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【CBC】飛行機恐怖症の女性とライト兄弟⑤

  飛行機恐怖症を克服したいという女性。「地に足が着いてないのが怖い」「(飛行機が)空気に支えられている感じが乏しい」というクライアントにコーチは「空気(大気)」になって飛行機を飛ばせてみるワークを提案。不思議なことにこれでクライアントの恐怖心は減少しました。さらにレッスンは続きます

あらすじ

 チェンジワークの部分は文字だけ見ても、何が起きているか分かりにくいと思うのでビデオもどうぞ。11年前の僕(コーチ8年目)が奮闘しています。

 今日の記事分は34分50秒から。二人で子どものように「飛行機ごっこ」をやっているように見えるかもしれませんが、これで長年の恐怖症から解放されて、飛行機に乗れるようになるんだからすごいものです。

 ではいきましょう。クライアントは引き続き、飛行機に乗っているイメージトレーニングをしています。

宮越「空気で支えられてるなって。はい、じゃあ、空気で支えられてるなって感じながら、空気で支えられてると、まあ、ちょっと時には揺れたりするよね。はい、空気だからね。じゃあ、ちょっと、こう、ふわーっていくと。まあ、アナウンスがあるかないかは分からないけど、ちょっと乱気流入りますよみたいなこと言われて、ちょっと揺れるの想像するよ」
CL「うーん」
宮越「揺れるけど、ちょっと自分の体も揺れてみて、揺れるんだけど、うんうん。だけど、支えられてる感じってどこで感じられる?揺れるんだけど、あ、支えられてるな-。」
CL「あー、支え、なんだろう…機体が真っ直ぐこのまんま飛んでるから。あ、なんか、支えられてるって。」
宮越「座ってると、それがどうやって分かる?揺れてるけど、あ、支えられてるなって。」
CL「あ、なんか、浮いてるから。なんか、普通にいるし、あ、なんか、支えられてるなって思う。」

飛行機に乗るイメトレ2

「ちょっと時には揺れたりするよね。はい、空気だからね」

 コーチは暴露法(エクスポージャー)的な感覚でセッションをしているようです。クライアントが体験できるギリギリのレベルで、怖い体験をしてもらっています。リラックス感や楽しい感じの中で、ギリギリできる怖い体験に慣れていってもらう。このようなやり方で、恐怖だったものに慣れていってもらうわけです。

「揺れるんだけど支えられてる感じってどこで感じられる?」

 これもまたお得意の前提コミュニケーションですね。「揺れている時も、支えられている感じを感じるよ」という前提で「支えられてる感じはどこで感じるのでしょうか?」と質問しているわけです。

 シンプルなやり方ですが、これによってクライアントは実際に飛行機に乗って揺れたときにも、支えられている感じを感じることができるのです。

 そして

宮越「OK。じゃあ、また、それで戻るよね。また戻ってみると。あ、やっぱり支えられてるな~、浮いてるな~って思って。で、また、突然揺れが来ます。ウウーーーと揺れます。で、ちょっとびっくりするけど、その時どこ意識向けたら支えられてるなって感じになります?
CL「こう、(空気の)手が伸びてるのを、想像する。」
宮越「手が伸びてるのを想像して、グッと支えられてる。で、あ、機体が揺れてるだけだ、」
CL「あー、そうだ。うん。」
宮越「空気はちゃんと支えてくれてる。その証拠は何で分かります?なんか機体が真っ直ぐだから分かるのか、皆も別に普通に乗ってるから分かるのか。」
CL「あ、皆の表情を見て、結構平気そうだったから。」
宮越「じゃあ、ちょっとみんなの表情周り見て。あ、まあ、揺れてるけど普通にいるよね。ね。船で揺れてる時と変わらないもんね。」
CL「うん。」
宮越「ね。そういう感じで、こう見てて、あ、支えられてるんだって。」
CL「大丈夫なんだ。」

飛行機に乗るイメトレ3

 今度はもう少し恐怖の強度をあげていますね

「突然揺れが来ます。ウウーーーと揺れます」

 そしてその上で

「ちょっとびっくりするけど、その時どこ意識向けたら支えられてるなって感じになります?」

 ときいていますね。このように不安恐怖のレベルを少しずつあげながら、慣れていってもらう。そして「大丈夫だ!」「支えられている!」という感覚をどのように得られるのかを発見してもらっているのです。ウォルピの系統的脱感作などの応用のような手法ですね。

宮越「うん、大丈夫なんだ、ですよね。で、そういうふうに何時間か過ごして。で、飛行機の中で、長くなったら寝ますよね。はい。じゃあ、ちょっと横になりながら、そんな時も、ああ、ちゃんと空気が支えてくれてるんだって。なんで、支えられてるなって思います?寝る時も。うん。寝てる時も支えられてるなって感じがするのは、なんか浮き続けてるからなのか、真っ直ぐ飛んでるからなのか。何があったら、あ、支えられてるな~。」
CL「あー…なんか……、なんか真っ直ぐだから、真っ直ぐだから。」
宮越「うん、そうだよね。機体が、こう、真っ直ぐ飛んでる感じがあるからね。だから、ああ、ちゃんと支えられてるんだってなりますよね。で、また、起きて。で、なんか、ご飯食べたりしながら。で、揺れるけど、あ、ちゃんと支えられてる。で、最後、優しく着陸させてもらうのイメージしてください。だんだん、こう、降りてって、降りてって、降りてって、降りてって、最後、着陸して、空気が離れると飛行機が、こう、ガガガガガ、止まって。で、降ります。降りて、ハワイの景色を見て、」
CL「はあ~」
宮越「はあ~。で、『来たよ~』。」
CL「来たよ~。」
宮越「『来たよ~』ってちょっと言ってみてください。」
CL「来たよ~!」

飛行機に乗るイメトレ4

 コーチの配慮が素晴らしい。寝ている時の不安も潰しておこうということですね。クライアントの答えは「まっすぐ飛んでいるから」。

 飛行機は基本、ほとんどの時間はまっすぐ飛んでいるはずです。まっすぐ飛びながら揺れているのです。なのでまっすぐ飛んでいることに安心感を持てるなら、ほとんどの時間は大丈夫なはずですね。

宮越「言ってみてどんな感じですか?」
CL「ああ~、ほんとに来た~。」
宮越「ほんとに来た~って感じだよね。はいはい。支えられながら来たよね。はいはい。OK。じゃあ、ちょっと、もう一回こっち側に戻ってみますよ。はい。ここ座ってみて。はい、よいしょ。さっきさ、成田行くって思った時に、『ヤダヤダヤダヤダ…』って言ってたじゃない?今、例えば飛行機乗るってことイメージするとさっきと何が違いますか?
CL「うーん…こう、支えてくれてる感じですね。」
宮越「支えてくれてる感じ。」
CL「空気が、支えてくれてる感じ。」
宮越「感じがある、から、」
CL「安心?」
宮越「そうだよね。はい。」
CL「安心する。」

飛行機に乗るイメトレ5

 「すでに起こった変化」を意識化しています。

「さっき成田行くって思った時『ヤダヤダヤダヤダ…』って言ってたじゃない?今イメージするとさっきと何が違いますか?」

 このように「すでに起こった変化」を言語化することで、クライアントは自分が変化したことがわかりますし、これからもますます自分や自分の人生が変化していくことを受け入れます。基本的だけど重要な関わり方です。

 詳しくはRESOLVEのシリーズをお読みください

 では続きにいきます

宮越「じゃあ、もう一回乗ってみますよ。はい。じゃあ、もう一回、安心感を持って乗ってみる。はい。で、今から飛行機乗って、ハワイまで行きます。まあ、8時間か9時間か分からないけど乗っていきます。で、ちょっと想像してみてください。空気が支えてくれる。どんな気持ちですか?」
CL「ああ~、なんか、嬉しい。あー、ありがとうございます。」
宮越「ありがとうございます、だよね。OK。じゃあ、いいよ。そこ座っててね。で、じゃあ、ゆっくり立ち上がって。で、今、また今度、空気役やってもらいますから、エミちゃんが乗ってる飛行機を持って。どの辺に座ってそうですか?自分は。」
CL「ああ、ここ。」
宮越「ここら辺ね。じゃあ、そこに座らせてあげて、優しく連れてってあげて。こう、支えながら。で、揺れるんだけど、時には揺れるけど、そう、ずっと機体真っ直ぐだよね。機体真っ直ぐで、しっかり支えながら。そうそうそうそう。で、着いたなと思ったら優しく下ろしてあげて。そうそう、優しく下ろして。はい、だよね。そしたら、ここから、ひゅっと飛び出て、はい。こっち側来て、はい、『来たよ~』」
CL「お~、来たよ~。」
宮越「ね、こういうことだよね。」
CL「うん。」

変化を定着させる

 おさらいですね。定着させるために、おさらいをしているわけです。まずは空気の役で全体を復習。とても丁寧なやり方だと思います。そして今度は座席に座って体験です。


宮越「はい、じゃあ、もう一回こっち乗ってみるよ。はい。乗ってみて、はい。で、ここに座ったら自分(空気)に乗ってる飛行機想像して、飛行機全体をしっかり空気が包んでくれて。で、滑走路走って飛びますよ。ウワ――って飛んでって、飛んだらすぐにフウ――って支えてくれて、だから、どんどんどんどん上がって行って。で、上がりきると機体が真っ直ぐになるよね。はい。あ、機体真っ直ぐになったなって、体でも感じて。そう。で、ほとんどの時間はスムーズにス―ッと飛んで行くよね。支えてくれてるから。時に風が来たりして、揺れることもあるけど、ちゃんと空気が支えてくれてるから、真っ直ぐ飛行機はしてるし、周りの人もそんなに別にびっくりしてないよね。支えられてるのをみんな知ってるから、そう。で、また、そのまま真っ直ぐスーって飛んで行って、最後気持ちよく下ろしてくれます。行ってらっしゃーいってね。下ろしてくれて。で、自分は気持ちよく機体を出て、はい。ハワイの景色見て、」
CL「来たよ~。あ~、うわ~!」
宮越「うわ~、なんですか?なんですか?」
CL「嬉しい。」
宮越「ね。」
CL「わ~…はあ~、わ~」
宮越「うん、なんですか?なんですか?」
CL「なんか、あ~、そっか~」
宮越「そっか~、なんですか?そっか、何?」
CL「なんか、あ~、飛行機は…素晴らしいなって。」
宮越「あはははは(笑)」
CL「なんか、素晴らしい乗り物だなって思って。」

変化を定着させる2

 この辺りはほとんど催眠療法のようですね。クライアントの無意識にイメージが定着するように、言葉を重ねています。クライアントはすっかりと世界に入り込んでいますね。

 そして自然と

CL「あ~、飛行機は…素晴らしいな。素晴らしい乗り物だな」

 というわけです。

 チェンジワークは完成に近づこうとしています。この後は、この体験をクライアントのタイムラインにつなげ、新しく展開される人生と結びつけていきます。そして具体的な行動=宿題へと繋げるわけです。

 次回が最終回。お楽しみにどうぞ!

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