットフォーム」とあったのですが、記事を読んでも全体が掴めなかったのですが、SaaS系を一括管理できるサービスという解釈。

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引用元/URL:https://readme.calixa.io/docs

Calixaを利用することで、ストライプ、ゼンデスク、セールスフォースなどを画像のように一括管理ができ、「ボトムアップ型企業の運営を民主化する機会を提供する」と、共同創業者/CEOのThomas Schiavone氏(元Twilio)は述べています。



< Sequoia Capital:2社 >

Gather $26M / Series A / バーチャルHQプラットフォーム

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参照元/URL:https://gather.town/

バーチャルHQ(本部)プラットフォームを提供するGatherがシリーズAで$26Mを調達。

Sequoia Capitalがリード、Y Combinator Continuity Fund、Index Venturesなどが参加。

昨年設立されたGatherは、あらゆる理由で人々が仮想空間に集まることをサポートしており、創業者/CEOのPhillip Wang氏は「私たちのサービスは、広範なコミュニケーションプラットフォームですが、その中でもバーチャルHQ(本部)の役割が大きい」と述べています。

デモプレイをしてみたのですが、初期のドラクエやポケモンを思い出させるデザインで懐かしさを感じました(HPからプレイできます)w

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引用元/URL:https://gather.town/

同じゲームをプレイしているような感覚の中でコミュニケーションが取れ、音声技術としても、相手が近くにいると声が大きく聞こえ、遠くにいると小さく聞こえるようになっているため、意思疎通がしやすくなって良いなと感じました。

現在は、ユーザーが自分のオフィスや家のデザインを再現できるようにするためのカスタマイズ機能の追加に取り組んでいるそう。

バーチャルオフィス(仮装オフィス)が今どれくらいあるのかが分からなかったので調べて見ると、Remotty、Sococo、Remoなど初めて聞くサービスばかりでしたが、これらをもっとゲーム寄りにしたのがGatherかなと思います。

「仕事」の生産性が上がるか?と考えると、画面に意識が向いてしまいそうで難しい気がしますが、「コミュニケーション」の場としてはとても良さそう。

コミュニケーションがメインの飲み会/合コンといったユースケースで伸びていくのではないかなと。Zoom飲み会より、こういうゲーム状の場で会話をする方が話すハードルが下がったり、現実のガヤガヤ感(?)を感じることができて楽しいのでは?

今回一番おもしろそうだと感じたサービスでした。


Neeva $40M / Series B / 検索エンジン

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参照元/URL:https://neeva.co/

広告なし検索エンジンを提供するNeevaがシリーズBで$40Mを調達。

Sequoia Capital、Greylockがリードで、Inovia Capitalがこのラウンドに参加しました。

2019年に設立されたNeevaは、現在数千人を対象としたベータ版を運営しており、最終的には広告のないサブスクモデルで提供されるとみられています。

興味深い点として作っているのが元グーグルで(2013年3月〜2018年10月まで)広告&EC事業のVPだったSridhar Ramaswamy氏が創業者/CEOということ。この点もVCになんども尋ねられているそうですが(なぜGoogleがNeevaを潰さないのか?というニュアンスで)、その答えは分からず。

Googleの後にGreylock(VC)のパートナーになっているので、その時から考えていたのかもしれませんが、技術の問題や、権利などでGoogleとトラブルにならないのかが気になります。

そもそも今の時代に「検索エンジン」にどれだけの人が価値を見出しているのか、毎日使うとしても、Googleで足りてしまうと考える人の方が多いのではないかと。

うーん、よく分からないのですが、まだ「感情的な理由」と言われる方が納得できる気がしますね。

ウェイティングリストに登録したので、また進展があれば報告しますw



以上です。

2ヶ月とだいぶ期間が空いてしまいましたが、海外アートについて書いているマガジンも更新したのでこちらも是非。

来週は、21日(日曜日)に更新予定です。

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