子どもの不適切な行動にどう関わると良いか①
この記事ではドライカース(アドラー心理学)の「不適切な行動の4つの目標」に関して解説します。これが理解できると、子どもに限らず、相手の不適切な行動にどう関わったらいいかのヒントが得られると思います。
では事例からスタートしましょう
可愛い子なんですけど、どうしたらいいのか
中学校の先生からのご相談でした。女子生徒の指導について悩んでいるとのこと
僕は基本コーチなので、このタイミングでアドバイス(行動処方)するのは珍しいんですけど、こういうのってスパッと行動切り替えるのが大切なので、この時はいきなり行動を指示するというパターンにしました
不適切な行動に着目しない。というのは大切な指針です。僕も幼児二人を育てているので、毎日子どもから様々な挑戦を受けます(笑)。なんとか親の関心を惹こうと、泣いたり怒ったり甘えたり。。。まだ可愛いものですが
さて、子どもの立場に立ってみましょう。お父ちゃんと遊びたいけど、なんか仕事というものをしているらしい。声をかけても「仕事中だから待っててね」とか言われる。そんなに待てない。また声をかけても生返事が返ってくる。。。しばらくは大人しく遊んでいるけど、つまらない。我慢ができないので大声を出した。そうしたら「うるさい!」とこっちを見た。お父ちゃんを動かすリモコンのスイッチを発見した!!!
まぁこんな風に思考はしていないにせよ、泣いたら関心を向けてもらえたら泣く、喚いたらこっちに来てくれるなら喚く。単純なことですね。
夜泣きもそうです。子どもが泣くと、親が寝室に行ってあげると、子どもは親を呼ぶために泣くわけです。親もそれがわかるから、グッと我慢して、行かない。10分20分と子どもは泣き喚く。そして、さらに声が大きくなる。。。これは流石にだめだ!と思って、親は様子を見にいく。さぁ子どもは何を学習しますか?そうです
「このレベルで泣くと来るのか!!!!」
次からは、ますます大声で泣くようになります。
人間関係はシステムなのです。子どもは一人でやっているのではなく、相手(この場合は親)がいるから続けるのです。相手がいなければバカバカしくて続けることはないのです。
このケースの女子生徒は中学生ですが、大人になったって私たちは相手の反応を得るために行動を取ることがあるのです。この女子生徒は優しい先生に構って欲しくてこのような行動をしているのです。
だから、反応するのをやめる。約束の枠内で淡々と動くのです。約束の時間の中で相談にのる。教室での約束を守れないのなら教室から出てもらう。そして出てもらうときにも相手を罰する必要はないのです。
子どもは授業を受ける権利はありますが、義務はありません。だから大人しく座っていないといけない、もおかしいし。うるさいからといって罰せられるのもおかしいのです。授業を受けるためには、クラスメイトの邪魔にならないようにする必要がありますが、外で騒ぎたいなら迷惑にならない場所で騒げば良いのです。(と、僕は考えます)
少なくとも、大人しくしているときは放っておいて、うるさい時だけ構うので、構ってほしければうるさくするのです。それをやめたほうがいい。トムとジェリーと同じです。仲良く喧嘩しているのです。
ということで①相談は時間内で切り上げること②教室で騒ぐ時は冷静に対応すること、を指針として伝えました。そして次も大切です
3つめの指針は「適切な行動に着目する」ことでした。普通にしているときで良いのです。そんなときに声をかけることで。普通にしている時間が増えるのです。だって声をかけもらうのは、ある種の報酬ですから、報酬がもらえる行動は強化されるのです。
普段うるさい子が静かにしているときに「よかった!」と思って放っておくのは勿体無いのです。相手が前向きな行動や協力的な行動をとっているときには、その行動を勇気づけることが大切なのです。別に大層なことを言う必要はありません。普通の声がけで構いませんから、愛情(関心)をもって声をかけることです。
このケースはこれで結了しました。3週間後に「問題行動がなくなりました」と報告があったのです。
「不適切な行動の4つの目標」
アドラー心理学では、すべての行動には目的(目標)がある、と考えています。これを目的論と言います。
先ほどの中学校の先生が言うところの女子生徒の問題行動にも、もちろん目的があるのです。
アドラー心理学を発展させた精神科医のルドルフ・ドライカースは「不適切な行動には4つの目標がある」と指摘しました
この4つは段階を示してもいます。つまり
第一段階 注目関心を引く
第二段階 権力争いに勝つ
第三段階 復讐心をとげる
第四段階 自分の無能力を誇示する
のようにエスカレートしていくと言うのです。
今回のケースの女子生徒は、第一段階の「注目関心を引く」と第二段階の「権力争いに勝つ」の間にいるような感じですね。泣いたり喚いたりして注目関心を引こうともするし、先生が止めるのもきかずに教室で騒ぎ続けることで権力争いをしているのかも知れません。
次回の投稿では、他の例も交えながら「不適切な行動の4つの目標」についての理解を深めて、どのような場合にはどう関わったら良いのかのイメージが持てるようにお手伝いしたいと思っています。
つづく
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