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日本酒の”からくち”を考える。②

●”辛口”はどの辛口なのか?

日本酒の辛口というものは、甘くない日本酒の総称であるということが分かってきました。それでは辛口の日本酒を飲みたいという人が選ぶべきお酒はどのようなお酒なのでしょうか?

そこで重要になってくるのは、その人の言っている”辛口”がどのタイプの辛口であるか、タイプ分けして判断することです。

その判断材料の一つ目が、その人の甘みに対する嗜好性です。その人が甘いものが好きなのか、好きじゃないのか。普段はどのくらいの甘みの物を好んで嗜んでいるのか。甘みに対する許容量が大きい人であれば、甘みがある程度強いお酒であっても後味がすっきりとしていれば辛く感じる方もいらっしゃいます。
二つ目が、その人の先天的な体質です。例え辛いものが好きな人でも、体質的に辛いものに弱い方もいらっしゃいます。あるいは体質的にアルコールに強い方の中には、日本酒なんてどれも甘く感じてしまい蒸留酒ぐらいに辛口でないと満足できない!なんて方もいらっしゃいます。
三つ目に、その方の経験に左右されるところもあります。例えば一度牡蠣であたった方が後天的にアレルギーで牡蠣が食べられなくなることがあるように、経験から苦手な味わい、好まない味わいというものがでてくることもあります。
これらの3つのポイントを考えあわせて、どのタイプの辛口が好みなのか判断していく必要があります。


●辛口のタイプ分類

1.) ぱっと見、辛口に感じないけれども実はかなりの辛口タイプ

・完全発酵させていて残糖度の低いもの
単純にお酒に残っている糖分の少ないタイプのお酒です。お酒の醸造では原料の米由来の糖分を発酵させてアルコールを生成します。アルコールと糖分は切っても切り離せないものなのですが、この糖分を完全にアルコールに分解したタイプのお酒です。必然的にアルコール度数は高めのことが多いです。
甘みをアルコールに転換しているので、甘みによる味のコクというものは期待できません。その分ある程度熟成をさせることでアミノ酸を増加させ、うま味をプラスすることで味のコクを出しているお酒が多くみられます。
うま味が分厚い為飲み口は重厚であったり、辛口に感じにくかったりすることが多いのですが、含有糖分は間違いなく少なく、第一印象以上にしっかり辛口であることの多いタイプです。

2.) 添加されている醸造アルコールによって辛口に感じるもの

・アルコールが添加されていて、アルコールの純度の高いお酒
従来より各酒蔵のラインナップに”からくち”としてラインナップされているお酒です。ある程度の量の醸造アルコールを加えてお酒を仕上げているので、よりクリアで純粋なアルコールを思わせる味わいとなっています。(現在はその添加量は法律で規制されており、一定以上の品質のお酒ができるように整備されています。)
いわゆる淡麗辛口といわれるような味わいのものです。

<その③に続く>

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