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神のDB(019)

(019)目覚めのときですぞぉ~|ω・)どうぞ~

前のお話:https://note.com/daikiha/n/n97abb096d26e

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n3a508248507f

【26】

『うぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!!』

ますみの叫び声なのか、それともボクの叫び声なのかわからない。

そんな叫び声が漆黒の闇に響き渡った。

『くぁぁ、あうぅぅ。。』

ますみは最後の力でボクのほうに跳躍して戻ってくる。
呻いていた、ボクの目の前に。苦しいはずなのに、腕から血が滴り落ちているのに、ボクの目の前に立っていた。
ボクを守るように、生きる壁として。

『おい、ますみ、おい、おい、おい!!』

ボクは逃げよう、という言葉を言いたいのに、ただ、おい、しか言えずに、ますみに触ろうとした時、

『逃げて!ダイキ!!』

ますみはそんな短い言葉だけボクに言い放った。
ボクは何も言えず、そして何も考えられなくなった。
逃げろ?
ボクひとりで?
なんだそりゃ。
なんなんだそれ。

こんな短い時間でこんな状況になって混乱している思考になってもわかる。
そんな情けない事、これ以上ボクはできるのか?
できるのか?

できるのか?

できる。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。わけがない。

あんなひどい事を言って、それでもますみはボクから離れようとせず一緒に居てくれて。笑顔を向けてくれて。
あんなひどい事を言ったボクを、右腕を切られた状態でもまだ護ろうとしているますみを、
ますみは、
この子だけは絶対に置いていく事なんてことぉ!!!

『できるかぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。ブゥン

ボクの頭の中に『何か』が起動した。


⇒ネットワーク
『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ダイキ、大丈夫なの?、ねぇ、私は大丈夫だから、逃げて。。。。ダイキ?』
ますみは後ろを振り返った時、目を見張った。
ダイキは空を見つめたまま、目を、うつろな目を見開いたまま、停止していた。

⇒ネットワーク⇒接続
『ねぇ!!ダイキ、しっかりして!、逃げるのよ!!早く、ダイ・・・キ?』
と名前を言おうとしたとき、そのうつろな目に一瞬光が灯った。


⇒ネットワーク⇒接続⇒起動
ウン-----ン、「ID取得完了」
ウィン「パスワード設定:********」
ピpi「登録完了・・・・OS起動開始・・・・・アプリケーション起動・・・・・・・ネットワークアクセス開始・・・・接続確認」
ウィン「神のDBにアクセスします・・・・・ID、パスワード入力・・・・・・・・・認証終了」






ウィン「フォルダ「人物の設計図」⇒プログラム:再生にアクセスします」


ボクの頭の中に様々な知識が解放される。


ボクは目の前のますみの右肩を掴み、そしてますみを
『え、ダイキ?』 引き寄せた。

その瞬間、ボクの頭にはますみの設計図が、そうあのすばらしい、あるべき美しいますみの肢体が浮かび上がり、
そして、「再生」した。


『腕が、治った。』
ますみは、自分の右腕をみて呆然としていた。
その脇をダイキが通り抜けていく。

『ダイキ、ちょっと待って、危険よ!』
ますみがダイキに声を掛けたとき、ダイキはソードを掴んだままぶら下がっている切り落とされたますみの右腕に手を掛ける。

ウィン「フォルダ「人物の設計図」⇒プログラム:創造にアクセスします」
その瞬間、右腕が光り、そして・・・刀となった。

『なに、その刀。』
ますみはその刀に畏怖を感じた。
『なんなの、その「赤い刀」は』
ダイキが創造した刀は、刀身から鍔(つば)、柄に至るまで全てが赤、いや、その色は「血」の赤だった。


覆面の男はその場から初動なく超速でダイキの方に向かってきた。
ダイキは刀を下ろしたまま、ただ立っている。そう、刀を持ったまま、ただ、立っていた。

ウィン「フォルダ「武闘」⇒フォルダ「武器系統」⇒フォルダ「刀剣」⇒プログラム:抜刀術・・・・・・・・」

覆面の男がまさにダイキと接触するその時、
ウィン「・・・フォルダ「格闘系統」⇒フォルダ「型」⇒プログラム:居合い にアクセスします」


ズァアァァァァン!!!!!!


ダイキは刀を振り上げていた。

その場にいた誰もが、その動きを見えていなかった。

『かぁ!』
覆面の男が声を漏らす。
そう、覆面の男は股下から左顔の辺りまでダイキの斬撃を喰らっていた。

が、寸でのところで身を引いたのか、服と覆面を切られるに済んでいた。しかしダイキの目は覆面の男を見据えていた。冷徹な、慈悲もない、その殺気と共に。
(くっ!次がくる!)
覆面の男が思った瞬間!
(トン!)
ダイキの動きが止まる。そして、

(ドサァァ)
ダイキがその場に崩れ落ちる。
ダイキは意識を失っていた。


『ご無事ですか、祠堂さん」
と、ダイキの首に手刀を喰らわせてた初老の男が、覆面の男に言った。
『はい、ありがとうございます、高野さん。助かりました。』
覆面の男、レジスタンス日本支部長 祠堂京耶は覆面を脱いで礼を言った。

『ふぅ~、なんとか無事、任務完了です。』
雲の隙間から月明かりがもれる。
その月明かりは京耶と、その場にいる十数人のレジスタンスを照らしていた。


【27】

東の空が白み始めた。
夜明けが近い。

日本支部のレジスタンス達が、音も立てずに残処理を行なっている。
ダイキは眠ったまま、丁重に病院に送られる。精密検査を受けるためだ。
その傍には心配顔の女の子がダイキの顔をタオルで拭いている。拭かれるたびにニヤけるダイキにお仕置プランを立てるますみだが・・・

『兄さま。。。やりすぎですよぉぉ。。凄く痛かったですぅ、クスン』
と、半泣き状態で真後ろにいた兄の京耶に抗議をしていた。
そんなますみに
『それくらいで泣かないのですよ、ますみ。必要なことです。』
と、笑顔でさらりと受け流す京耶。

『そうですけど。。。ヒドイ。』
半べそ気味のますみの頭を撫でる、京耶。
しかしその眼差しは運ばれていくダイキに向けられている。

・・・夜が明けようとしていた。
『無事、救世主、大樹様はお力を発現させ、神のDBにアクセスすることができました。ますみ、始まりますよ。これから。これからが、』

漆黒の闇に満ちた世界が、夜明けと共に現れる白き光によって世界が純白に染まる。

『私達の本当の「レジスタンス」です。』

【Ⅲ】

『目覚めたようだ。』

そこは青白い光が支配している空間。

『そうらしい。こちらの予定より早かった。』

そこには3人の影がいた。

『しかし無様だ。この事態によって想定していた今後のプランが全て無駄になった。』

この空間は異様なまでの『無』が支配していた。

『問題ない。プラン自体に支障はない。発現しただけだ。修正範囲内ではあるよ。』

ムーン

入り口らしき扉が開く。一人の男性が入ってきた。

『と、いうわけだ。今後のプランは伝えてある通り。実行しろ。』
一人の影が入ってきた男に言う。

その男は無言で頷き、そのまま反転して部屋から出て行く。
ムーン

別の影が揺らぐ。
『数百年ぶり、だな。久しぶりだ。』

『ああ、そうだな。』
向かいの影が答え、さらに影が揺らぎ始める。

『さあ、幕をあげよう。』

そして、再び沈黙に戻る。


->

廊下に出た男の口は、しばらくして口元を綻ばせる。そして言葉を発する。

『さあて、今回のレジスタンスはどう転ぶのか。やつらのプラン通りか、それとも予想も付かない方向に行くか。。。まさに『楽しみ』だな。』

幕が上がる。

最後のレジスタンスの幕が。

そう、

『楽しみのレジスタンス』の幕が上がる。


【第一章:始まりの日常(完)】


前のお話:https://note.com/daikiha/n/n97abb096d26e

後のお話:https://note.com/daikiha/n/n3a508248507f

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