私の母校「クラーク高校」のリアルと勧める・勧めない理由その①[記事No5]

【はじめに】

こんにちは。元不登校児の大吉neatです。この記事では私が中学生時代に不登校をしたのちに進学しました「クラーク記念国際高等学校 週5日(総合進学/全日制)コース」について書いていきます。私が卒業したのは今から10年以上前の2010年代頭頃ですが、教育指針もポジショニングも当時から変わっていません。そのため今でも多くの方にとって参考になる情報であると考えております。また最近新設されている多様な●●特化コースも本質は同じものですので、参考になるかと思います。

クラーク高校に限らず、通信制の高等学校への進学・転学を希望・検討している方がいらっしゃいましたら、比較対象としても是非参考にしてください。申し訳ありませんが、その①は無料、その②は有料としています。(その②は1万字オーバーの力作だったりします。笑)

なお記載の内容はクラーク高校OBの筆者の体験に基づいており、総合進学コース等と言われる「週5日/全日コース」について記載しております。「週1日通学コース」、「月数日通学コース」の体験談は含まれませんので、予めご了承ください。


まずは簡単に筆者の自己紹介

私は公立中学3年生の時に1年間いじめを理由に不登校をし、クラーク記念国際高校へ進学しました。在学中は文化系の部活動に所属する傍ら生徒会役員を1年間務めました。高校3年生の時に学力選抜試験での大学進学を目指し、2浪で難関私立大学に滑り込み。大学在学時に不登校関連のNPOで働いたり不登校児の家庭教師をしたりと支援側にも回りました。その後は「良い大学に入って、安定した超大企業に入る」という昭和・平成的なエリートコースを辿っております。もっと詳しく経歴を見てみたい人はこちら。(無料です)

<この記事のトピック一覧>
⓪筆者はクラークについてどう思っているのか? 「通学するタイプの学校を望むならおすすめ」
①クラーク高校の概要 「校長は三浦裕一郎だけど、名前だけ。」
②特徴 その1 「元不登校児が通い続けられる仕組みがすごい」
③特徴 その2 「普通の高校に近い青春を送ることができる」

<その2は有料ですが、>
③特徴 その3 他校にない強み「進路支援が超強い。だから競合他校と比較して大学進学率が高い&高卒後進学率が異様に高い。」
④特徴 その4 勉学は身につかない。「カリキュラムは具体的にこうやばい。基礎学力を欠いているため進学した大学を中退する人も」
⑤番外編 クラークの入試対策は4つ。 試験前から試験は始まっている。

⓪筆者はクラークについてどう思っているのか?

私は人にクラーク高校を勧めるときは必ず2つの情報を伝えています。
①「不登校経験者の多くにとってはベストな選択肢の1つである」
②「ただし身体的・心理的・学力(成績含む)的に全日制高校へ進学することができるのならばそちらへ進学すべき」
と伝えています。

そしてもう1つ大事な前提情報があります。「私はクラーク高校は好きではありません。」
私はクラーク高校出身者ですので、多少は母校に愛着が多少あります。甲子園に出たクラーク高校の活躍を横目で見ながら応援もしますし、職場に高校の後輩がいたら可愛がると思います。そして大人になった今、私はクラーク高校に行って良かったとも思っています。それでも好きではありません。むしろ嫌い寄りです。

ただし、私のような中学以前に不登校をしていた多くの生徒が毎日のように通学し、卒業・進学し、社会へ羽ばたいていっていることも紛れもない事実です。

しかしそれでも、私がもし中学3年生から人生をやり直すことができるのならば、私は死ぬ気で勉強してでも、普通の全日制高校をめざします。しかし、同様の定時制・通信制高校(全日制、週1日、通学なし)や高認&サポート校から進路を決めるならば必ずまたクラーク高校を選ぶと思います。(正直、学費は高いんですけどね。大人になった今だからこそ、クラークに限らず、この業界の学費の高さには驚きます。(背に腹を変えられないような窮鼠からお金を取るビジネスモデルなので業界自体を好きにはなれません。

このようなクラーク高校を贔屓するつもりは一切ないOBOGの立場から、ありのままの事実を記載していこうと思います。


①クラーク高校の概要

クラーク高校は私立の広域高等学校(通信制・単位制)です。学校運営元は創志学園で、以下の図のように日本主要都市+αぐらいの都市圏にキャンパスを設置しています。※提携校を含む
最近だと系列校の創始学園高校(岡山)や北海道キャンパスの野球部が全国野球大会に出場していたりと世間一般の人でも「野球が強いところね」ぐらいの認知度は獲得できているかもしれません。

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クラーク高校HPより

生徒はほとんどが不登校経験者’のはず’=実際は知らない

私を含め、多くのクラーク高校の生徒は中学時代、またはそれ以前に不登校を経験しています。正確に言うと「しているらしい」です。皆不登校をしていた経験がある’と思われる’ことから中学時代の話をしない、もししても相手に中学時代の質問をしてはいけないという暗黙のルールがありました。少なくとも私は同級生とは不登校をした理由を話したことはありませんし、聞いたこともありません。

なので「らしい」「のはず」と語尾を濁しているのは、私が本当に知らないからなのです。もちろん一部の仲の良い友達とはそんな話を少しするのですが、それでも「酷いいじめにあって…」など具体的な話はしません。私の同級生の中には見た目が少し「ワルっぽい人」もごく少数いましたが、彼らも実は中学生時代に不登校で苦しんでいたのかもしません。これは恐らく、不登校児を積極的に受け入れている高校では同じことが起きているかと思いますので、クラーク高校に限った話ではないと思います。

ちなみに以前「うちの子アニメやゲームが趣味で・・・高校で友達できるかが不安なんですけど・・・」という相談を受けたことがあるのですが、アニメ・漫画・ゲームに対する許容度はかなり高いと思います。というかみんな不登校期間中にやっていることって大体同じなので、アニメやゲームは高校で最も主流の趣味かもしれません。それぐらい「当たり前」なのでむしろ話の合う友達が多いと思います。

校長の三浦裕一郎はことあるごとにテンプレビデオメッセージを送ってくるだけの名前だけ校長。

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クラーク高校HPより

サブタイトルのまんまなのですが(笑)、クラーク高校は校長が冒険家の三浦雄一郎であることを一つのウリとして推しています。ところがどっこい、三浦雄一郎は入学式や卒業式でテンプレの全国のキャンパスで使いまわせるようなビデオメッセージを送ってくるだけで校長らしいことは特に何もしていません。毎度ビデオメッセージでは「句読点の使い方がおかしい気がする」と心の中でつっこんでいました(笑)

要は企業のCM/イメージタレントと同じで、校長は名前を貸しているだけです。私は在籍した高校3年間で一度も生で三浦雄一郎を目にすることはありませんでしたが、一つ上の学年の先輩から「修学旅行先の北海道のスキー場にいた」とも聞いており、学校行事にも参加する場合があるようです。

なお脳科学者の茂木健一郎が屋久島おおぞら高等学校(KTCおおぞら高等学院)の校長に就任したそうですが、これもクラークの三浦雄一郎と同じようなものだと推測しております。

【特徴 その1】 「元不登校児が通い続けられる仕組みがすごい」

クラーク高校へ進学する生徒・進学を検討する生徒は中学以前に不登校を経験している人がほとんどです。
文科省の調査によると不登校の原因は人それぞれですが、クラーク高校では不登校の原因と言われる要素に配慮し、不登校経験者でも毎日通いやすい学校運営を実施しています。特に特徴的な点を2つ記載いたします。

①人間関係のトラブルを防ぐために

人間同士の相性もあるので、ちょっとしたいざこざは当然あります。どんなに仲の良いコミュニティであっても一切無いなんてあり得ません。しかし、その中でもクラーク高校ではいわゆる「いじめ」はほぼ0だと思いますし、ちょっとしたいざこざも一般的な高校と比べるとかなり少ないと思います。これには理由が2つあると思います。

1つは生徒間でのいじめやいざこざに対して先生方が凄まじく配慮しているということ。これは恐らくクラーク以外の通信制高校でも同様ではありますが、1人1人の生徒に寄り添い、必要な人にはとことんフォローしていました。男子生徒にはあまり縁がないとは思いますが、女子生徒はやはり悩む人は多いようで先生を頼る人も多かったと思います。

そして2つ目が、私のようにいじめといった人間関係で不登校になった人がそもそも多いので人の痛みがわかる生徒が大多数派だからです。
繰り返しますが、人間同士のいざこざは0ではありません。0はあり得ないです。ただ「0を目指す」という綺麗事を大真面目に目指しているそんな学校だと感じでいます。

②勉強についていけない人を生まないために

クラーク高校に限らず、不登校時を受け入れている通信制高校の生徒の学力は上位と下位の幅がとても広いです。
小学校から不登校をしている人もいれば、私のように中学校後半に不登校をした人、はたまた難関私立中学校をドロップアウトしてきたため高校1年生の学習範囲が既に学習済みの人もいます。
私の感覚では、学力の中央値は大体中学1年生ぐらいに思えました。

クラスわけは学力に応じてされますが、それでもやはりみんな不登校をしたタイミングが異なるため、学力の差分はかなり顕著に発生します。一般的な高校が何かしらの入試を設けて入学する生徒の学力段階に応じて調整しているのに対して、学力による選抜試験は一切ありませんから当然ですよね。(※補足:入学試験で筆記試験はありますが、入学後のクラス分けの参考情報として実施していると学校側は公表しています。詳しくはこの記事の最後の番外編を見て下さい。)

ではどうするかと言いますと、授業進行はクラス内の一番下のレベルに合わせることになります。さらに言うと勉強についていけないと挫折する人が極力生じないように、一番遅れている学力の人が余裕でついて来れるペースに設定していると思われます。それぐらい一般的な高校より授業進行が遅いです。(これは大学受験勉強を通じて理解したことで、実際に自分が学んでいるときは遅いなんて思ったことはなかったのですが)

③学校運営からは不良っぽさは極力排除する

「ん?なんのこと?」と思われるかもしれません。これは生徒の頭髪や服装・アクセサリについての校則・原則です。
簡潔にいうと、全ての生徒に「染髪/パーマ・アクセサリ・不良っぽい格好の禁止」を強制します。これは賛否両論あると思いますが、過去にいじめを受けていた人を刺激しないように、という意図があるようで、「大原則」として違反した人は口うるさく注意されるというレベルではないぐらいの指導を受けます。

もちろん年頃なので、高校入学後に「おしゃれしたい!」と思い立つ人もいます。(私もそんな一人でした。)
そんな人がピアスを開けたり、染髪・パーマをかけると「明日までになんとかしてこい!できないなら学校に来るな」と通達されます。(※もちろん地毛が茶髪の人や天パの人は除きますよ。)
それだけ不良っぽさを排除する原則が根付いています。

私が通っていた横浜キャンパスには謎ルールが2つ

「不良っぽい格好の禁止」に関連して、当時の横浜キャンパスには超絶謎ルール2つが存在しました。
①「職員室のあるフロアではセーター・カーディガンのみの着用では入れない」
②「ベージュ色のカーディガンを着用してはいけない」
なぜこのルールが存在するのかは当時も今も全く納得できないのですが(笑)、「ダメなもんはダメなんだよ。それがこのキャンパスのルールだ!」と言われていました。時にはこんな理不尽なルールにも従いながら生徒は高校生活を送ることになります。(※補足:どうやらこのカーディガンのルールは横浜キャンパス独自ルールの可能性があるようです。)


【特徴 その2】 「普通の高校に近い青春を送ることができる」

※前提としてクラーク高校の「総合進学コース」といった名称の週5日通うコースの話として記載させていただきます。

全員ほぼ初対面。だからこそ再スタートが切れる。

先に記載しました通り、不登校経験者が多い学校ですので、人間同士のいざこざはかなり少ないです。加えて同じ中学校出身の生徒はいない(ごく稀にいたとしても数人)環境での再スタートになりますので、過去の自分を知らない人との関係構築になります。こう言ったらなんですが、これはかなり気楽です。もちろん初対面の人と仲良くなることはかなりエネルギーを使います。ただそれ以前の自分が全く知られていない環境というのはそれはそれで気楽で悪くないです。そんな環境で部活動やアルバイト、友達と遊んだり・・・などなど。好きなことに時間を割くことができるようになります。

いわゆる「普通の高校生活」

もうこれが全てだと私は思っているのですが、なんといっても「普通の高校に近い」ということが最大の強みです。
しかもそれを前述の不登校児に配慮された環境で過ごすことができます。
もちろん、世間一般の方が想像・想起する高校生活と全く同じではありません。例えば、校舎は「ビル」です。部活や学校行事も多少異なります。
思い返してみますと、夏休みの宿題なんかもありませんでした。他にも何か私では思いつかない(知らない)差分があるかと思います。

それでも毎日学校へ行き、それなりに気の合う友達ができるかもしれない。また毎日授業を受け、たまにテストを受け、部活やアルバイトなどに打ち込み、人によっては恋人ができてそれなりに充実した青春になるかもしれません。
このような世間一般的な高校生活を送ることができる可能性が高いです。(もちろん、全ては本人次第ですが。)

部活動

高校生活といえば保護者の方にも部活に熱中した方も少なくないのではないでしょうか。クラーク高校には各キャンパスそれぞれに運動部〜文化部まで多くの部活が存在しています。部活動に入るのも入らないのも自由です。私の感覚では部活に入っている人と入っていない人の比率は大体半々ぐらいだった記憶です。
私が通っていた横浜キャンパスには当時野球部、サッカー部、バスケ部といった運動部の他にも、軽音楽部、ボランティア部などの文化部もありました。もちろん、参加したい部活動がなければ作ることもできます。キャンパスにより興味のある部活がそもそもあるか・ないか、また部活動の活動状況が異なるので、詳細はご興味のあるキャンパスへお問い合わせください。

部活動の出場する大会はほとんどが「定時制・通信制リーグ」なので数回勝てば全国大会出場!?だからマイナー部活動も積極的。


クラーク高校の部活動もいわゆる「大会」に参加します。この時参加するのは全日制高校と戦うリーグではなく、定時制・通信制高校のみが出場する通称「定通性リーグ」になります。対戦相手の高校もクラークと同じような高校が多いのですが、ご存知の通り、定時生通信制高校は数が少ないです。そして部活動に前向きな高校は更に少ないので、出場している学校は片手で数えられるぐらいです。(ちなみにあえて定通制リーグではなく全日制リーグに参加する部活動もあります。例えば北海道本校の硬式野球部は春の選抜高校野球大会にも招集されています。※この例は少し特殊なパターンですが。)

余談ですが、私が在学していた横浜キャンパスには当時「ゲートボール部」がありました。設立初年度にも関わらず全国大会出場&海外遠征。輝かしい功績に思えるかもしれませんが、「ゲートボール部は日本に数校しかない」ので、初戦が全国大会だったような・・・(笑)

部活動はどこでやるの?
クラーク高校のほとんどのキャンパスは「いわゆる学校」という建物ではなく、ビルの一部又は一棟に丸々入っています。つまり、いわゆる校庭(グラウンド)がないことが多いのですが、学校近くの公営体育館やグラウンドを借りたりすることで部活動に参加することができます。※ちなみに体育の授業も同様の方法で行われます。

学校行事

こちらもみなさまご存知かもしれませんが、体育祭・文化祭・修学旅行など普通の高校生活にあるようなことは一通り体験することができます。(文化祭は前夜祭、本祭、後夜祭に分けてちゃんと実施されていました。これはキャンパスによるかもしれませんが…)
前述の通り、クラーク高校のほとんどのキャンパスには校舎らしい校舎やグラウンドはありません。よって文化祭はキャンパスの入るビルでこじんまりとし、体育祭は体育の授業を行う公営体育館やグラウンドで実施されます。
クラーク高校の生徒数は全キャンパス総和で見ると多いのですが、キャンパス1校に割り戻すとかなり小規模になります。(私の学年には同級生が75人ぐらいしかいなかったので、3学年総和でも200人少し。全日制高校は1学年の生徒数がこのぐらいですね。)
よってキャンパスにより学校行事の盛り上がりには差分があるかもしれません。私も在学していたキャンパスの体育祭や文化祭にしか参加したことがないので、こういった学校行事を重視される方は実際に見学しに行くことをお勧めいたします。(ちなみに余談ですが、学校見学はオープンキャンパスや学校行事の開催タイミング以外でもできますし、入学検討者本人がいなくてもOKです。各キャンパスにより事情は異なるかもしませんので、各キャンパスへご相談ください。)


記事その1の最後に

ここまで読んでいただきまして誠にありがとうございました。クラーク高校に興味がありましたら是非資料請求をしたり、オープンキャンパスへ訪問してみてください。
また後編記事その2は有料(300円)ですが、クラーク高校に進学する上で必ず知ってほしいことを記載しています。

<書いているトピック>
③特徴 その3 他校にない強み「進路支援が超強い。だから大学進学率が高い&高卒後進学率が異様に高い。」
④特徴 その4 勉学は身につかない。「カリキュラムは具体的にこうやばい。基礎学力を欠いているため進学した大学を中退する人も」
⑤番外編 クラークの入試対策は4つ。 試験前から試験は始まっている。

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大吉neat

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