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シノーポリはマーラーに何を見、感じ、マーラー自身が理想とした「第5」の楽想にいかにして斬り込んだのか

こんにちは。音楽評論家の和田大貴です。先日ご紹介したシノーポリの指揮するマーラーの交響曲第5番は、美しくて情熱的で表現豊かな演奏だと思います。私は、シノーポリがマーラーに何を見、感じ、マーラー自身が理想とした第5の楽想にいかにして斬り込んだのかという問いに、素晴らしい答えを与えてくれたと思います。

シノーポリは、テンポをいろいろに揺らしながら感情の機微を表現していくマーラーの音楽の本質がよくとらえられていて、情念の湧出の背後にある精密な構成と構造への気配りが瞬時もおろそかにされることがありません。

私は、シノーポリの指揮するマーラーの交響曲第5番を聴いて、以下のようなことを感じました。

• 第1楽章は、トランペットのソロで始まる有名な葬送行進曲で、マーラーの友人であるハンス・フォン・ビューローの死を悼むとともに、マーラー自身の死を予感させる重苦しい曲です。シノーポリは、この楽章を、どんよりもったりした透明度の低い演奏ではなく、深くて濃密で悲痛な演奏として表現しました。シノーポリは、この楽章で、死というテーマに対するマーラーの感情や思想や物語やメッセージを伝える力がありました。シノーポリは、この楽章で、音楽の神の言葉や音楽の秘密や音楽の愛を刻むことができました。

• 第2楽章は、第1楽章とは対照的に、生命の躍動や喜びや希望を表す華やかな曲です。シノーポリは、この楽章を、明るくて開放的でフランクかつフレンドリーな演奏として表現しました。シノーポリは、この楽章で、生というテーマに対するマーラーの感情や思想や物語やメッセージを伝える力がありました。シノーポリは、この楽章で、音楽の神の力や音楽の美や音楽の真理を示すことができました。

• 第3楽章は、マーラーが「地獄の音楽」と呼んだ、悪魔的なユーモアや皮肉や狂気や暴力を表す曲です。シノーポリは、この楽章を、鋭くて刺激的で衝撃的かつ挑発的な演奏として表現しました。シノーポリは、この楽章で、地獄というテーマに対するマーラーの感情や思想や物語やメッセージを伝える力がありました。シノーポリは、この楽章で、音楽の神の言葉や音楽の秘密や音楽の愛を刻むことができました。

• 第4楽章は、マーラーの妻であるアルマに捧げられた、愛と美と幸福を表す有名なアダージェットで、マーラーの最も美しい旋律の一つです。シノーポリは、この楽章を、美しくて情熱的で表現豊かな演奏として表現しました。シノーポリは、この楽章で、愛というテーマに対するマーラーの感情や思想や物語やメッセージを伝える力がありました。シノーポリは、この楽章で、音楽の神の力や音楽の美や音楽の真理を示すことができました。

• 第5楽章は、第1楽章から第4楽章までの対立や緊張や葛藤を解決し、最終的に死から生へ、地獄から天国へ、悲しみから喜びへと至る壮大なフィナーレです。シノーポリは、この楽章を、華やかで開放的でフランクかつフレンドリーな演奏として表現しました。シノーポリは、この楽章で、解決というテーマに対するマーラーの感情や思想や物語やメッセージを伝える力がありました。

この演奏のクライマックスはエンディングにきます。

しかし、疾走するような圧倒的迫力の途中で示される緩徐な部分での抒情的瞬間のデリカシーには、シノーポリの複雑な感受性と表現能力が遺憾なく示されているのです。


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