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理想の未来が描けない人たちへ(前編)

 コーチングの基本は、逆算思考です。迷路を脱出しようとしたら、ゴールから逆算するのが早いですよね。それと同じで、自分の望む状態(ゴール)からどんな行動を取ると良いのかを考えるのです。それによって人生を変えていくのがコーチングだと言うわけです。

 迷路を解く場合にはゴールからの逆算を考えるのに、人生においては逆算思考を使わない人たちがいっぱいいます。これはとても勿体無い。だから僕たちコーチは

「ゴールは何?」
「どうなることを望んでる?」
「どんな自分になりたい?」
「チームがどうなればいい?」
「何が起こっていたら最高?」

 とか質問するわけです。全てゴール(望む未来の状態)を問いかける質問ですね。

 ところが僕たちがゴールについて質問しても「明確かつ魅力的なゴール」を持っている人はそんなに多くない。

 ・現状の問題が消えただけの状態
 ・なんとなく良さそうな状態
 ・現在の延長線上の状態

 みたいなものがゴールとして語られることも多いし、語っている本人がゴールにあまり魅力を感じてなさそうなことも多いのです。「わからない」「考えたことがない」と言われることもあります。

 勿体無いな、と思います。外に出かけてもただブラブラしていたら、それだけで1日終わることありますよね。目的を明確にせずにいると、下手したら一生ブラブラと時間が過ぎていくかもしれない。一方で欲しいものが明確な人は、毎日でも何かを手に入れて帰ってくるわけです。

 ということで、今回の記事では、セルフコーチングでゴールを描きたい人や、初心者コーチで、ゴールの描き方の基本が知りたい人のためにポイント解説をしますね

①問いを持って街にでる

 まず1つ目は街に出よう!!何かしてみよう!!という提案です。「ゴールってなんだろう?」と自分に問いかけても答えが出ない人は、その問いを持って、街に出ましょう!!

 「私はどうなりたいのかな?」「僕はどんな人生を生きたいんだろう?」
 「どんな仕事をしたいのかな?」「どんな家庭を持ちたいんだろう?」

 何かゴールに関する問いを持って、街に出ましょう。いろんな人に触れましょう。いろんな場所に入ってみましょう。

 ゴールが思い描けない人は、刺激が不足している可能性があります。いつも同じ場所で、同じことをしていると麻痺してくるわけです。その世界が当たり前になりすぎて、それ以上のことが考えにくくなります。

 一生懸命生きていても、そうなっちゃうんです。むしろ一生懸命生きてるから、そうなっちゃう場合もある。

 たとえば生まれたばかりの子どもがいて、睡眠時間を削ってお世話をしているとしましょう。そうすると自分のことがわからなくなってくる人がいます。自分が何がしたいのか、自分が何が好きだったのか。。。。わかんなくなっちゃう。仕事でも一緒です。同じの中で、身を削るように頑張りつづけると自分がわからなくなっちゃう。

 新しい刺激が少なくて、ストレスが多い環境にいると、自分を見失いやすいので危険です。

何もしないと何も起きない

 で、疲れ果ててるから、空いた時間があれば、ぼーっとしちゃう。もちろんそれは必要なことなんで、ぜひ休息を取ってもらいたいんですが、激務&休息の日々だと、未来は出てきにくいわけです

 ちなみに、激務じゃなくても、刺激のない日常を送ってると、やっぱり未来にやりたいことが出てこなかったりもします。

 ということで、街に出ましょう。人と会いましょう。話を聴きましょう。うちにいるならドキュメンタリーを見ましょう。いろんな人の仕事に触れましょう。いろんな家族に触れましょう。いろんな生活を見てみましょう。

 そして問いかけてください。「どんな人生生きたいのかな?」

 コーチは宿題を出しましょう。別に未来はコーチングセッションの中で描けなくてもいいのです。

 行ったことのない場所に行く、見たことのない映画を見る、本を読む。
 やりたかったけどまだやってないアクティビティに参加する。
 普段と違うジャンルのイベントに行ってみる。新しい場所に旅行する。
 伝記を読む、インタビュー記事を読む。ドキュメンタリーを見る。
 上の世代がいる場所に行く、下の世代がいる場所に行く。
 行ったことのない店に行く。普段は絶対に入らない店に入ってみる。

 どんなことでもいいのです。クライアントが何か刺激を得ることができるような体験を提案してみてください。そしてそれをしながら「自分は何が好きなんだろう?」「何をしたいんだろう?」「どう生きたいんだろう?」などと問いかけるようにしてもらえば良いのです。

 役に立つ質問を1つプレゼントしましょう。

 「誰と会えば、やりたいことのヒントが得られそうか?」

 を活用するのです。「どこに行けば、やりたいことのヒントを得られそうか?」「何をすると、やりたいことのヒントが得られそうか?」「何を読めばやりたいことのヒントが得られそうか」

 いろいろ考えられますね。そして出てきたアイディアをとにかく実行してみるのです!

②できること&大事なこと

 魅力的なゴールを描くとなると、

 「自分は何が好きなんだろう」「自分は何がやりたいんだろう」

 などと問いかけがちです。

 コーチも「何が好き?」「何にワクワクする?」「なんでもできるなら何がやりたい?」と質問したりします。

 もちろん僕も、みんなに自分の価値観を大切に生きて欲しいです。そして「やりたい!」と思うものだからこそ、やれたら幸せだし、モチベーションも上がるわけです。

 とはいえ「何が好きなの?」系の質問をされてもピンとこない人もいるのです。(もしくはピンとこない時もある)

 だから、やりたいことが見つかりにくければ「やれること」「できること」を考えてみるのです。

 「自分にやれることはなんだろう?」「自分にできることはなんだろう?」

 「それをもっとやったら何が起こるだろう?」「さらにうまくできるようになったら、何が起こるだろう?」

 「その力をつかって、何ができると良いだろう?」「誰に貢献できると良いだろう?」「その先にはどんな可能性があるだろう」

 とか発展させてみるのです。ここにも幸せな未来のヒントがあると思います。

 そして「できること」を思い出したり、思い描くと「自己効力感」が向上します。これもまた素晴らしいことです。効力感があがることで、未来は描きやすくなります。効力感が低いと、未来を思い描いても実現すると思いにくいので、未来を描かないからです。

 ちなみに僕

 「天職の大部分は、やっているうちに天職になったもの」

 だと思っています。最初から天職なんて確信はないし、自分に自信もなかったりするけど、やっているうちにだんだんと上達もするし、可能性も感じられるようになり、そしてもっと貢献できるようになって、ますますその仕事に価値を感じるようになる。気がついたら「これが天職だった」と思えるようになる。

 僕はコーチとしてそういう人たちをたくさん見てきました。こういうルートもあるわけですから、今できることを発展させていって、最高に幸せな人生を生きることもできるわけです。ぜひ「できること」からイメージしてみることもトライしてください。

 もう一つは「大事なこと」から考えるというアプローチです。もう少し具体的にいえば「世の中にとって大事なこと」から考えるのです。

 あなたは今の世の中には何が足りないと思いますか?
 あなたは今の世の中に何が増えたらいいと思いますか?
 あなたは今の世の中から何がもっと減ったらいいと思いますか?

 ぜひ、その答えをたくさん書き出して欲しいのです。その中に「あなたが作りたい世界」のヒントがあります。それに気がつけたら、

 「そのために何が出来そうか?」「誰と一緒なら出来そうか?」
 「自分はどうなりたい?」「何が出来たら素晴らしいか?」

 みたいに発想してみて欲しいのです。このように社会の課題から自分のゴールを作ってもいいわけです。

 というわけで「好き系」「できる系」「社会課題系」の3つのアプローチから、使いやすいものを選んで取り組んでみるのもいいアイディアですね

③真剣さVS適当さ

 コーチングでは真剣さと適当さ、どちらも大切です。ぜひ二つのアプローチを使い分けるようにしてください。

 まずは「真剣さ」からいきましょう。コーチはクライアントにまっすぐ質問してください。絶対に相手の中に答えがあると信じて、まっすぐに問いかけてほしいのです

 「ねぇ。本当はどんな人生いきたいの?」

 僕は「絶対に逃さないぞ」というつもりで問いかけることもあります。こちらの真剣さで、クライアントの真剣さも変わります。

 「ねぇ。本当はどんな人生いきたいの?。。。どれだけ時間をかけてもいいから、自分の心に問いかけてみて欲しい」

 などと言ってみるのもいいかもしれませんね。そして真剣に待つのです。

 「クライアントの中には、絶対に素晴らしい想いがある。まだそれを言葉にできていないけど、絶対にそれは存在している。だから、その想いに届くように真剣に問いかけて、待ってみよう」。そんな気持ちで問いかけるのです。

 クライアントの中に答えがある。と僕らは信じています。でもそれは、「クライアントの中には綺麗に整理された答えが存在していて、いつでもそれを取り出せる」という意味ではないのです。

クライアントは僕らの問いかけによって、「その答えの一部」に触れるわけです。地中に眠る化石の一片に触れるような体験です。そしてその一片を見ながら、それがどんな恐竜のものなのかを想像しながら、さらに周りを掘り進めていくように、コーチングも進んでいくのです。


全体を想像しながら、少しずつ

 セルフコーチングの場合も、そんな気持ちで自分の心(もしくは身体)に問いかけましょう。そして心が応えてくれるのをリラックスして待ちましょう。何かのイメージがふと浮かんできたり、過去の記憶が出てくることもあります。それらはもしかしたら、あなたが生きたい人生のヒントかも知れません。ジグソーパズルを繋げるように、謎解きを進めていきましょう


 次は「適当さ」です。「適当さ」もコーチングにおいては「真剣さ」と同じくらい大切です。真剣に考えても上手くいかないときは、適当路線に切り替えましょう。逆でもいいです。まずは適当に考えてから、必要なら真剣モードに切り替えてみてもいいのです。

 適当だとイメージが悪ければ、ブレインストーミング(ブレスト)だと思ってやってみるのがいいかもしれません。ブレインストーミングはアイデアだしですね

原則1 質より量に集中
原則2 楽しく自由にアイデア出し
原則3 出てきたアイデアを否定しない 

ブレストの原則

 適当にアイデアを出すのです。この場合だと「理想の未来」や「ゴール」に関してのアイディア出しを、気楽に楽しく大量にするのです。

 「こんなのできない」「子どもじみてる」「さっきのアイデアと矛盾する」「意味がわからない」などとアイデアを批判する声が出てきても、それを無視して、全てのアイデアを書き出して、見える化するのです。

 そのことによって、さらに触発されてアイデアが出てきたりします。玉石混交でいいのです。やらないこと、やれないことが含まれてていいのです。そうであるからこそ、無意識の中から面白いアイデアが出てくるわけです。

 量質転化です。ただしそれは結果として起こることなので、まずは量に意識を向けるのです。質は無視して適当にやるのです。

 コーチも一緒にアイデア出しに参加してもいいですね。その場合は、極めて適当にレベルの低いアイデアを出す形でクライアントに貢献してください。クライアントのアイデアの敷居を下げる&間口を広げる。それが僕たちの仕事です。

 コーチがピンポイントで質の高い提案をすると、クライアントのハードルがグッと上がります。コーチは適当に行きましょう。

 そうやって、大量にアイデアを出した上で、それに触発されながら、ゴールを作っていけばいいのです。

 そして、忘れないでください。コーチングで作ったゴールも所詮は仮説に過ぎません。だから実際にそれに向かって行動を起こしながら、どんどんと修正(バージョンアップ)していくものなのです。

 プロトタイプといってもいいですね。まずは「こんなのがいいかな」とプロトタイプ(試作モデル)としてのゴールを作ってみる。そして、そこに向かって動いたり、周りの人にも意見をきいたりしながら、理想の未来も作り変えていくのです。

 そのくらいの気楽な気持ちも大切です。

 今回はここまで。後編では、目線切り替えMAPというツールを使って「ゴールを描く質問」をする方法についてお伝えします。

 僕たちと人生を変えるコーチングを身に付けたいかたは









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