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「面白い」って何だろう

「これは面白いですね」
「それは面白そうですね」
「今回、面白かったことは…」

「面白い」という言葉を、
普段からかなりの頻度で口にしていることに気づきました。

「面白い」って何でしょう?

ぼくは「何かを知ることでの学びや気づき」だったり、「新しいものに出会ったときに可能性を感じた時」だったりが、パッと頭に思い浮かびましたが、皆さんの頭の中では、また違うイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。

だけど、人は「面白い」という言葉を「なぜ面白いのか」というようなことをいちいち頭で考えて発言しているわけではないような気がします。

今回は「人がなぜ面白いと思うのか(…これはめちゃくちゃハードルが高い気がするので断念して)」ではなく、「自分がなぜ面白いと思うのか」という点に絞って、面白いというタイトルがついた本を三冊買って読んでみた話を書いてみたいと思います。

面白いって何なんすか!?問題 センスは「考え方」より「選び方」で身につく 井村 光明 (著)

一冊目の著者は井村 光明さん。炭酸飲料ファンタのCM「〇〇先生」シリーズが有名な方です。あのCM面白いですよね(つい面白いと言ってしまう)。

この本の中に、10年前に広告学校で講師をされていたときの生徒さんとのこんなエピソードが紹介されています。

僕 「例えばさ、こう書くと面白いと思わない?
すると、
生徒「ぼくは面白いと思わないですね」
僕 「…」
生徒「ていうか、面白い、って何なんすか!?先生の言う面白いってどういうことなのか全然分かんないんすよ!」
と、突然逆ギレされたのです。
(略)
僕 「…」
生徒「…」
時間を置いてほとぼりが冷めるのを待とう
僕 「そっかぁ…ごめん。俺、次までに君に面白いと思ってもらえるコピーを考えてみるよ」
と、講師を生徒が逆転したようになってその場を終えるしかなかったのでした。

しかし「面白い」って何なのでしょうか。
それまで考えたこともなかった。

井村さんはこの生徒さんとのやりとりを通して「面白い」について、深く考えるきっかけになったと書かれています。こんな優秀な方でも考えたことがなかったなんて意外すぎます。


「面白い! 」のつくり方 岩下 智 (著)

続いて、二冊目の著者は岩下 智さん。電通のアートディレクターとして様々な広告賞を受賞されているそうです。

この本の中に、オランダの歴史家ヨハン・ホイジンガさんが人間と遊びの関係性について記した著書「ホモ・ルーデンス」が引用されていました。

(略)
面白さは、どんな分析も、どんな論理的な解釈も受け付けない。オランダ語の「aardigheid(アールディヒヘイト=面白さ)」という言葉が、最もよくその特徴を示している。この言葉のもとになっているaardは、ドイツ語のArtに対応し、あり方とか、本質、天性、という意味である。「面白さ」とは本質的なものだということである。つまり、面白さとは、それ以上根源的な観念に還元させることができないものであるということの、いわば証明になっているのが、この言葉なのだ。

引用「ホモ・ルーデンス」ホイガンジ/高橋英夫訳 中公文庫より

「根源的な観念に還元させることができない本質的なもの益々わからなくなってきますが、この本でも「面白い」はわからないものという前提に立って、自分が面白いと思うものを見つけていくという話が展開されています。やっぱり難しいですね。


面白いとは何か? 面白く生きるには? 森 博嗣 (著)

最後に、三冊目の著者は森 博嗣さん。小説「すべてがFになる」で有名な方です(工学博士でこのようなエッセイも書かれているなんて知りませんでした)。

この記事で紹介した順番で読んでいったのですが、この本が一番「自分がなぜおもしろいと思うのか」に応えてくれる本でした(もちろん一、二冊目も面白かったです)。「面白さ」は何なのか、どうやって生まれるのか、という様々なメカニズムについて考察されています(詳しくは書きませんが、すごくオススメの内容です)。

その中でも一番ピンと来たフレーズがこちらです。

こうして発想した素材や、抽象的な素材から「面白さ」を作り出していくと、そのネタが後日再度活用できるようになる。また、ちょっとした変異があって、別の「面白い」に転移することがある。複数のネタが、組み合わさって、新しいものが生まれることがある。
一度、自分の「面白さ」を作ると、それらを足掛かりにした「面白さ」も関連して生まれる。どんどん、大きな構造を築くことができる。
結局、最初はゼロだが、作っていくうちに、「面白さ」が生まれる環境が整ってくるというイメージを、僕は持っている。


まとめ

面白いって何だろう?と気になりだして、三冊の本を読みましたが、やはり面白さって曖昧であり、個人的であり、そもそも抽象的なものだけど、「面白いことを面白がる」ことが自分には一番しっくりきました。

たとえ少々後ろ向きなこと、思った通りにいかない、何が原因なのかわからないようなときも、何かしらの方法で解決されていくんだろうなと想像するだけで面白かったりしますよね。この記事で何回「面白い」と書いたのだろうという感じですが、いちいち頭で考えず、これからも呪文のようにどんどん口に出していきたいと思います。


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