コーチングを上達させる振り返り⑦つの観点
振り返りしてますか?コーチングは振り返りをすることでどんどん上達することができます。逆に、振り返りや、TAKE2をすることなく、やりっぱなしで終わっていたら、いくら回数を重ねても上達可能性は限られています。
将棋の藤井聡太八冠がまだ高校生だったころ、地元の学校に通いながら、対局日は全国各地に出かけていたわけです。当然他の棋士に比べたら練習対局の時間も、研究時間も取りづらい。それでも結果を出し続けた理由は「振り返り」だそうです。一局一局を徹底的に振り返る。少ない対局数を徹底的に血肉にしていたのだと、杉本師匠が言っていました。
だとしたら現段階ではセッション数が少ないコーチも、振り返りを活用することで日本一になれるかもよ(笑)
ということで、おすすめの振り返りの「観点」を7つ紹介しましょう。もしあなたが普段取り入れていなくて、面白そうなものがあればぜひ採用してみてください!
①楽しめたか
はい。トップバッターは「楽しめたかどうか?」。
最高に楽しかった!!を10点だとしたら、今回のコーチングセッションは何点くらい楽しめたかな?
セッション後、こんな風に自分に問いかけて欲しいのです。そして
「もっと楽しむためには何ができたか?どうしたら良かったか?」
を問いかけ、次回に繋げて欲しいのです。
・もっとリラックスしたら楽しめた
・未来の話で盛り上げることができたら楽しめた
・思い切って相手とポジションチェンジしたら楽しめた
・自分のアイディアも伝えることができたら楽しめた
・◯◯の問題にしっかり向き合えたら楽しめた
どんなことでも構いませんから、自分が何をできたら楽しめたかを探求して欲しいのです。
こんなことを言うと真面目なコーチから「コーチングはコーチが楽しむためのものではない」と言われかねませんが、もちろん僕も同意見です。コーチングは第一にクライアントのためのものです。
だからこそ、コーチも楽しんでいたい。料理屋だって、美容室だって、スタッフが楽しんでいたほうが良いのではないでしょうか。仕事が楽しくて、刺激的で夢中で、お客さんと一緒に楽しむ(お客さんを邪魔しない範囲で)。それがいいのではないでしょうか。
ましてや僕らがやっているのはコーチングです。クライアントに自らの人生を楽しく攻略して欲しい。そのための作戦会議や実験の場がコーチングなのですから、一緒に楽しむのが良いと思うのです。
僕はとても深刻なカウンセリング系の案件も扱いますし、社会的にも影響があるようなビジネス系の決断を支援することもあります。そしてそれがどんなセッションでも僕自身が楽しむことを大切にしています。僕自身楽しでいるほうがパフォーマンスも上がるし、クライアントとの関係もよくなります。結果クライアントもプロセスを楽しめるようになるからです。
コーチングを始めて最初の頃は、緊張などで楽しめないかもしれませんが、緊張の中でも楽しみを見つけて、そこから少しでも楽しめる部分を増やしていってください。コーチングに慣れたら慣れたで新鮮度が下がり楽しめなくなるかもしれませんが、その際はチャレンジをしたら良いのです。何かを変えたらまた楽しめるようになります!
②できたところはどこか
あなたが出身スクールで学んだスキルの一覧表があれば、それを見ながら、できた部分にチェックを入れるとか点数をつけるなどしてみましょう。そのような一覧がなければ、自分で作ってみるのもいいです。
・傾聴できたか
・質問できたか
・承認できたか
上のリストはザックリすぎますが(笑)、適切なリストを用意して、それを作って振り返りをしてください。
大切なのは、できたところ(できているところ)をしっかりと認識することです。
細かいチェックリストを作って、できてないところを探し始めたら、あっという間にたくさんの課題が見つかります。そして「自分はまだまだコーチングができていない」そんな気分になるでしょう。そんなことには何の意味もありません。
別に細かいコーチングスキルなんてどうでもいいのです(←言い過ぎ)。そんなことで落ち込んでいてもクライアントにとって良いことはありません。今できることでクライアントに貢献することが大切なのです。いくつもの課題や問題で頭をいっぱいにしながらコーチングしているようでは、クライアントの話に集中できませんね。
だから、まずは自分のコーチングのいいところ、できているところを見る。そしてそれらのものは、すでにできることなのですから、あなたがいい状態でいれば、比較的いつでも再現することができるはずです。
このようにできている部分に意識を向け、それがいつでも再現できるようにしていく。そしてそれをベースにしながら次に考える「重点課題」を決めるのです。
何を身につけたら、あなたのコーチングが大きく変わりクライアントにもっと貢献できるようになる?その中でも1番優先度が高いものは何?
これ、自分で見つけるのは案外難しいのです。だから先生にコーチング見てもらったり、仲間からフィードバックもらったりすると良いかもしれません。
そしてこれを手に入れたらコーチングが大きく変わる!というものが見つかったら、そこにだけ意識を集中して取り組み、それがうまくいったかどうかを振り返れば良いのです。
だから他の項目は、できたところを見て「できてる!できてる!」と喜んでいるので構わないと思います
③重点課題にどのように取り組めていたか
あなたのコーチングの重点課題は何ですか?これが変わるとコーチングが一番変わる。そんなレバレッジポイントを探して欲しいのです。
・相手が話し終わるまでしっかり待てる
・相手の感情の変化に気づき深められる
・即座に確認の質問を入れられる
・制約を外した未来を具体的に描くことができる
・ポジションチェンジで効果的なコミュニケーションパターンが生み出せる
などなど
どんなものでも良いので、その時々の自分の課題を決めておきましょう。そしてセッションが終わった後に、あなたの重点課題に対してどれくらい取り組めたか。もっと何ができたら良かったかを考えてみてもらいたいのです。
練習セッションなどの場合は、相手に協力してもらってTake2をやってみてください。それがかなわない場合には、自分で一人二役をやりながらTake2をするのです。
スキルは繰り返すことで定着します。何度も口を動かし、身体(表情や身振り手振り)を動かし、動ける身体をつくるのです。頭でわかっているだけでは自然にはできません。何度も身体を動かして自分のものにするのです。
ビデオを撮ってみて、自分の喋り方、聴き顔がどうなっているかを他人視点で確認することも大切です。
④クライアントの人生はどう変わったか
これ大切です。コーチングセッションは手段です。コーチングそれ自体は目的ではありません。だから教科書的には正しい関わりができたとしても、クライアントの人生にいい影響が生まれないセッションであれば意味がないのです(←言い過ぎ)。
大切なのは、コーチングを受けたことで、クライアントの何が変わったかです。
職場の人間関係がテーマのセッションだったとしましょう。あなたのコーチングを受けたか、受けなかったかで、クライアントの人生で何が変化したのでしょうか?
・クライアントの仕事に対する考え方はどうかわったか
・クライアントの職場に対するイメージはどう変化したか
・クライアントのセルフイメージはどう変化したか
・チームメイトのAさんに対する認識がどう変わったか
・職場に戻ったとき、気分はどう変わっているか
・どんな新しいコミュニケーションパターンを身につけて帰ったか
・実際にどんな行動が職場で取れたか
などなど
例えばこういったことが大切なわけです。考え方が変わり、気持ちが変わり、行動が変わり、結果(生きる世界)が変わる。それをつくるためにコーチングをしているわけです。
だから、クライアントはセッション内でどんな変化を手に入れたのか。そのことにより、クライアントの人生(生活、仕事、人間関係)にどんな変化が起きるのか。そのことをしっかりとイメージして欲しいのです。
そして、セッションでクライアントに良い変化が生まれたとしたら、それはあなたがどう関わり、セッション内で何が起きたからなのか、と考えてみるのです。そしてそれを次回以降も必要に応じて再現できるようにしておく
このセッション後の変化に意識を向けることはとても大切です。振り返りに関する話題からは少し離れますが、セッションの残り時間が10分だったらこう考えたらいいのです。
このままここでコーチングセッションを終わりにしたら、クライアントは現場(職場や家庭)で何を考えてどんな行動をするだろう。。。。だとしたら、残りの10分で、何を目指して何をしたらいいのだろう。。。。
こんな風に考えるとコーチングの時間が有効活用できるようになってきます。
⑤どんなゴールを目指したら良かったか
続きです。コーチングの振り返りで大切なのは、コーチングの着地点(ゴール)を明らかにすることです。
コーチング終了時点の
・クライアントが設定したゴール
・取ると決めた行動
・心の状態
・自他に対してどんな認知を手に入れたか
そして、これらがクライアントの人生にどんな影響を与えそうかを明らかにしたら、次にコーチングセッションでどんなゴールを目指したら良かったかを考えるのです。
・もっと明るい気持ちになれたら良かった
・1ヶ月後など直近のゴールを作れたら良かった
・奥さんとどんな関係になれたら良いかを明らかにしたかった
・クライアントの自己効力感が上がれば良かった
・キャリアの指針が明確になっていたら良かった
・今週何をやるかを明確にできていたら良かった
などなど
セッション終了時にもっと何が起きていたら、よりクライアントの生活(人生)が良いものになったのかを考えるのです。それが明確になれば、今回のセッションで良かった部分は何か、そしてさらによくするためには何をやれば良かったのかがわかってきます。
人生が即興劇だとしたら、コーチングセッションは舞台の幕間みたいなものです。第1幕と第2幕の間に舞台袖で、次の幕に向けてコンディションを整えたり、指針を明確にするわけです。いずれにしても本番は舞台上です。舞台上で良いことが起こるように、舞台袖ですごす(コーチングする)のです。
⑥そのためにはどんな構造があり得たか
僕たちは、気づくといつもの行動パターンを繰り返しています。それはコーチングも同じです。なんとなくいつものパターンにハマっていたりします。
また僕たちは、相手の言っていることやってることに反応しがちです。だから大局観から外れて、相手の細かな言動に反応しながらプロセスを進めていくこともあります。
これらを見直すことでコーチングは大きく変わっていくことがあります。⑤でセッションのゴールをどこにもっていけばより良かったかの仮説が作れたら、そのためには、どんなセッション構造にすれば良かったのかを考えることができるのです。
セッション構造=セッションでどんな順番で何をしていくか
例えばGROWモデルは1つのセッション構造ですが、他にもいくつかのパターンを持っている人は、セッションのゴールから逆算して、どのパターンでいけば良かったかを見直すことができるわけです。
仮にGROWしかセッションのパターンを持っていなかったとしても、GとRとOとWの時間配分について考えたり、例えばGについても「いつ頃のゴールにすればより良かったか」「誰(何)についても考えたら良かったか?」などは考えることができますね。
いずれにしてもセッションのゴールからプロセスを見直す習慣をつくることで、コーチングをしているときも「最終的にどこにたどり着けばよいのか」「そのために何ができるのか」というゴール発想でいることができます。
この観点を持たないままただプロセスだけを提供しているコーチも多いので、良かったら参考にして取り組んでみてください。
⑦最初と最後の5分をどう過ごしたら良かったか
これおすすめなんですけど、もしセッションの録画とか録音をしてるなら、セッションが終わった後であらためて最初の5分を聴き直してもらいたいんですよね。
セッションの結末まで知っている状態であらためて冒頭部分の話を聴き直すと
「あーーーーー。なんだ最初からクライアントは、ちゃんと何が問題か言ってたじゃん」とか「うわ。ここ聴き逃してた。ここでちゃんと関われてたら展開変わってたのに。。。」
みたいなことに気づくことがあるのです。そうすると序盤の話の聴き方が変わってきます!!!!
序盤でしっかりとクライアントの状況がつかめたり、いい関係が作れたりするようになると、セッションが大きく変わります。
関係性について考えることも本当に重要で、クライアントがあなたとあなたのコーチングを信頼し、積極的にコーチングに参加するためには、序盤の関わりをどうしたら良かったかの研究もコーチングを大きく変えてくれます
また最後の5分間の見直しも有効です。終わりよければ全てよしと言いますが、どのような気分で、何を口にして終われるかというのはとても大切です。どのような形でフィニッシュできると最高か、を思い描いた上で最後の数分の時間の過ごし方を見直してください。これまたセッションの結果を大きく変えることにつながります。
あとは終盤で言えば、どんな宿題を出せたら良かったか?を考えるのも効果的です。セッションの中でやりきれないことも、うまい宿題を出せたらより効果的に進んでいくこともあります。
終わりに
いかがだったでしょうか。いろいろとやりたくなった人は、やりすぎ注意で一つ一つ取り組んでみてくださいね!!
コーチングを振り返ることで、自信がなくなったり落ちこんだりする方。落ち込みすぎない程度に振り返りましょう。コーチングはクライアントとコーチで一緒につくるプロセスです。あなたもセッションの間はベストを尽くそう(または大きなミスをなくそう)と努力したはずです。そんなクライアントと自分に勇気づけをして、できているところを見ながらコーチングを続けていきましょう。世界はコーチを必要としています。
では、最後に。。。。エンジョイコーチングライフ!!!!
僕たちと人生を変えるコーチングを身に付けたい方は
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