コーチは、クライアントの目的を探ろうとしていますね。海外に行って何がしたいのか?何が本当の目的なのか、まずは探りたいのです
引き続き楽しそうでいいですね。ビデオを見ていない方はぜひビデオで二人の様子も確認してください。
コーチングでは質問も大切ですが、非言語のコミュニケーションも大切です。人間の感情と思考は連動しますので、その場の雰囲気や、コーチの状態がコーチングを大きく左右します。
そして、コーチが状況に合わせて、スピードに緩急つけているのもとてもいいです。クライアントが結構早口なので、それにあわせている時と、スッとスピードと声のトーンを落として、ゆっくりモードにリードしています。ゆっくりモードだと、クライアントは自分の内面を探索しやすいのです。探索によってこれまで言語化されていなかった部分にアクセスできるので、スピードコントロールは重要です。
ベーシックなアプローチですが、未来の具体的なシーン(エピソード)をきいて、そこに潜む本質(エッセンス)をそこから抽出する。これによって、未来に具体的に体験したいことと、そこに含まれる価値観を言語化しようとするのです
CL「イタリアは、なんか、あの、うんと、ミラノ?ああいうところの修道院みたいなところを巡って、そこのお土産屋さんのおばちゃんとかと話して、この建造物とかを眺めて、あ、歴史を感じる。」
宮越「どんな瞬間に、ああ、イタリアまで来てよかったなと思います?」
CL「ああ、そうですね。なんか、歴史の建物を見た重厚感みたいなのを感じた時に、ああ、ここに私もいるみたいな感じ。」
ここが未来のエピソードを聞き出している場面ですね。そして
宮越「なんだろう。もうちょっと、ここにいながら、『ここに私もいる』の何がいいんだろう?」
CL「えー、ここに私もいるは。。。なんか夢を見てた世界にいること。今、ここにいるっていう感じですね。」
宮越「そうですね。夢見た世界に今ここにいて、」
CL「いて、なんだろう…なんか…なんか、巡礼じゃないけど、なんか、ありがとうございますみたいな。」
こうやって、そのエピソードのエッセンスを抽出しています。その結果
つくり、守られてきた文化や歴史の現場を生きる
みたいなクライアントが人生で大切にしたいこと(価値観)が言語化されていきました。
コーチは「言い換え」と呼ばれるスキルを使いながら言語化をアシストしていますね
時間のことも考えて、この先はしゃべるのではなくイメージングしてもらう方向に切り替えましたね。無言でイメージしてもらうって、その世界で気づいたことを後で言語化してもらうのは、時短になるだけでなく、クライアントも「簡単に言葉にしない」ことで、言葉がすべっていくことなく、的確な表現が見つかる可能性があります。
コーチの誘導によって、人生全体の目的に意識を向けたクライアントは
世界(過去も未来も)が一つに繋がっていくことに関して、何らかの役割を果たしたい
が大切なのだと言葉にしました
最後に「どんな瞬間が嬉しかったりとか、自分らしかったりする?」という質問で、具体のイメージをちょっと足していますね。
人生全体の目的みたいな壮大な話に向かったので、もう少し現実よりの「欲しいもの」にしてみたわけです
人生のタイムラインを俯瞰するような作業ですね。クライアントの過去と未来の全体を離れた場所から見てみるのです。そして
「なんか外、出掛けるの億劫だなって言ってた時代がありましたね」
みたいな声がけは巧みですね。これはもう過去の話で「変化する」ということを示唆しているわけです。NLPのミルトンモデルの「前提」を活用しています(ミルトンモデルは、いずれ別記事で解説します)
何にしても、ここから人生は変わる。自由を手にいれる。ということをクライアントと確認しているわけです
改めてクライアントに決断を迫っています。コーチは「しなくたっていい」と言っていますが、これは本当に大切です。恐怖症を扱うやり方はいくつかありますが、その多くのでは、クライアントは多少の恐怖を感じることになります。しなくて良いものならしなくて良いのです。
ちなみに僕の母はかなりの「蛇恐怖」で、テレビにそれらしいものが映るだけで飛び上がって台所に逃げるような状態です。ある時僕が
「蛇嫌いを治してあげようか?」
ときいたところ
「なんで蛇なんか好きにならなきゃいけないの!!」
と怒られました。本当、その通りですね。蛇がよく出るような場所に住んでいるなら、蛇に対する過剰な恐怖心を緩めた方が生きやすいと思いますが、母が住む場所で蛇に出会うことは、多分人生の中でないでしょうから、克服不要ですね(笑)
さて、クライアントの答えは「します!」でした。その理由の中にある
「時代に乗り遅れない」
というのが、このクライアントっぽいですね。歴史や文化文明を大切にする人なのだと思います。コーチはこのことをこのセッションの中で活用していくことになります
そして
セッションのゴールを共有するのは大切ですね。
このケースでは来年7月にハワイに飛行機で行ける手応えを感じてもらうことを目指して、ここからクライアントとコーチは協力していくわけです。
ここでもスケーリングを使って考えるのは役に立ちます。
7月に飛行機でハワイに行くのは余裕!!が10点だとしたら、この段階のクライアントは何点でしょうか?
それが1点でも2点でも、そこをスタートラインとして、セッションの中でその点数を増やしていけば良いのです
もちろんセッションで10点になる必要はありません。そもそも10点にならなくても飛行機に乗ることも自分の人生生きることもできるので10点はいりません。
さらにセッションの中では1点でもプラスになるなら、状態が変化することは分かったわけですから、あとは来年の7月までに何をしていったら良さそうか考えて実行していけばよいわけです。
さて、いよいよここから本編に入って行きます。とても楽しみですね。
11年前の自分へのスーパービジョンという観点では、正直あまり指摘するところがないです(笑)
8年目でこんな風に頑張ってるコーチがいたら「素晴らしいよ!!その感じでドンドンやってよ」と言うと思います。
ただ、コーチに「もっとどんなセッションがしたいの?」とかは聴くと思います
11年前の僕は「この部分はもっと短くやりたかった」とか言いそうなので
短くやるなら
とかでも、同じようなことが起こりそうなので、こんな感じのイメージを持ってもいいのではないかな。
ということで、次回に続きます。ここからいよいよチェンジワークが始まります
つづく
僕たちと人生を変えるコーチングカウンセリングを学びたいかたは