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【CBC】飛行機恐怖症の女性とライト兄弟②

飛行機恐怖症を克服したいという女性。飛行機に乗ったことはあるが、とても怖い思いをしてそれ以来乗れないようになってしまったとのこと。ハワイに行ってみたいとのことで、ハワイで体験したいことをイメージしてみましたが、他の国にも行ってみたいというので

ここまでのあらすじ

コーチは、クライアントの目的を探ろうとしていますね。海外に行って何がしたいのか?何が本当の目的なのか、まずは探りたいのです

宮越「そうですよね。じゃあ、ちょっと一歩立ち上がってもらって、次どんなとこ行ってみたいですか?」
CL「えーっと、オーストラリア。」
宮越「オーストラリアいいですね。はいはい、オーストラリアでどんな体験ができたり、どんな出逢いがあると、はい。」
CL「もう、あ~、そうですね。なんか、あー、シドニーとかでこのローラースケートで。」
宮越「いいですね、いいですね、いいですね。はいはいはいはい。」
CL「この、皆で、あ~!みたいな感じ。そうですね。現地の人との触れ合いですね。いいなあ~。なんか、すごい幸せですね。ああ、こういう人たちもここで、地球のどこかで生きてるみたいな。」
宮越「そうね。はいはいはい。さあ、そして、じゃあ、次、例えばどんなとこ行ってみたいですか?さらに。ハワイ行って、オーストラリア行って。」
CL「イタリア。」

目的7

 引き続き楽しそうでいいですね。ビデオを見ていない方はぜひビデオで二人の様子も確認してください。

 コーチングでは質問も大切ですが、非言語のコミュニケーションも大切です。人間の感情と思考は連動しますので、その場の雰囲気や、コーチの状態がコーチングを大きく左右します。

 そして、コーチが状況に合わせて、スピードに緩急つけているのもとてもいいです。クライアントが結構早口なので、それにあわせている時と、スッとスピードと声のトーンを落として、ゆっくりモードにリードしています。ゆっくりモードだと、クライアントは自分の内面を探索しやすいのです。探索によってこれまで言語化されていなかった部分にアクセスできるので、スピードコントロールは重要です。


宮越「イタリアいいですね!イタリアで何(をしたい)?」
CL「イタリアは、なんか、あの、うんと、ミラノ?ああいうところの修道院みたいなところを巡って、そこのお土産屋さんのおばちゃんとかと話して、この建造物とかを眺めて、あ、歴史を感じる。」
宮越「どんな瞬間に、ああ、イタリアまで来てよかったなと思います?」
CL「ああ、そうですね。なんか、歴史の建物を見た重厚感みたいなのを感じた時に、ああ、ここに私もいるみたいな感じ。」
宮越「なんだろう。もうちょっと、ここにいながら、『ここに私もいる』の何がいいんだろう?」
CL「えー、ここに私もいるは。。。なんか夢を見てた世界にいること。今、ここにいるっていう感じですね。」
宮越「そうですね。夢見た世界に今ここにいて、」
CL「いて、なんだろう…なんか…なんか、巡礼じゃないけど、なんか、ありがとうございますみたいな。」
宮越「そうだよね。そうやってね、作って守ってきた人たちがいるわけだもんね。なんか、そうか、そういうところに自分も来てる。」(言い換え)
CL「そうそうそうそう。」
宮越「ね。そんな感じですね。」
CL「ね。なんか、いいなあ~って思います。そういうところにいる。来れたことにも、なんか、嬉しい。来れたことが嬉しい。」

目的8

 ベーシックなアプローチですが、未来の具体的なシーン(エピソード)をきいて、そこに潜む本質(エッセンス)をそこから抽出する。これによって、未来に具体的に体験したいことと、そこに含まれる価値観を言語化しようとするのです

CL「イタリアは、なんか、あの、うんと、ミラノ?ああいうところの修道院みたいなところを巡って、そこのお土産屋さんのおばちゃんとかと話して、この建造物とかを眺めて、あ、歴史を感じる。」
宮越「どんな瞬間に、ああ、イタリアまで来てよかったなと思います?」
CL「ああ、そうですね。なんか、歴史の建物を見た重厚感みたいなのを感じた時に、ああ、ここに私もいるみたいな感じ。」

 ここが未来のエピソードを聞き出している場面ですね。そして

宮越「なんだろう。もうちょっと、ここにいながら、『ここに私もいる』の何がいいんだろう?」
CL「えー、ここに私もいるは。。。なんか夢を見てた世界にいること。今、ここにいるっていう感じですね。」
宮越「そうですね。夢見た世界に今ここにいて、」
CL「いて、なんだろう…なんか…なんか、巡礼じゃないけど、なんか、ありがとうございますみたいな。」

 こうやって、そのエピソードのエッセンスを抽出しています。その結果

つくり、守られてきた文化や歴史の現場を生きる

 みたいなクライアントが人生で大切にしたいこと(価値観)が言語化されていきました。

 コーチは「言い換え」と呼ばれるスキルを使いながら言語化をアシストしていますね

宮越「はい。じゃあ、もう一歩前出て、で、今度は想像の中で、他どんなところ行けたら良いかな~って、ちょっと想像しながら。喋らなくてもいいので、ああ、こんなところも行けたら良いなとか、こんな人と出逢えたらいいな~。…そうしたら、もう一歩前に出て、そう。他にもこんなところ行けたら良いなとか、こういう出逢いあったらいいな……」
CL「ああ。」
宮越「うん、ねえ。もう一歩前に出て、そう。はい。はあ~、こんなこともできたらいいな~。どんな人生ですか?」
CL「あ~……うー、なんか……なんか、繋がる人生。世界中の人と繋がる感じ。」
宮越「繋がったから、自分自身に何が起こった感じがします?いろんな人と繋がったから自分は。」
CL「……役割が果たせたみたいな。」
宮越「うーん、面白いね。『役割が果たせた』何だろう?役割って。」
CL「役割。」
宮越「繋がって、」
CL「…なんか世界が、一つになるっていうのを望んでるので、それがなんか叶ったなみたいな。そんな感じ。」

目的9

 時間のことも考えて、この先はしゃべるのではなくイメージングしてもらう方向に切り替えましたね。無言でイメージしてもらうって、その世界で気づいたことを後で言語化してもらうのは、時短になるだけでなく、クライアントも「簡単に言葉にしない」ことで、言葉がすべっていくことなく、的確な表現が見つかる可能性があります。

 コーチの誘導によって、人生全体の目的に意識を向けたクライアントは

世界(過去も未来も)が一つに繋がっていくことに関して、何らかの役割を果たしたい

 が大切なのだと言葉にしました


宮越「そっか、いろんな人と出逢いながら、繋がりながら、なんか世界が一つになるっていうのに向かって、進んでくる。いいですよね。(そんな)人生ね。OK、はい。じゃあ、こう一歩前に出て、はい。で、そんなふうに、こうずっと生きてこれて、うん、行きたいとこ行けてとか、会いたい人と会えて、なんか、こう、自分の人生をね、振り返ってみるとしたら、どんな瞬間が嬉しかったりとか、自分らしかったりする?」
CL「なんか、あ、来たよ~!っていう時。来ました~!って。」
宮越「来ました~!って(笑)」
CL「っていうときに、ウェルカム~!って感じで迎えてくれる感じ。それが嬉しい、なんか。」

目的10

 最後に「どんな瞬間が嬉しかったりとか、自分らしかったりする?」という質問で、具体のイメージをちょっと足していますね。

 人生全体の目的みたいな壮大な話に向かったので、もう少し現実よりの「欲しいもの」にしてみたわけです


宮越「いいですよね。OK。じゃあ、ちょっと一回伸びをして、伸びをしてね。はい。さあ、じゃあ、こっち側来ましょうか。はい。で、…ちょっと飛行機のことがあるから、なんか外、出掛けるの億劫だなって言ってた時代がありましたね。で、ここから、何らかの形で行くようになって、で、いろんな人と出逢ったりとかね、繋がったりとか、で、自分の人生生きていきましたよね。こう、二つの時代というかね、見比べてみて、ここから見るとどんなふうに見えます?」
CL「あ~、あ~、楽しそう。」
宮越「楽しそう、うんうん。こっち側楽しいよね。」
CL「うん。」
宮越「ここまでの人生って、どんな人生ですか?」
CL「うーん、我慢。」
宮越「我慢。我慢の人生。」
CL「我慢してるみたいな感じ。うーん。なんか、遠慮してる人生。」
宮越「遠慮してる人生。うん、我慢してるね。で、ここからは?」
CL「ここからは、なんか、やった~!やっと、来た!みたいな。」
宮越「やっと来たっていう感じだよね。うん、やっと来たって感じだよね。そうだよね。今まで我慢して、我慢して、我慢して、ここからやっと来た!の人生ね。OK、OK。」
CL「自由だ!」
宮越「うん、自由、自由なんですよね。こっち側は?」
CL「なんか制限されてる。」

俯瞰

 人生のタイムラインを俯瞰するような作業ですね。クライアントの過去と未来の全体を離れた場所から見てみるのです。そして

 「なんか外、出掛けるの億劫だなって言ってた時代がありましたね」

 みたいな声がけは巧みですね。これはもう過去の話で「変化する」ということを示唆しているわけです。NLPのミルトンモデルの「前提」を活用しています(ミルトンモデルは、いずれ別記事で解説します)

 何にしても、ここから人生は変わる。自由を手にいれる。ということをクライアントと確認しているわけです

宮越「制限されてるね(笑)で、ここから自由な人生ね。うん。OK。じゃあ、ちょっと改めてなんですけど、どうですか?あの、自由な人生に向かってチャレンジしてみますか?」
CL「う~ん~。ふふふふ(笑)」
宮越「いや、しなくたっていいんですよ(笑)しなくたっていいし、あの、『船で回りながら来たよ』でもいいんだよ。全然、豪華客船で回るのも良い旅だと思うよ。」
CL「します!」
宮越「うん、OK。」
CL「したい。」
宮越「なんで飛行機なんだと想う?船だって良いじゃん。飛行機なのはどうして?」
CL「うーん、やっぱり、時間がかかる。効率、効率というか。なんか、時代に乗り遅れてる。」

決断

 改めてクライアントに決断を迫っています。コーチは「しなくたっていい」と言っていますが、これは本当に大切です。恐怖症を扱うやり方はいくつかありますが、その多くのでは、クライアントは多少の恐怖を感じることになります。しなくて良いものならしなくて良いのです。

 ちなみに僕の母はかなりの「蛇恐怖」で、テレビにそれらしいものが映るだけで飛び上がって台所に逃げるような状態です。ある時僕が

 「蛇嫌いを治してあげようか?」

 ときいたところ

 「なんで蛇なんか好きにならなきゃいけないの!!」

 と怒られました。本当、その通りですね。蛇がよく出るような場所に住んでいるなら、蛇に対する過剰な恐怖心を緩めた方が生きやすいと思いますが、母が住む場所で蛇に出会うことは、多分人生の中でないでしょうから、克服不要ですね(笑) 

 さて、クライアントの答えは「します!」でした。その理由の中にある

「時代に乗り遅れない」

 というのが、このクライアントっぽいですね。歴史や文化文明を大切にする人なのだと思います。コーチはこのことをこのセッションの中で活用していくことになります

 そして

宮越「ふははは(笑)時代に乗り遅れてる感じがする。OK。じゃあ、飛行機、大丈夫。今日は乗りませんから。あの、今日は乗らないからね(笑)。。。(では)OK。仮になんだけど、いつぐらいハワイに行けたら良いなとか行ってみたいとかありますか?」
CL「あ~…あ~。」
宮越「そこに向かってね、どうせだったら、ね。したいもんね。」
CL「あ、え、あ、えー!」
宮越「いいですよ。」
CL「来年。」
宮越「来年ね。」
CL「うん。」
宮越「はいはい。来年何月くらいとかあります?」
CL「来年の7月。」
宮越「来年の7月。あ、いいですね。じゃあ、その時に気持ちよくハワイに行けたら良いですよね。」
CL「はい。」
宮越「そこから、ああいう人生がスタートしたらいいですよね。」
CL「あっ。」
宮越「ね、どうしたんですか?」
CL「いや、ふあ~って、なんか、乗れるようになったらすごいことになりそう。」
宮越「乗れますよ。あの、乗れますよ。きっと、乗れます。じゃあ、えっとー、来年の7月にハワイ気持ちよく行けるようになんかちょっと二人で工夫してみましょうか。」
CL「はい。」

セッションのゴール

 セッションのゴールを共有するのは大切ですね。

 このケースでは来年7月にハワイに飛行機で行ける手応えを感じてもらうことを目指して、ここからクライアントとコーチは協力していくわけです。

 ここでもスケーリングを使って考えるのは役に立ちます。

 7月に飛行機でハワイに行くのは余裕!!が10点だとしたら、この段階のクライアントは何点でしょうか?

 それが1点でも2点でも、そこをスタートラインとして、セッションの中でその点数を増やしていけば良いのです

 もちろんセッションで10点になる必要はありません。そもそも10点にならなくても飛行機に乗ることも自分の人生生きることもできるので10点はいりません。

 さらにセッションの中では1点でもプラスになるなら、状態が変化することは分かったわけですから、あとは来年の7月までに何をしていったら良さそうか考えて実行していけばよいわけです。

 さて、いよいよここから本編に入って行きます。とても楽しみですね。

 11年前の自分へのスーパービジョンという観点では、正直あまり指摘するところがないです(笑)

 8年目でこんな風に頑張ってるコーチがいたら「素晴らしいよ!!その感じでドンドンやってよ」と言うと思います。

 ただ、コーチに「もっとどんなセッションがしたいの?」とかは聴くと思います

 11年前の僕は「この部分はもっと短くやりたかった」とか言いそうなので


短くやるなら

CL「飛行機に乗れるようになりたい」
CO「どういうこと?」
CL「恐怖心が強すぎて乗ることが出来ない」
CO「なるほど、人生で最も強い恐怖が10だとしたら飛行機は何点?」
CL「うーん。。。8?」
CO「恐怖心の強さがこのセッションの中で変化したら、あなたはそれに気づけそう?」
CL「はい」
CO「OK!!ちなみに近々飛行機に乗る予定は?」
CL「ありません」
CO「わかりました。飛行機に乗れるようになったらあなたの人生はどう変わりますか?」
CL「。。。自由に行きたいところに行けるようになると思います」
CO「それはあなたの人生にとって、どれくらい大切なことかしら?」
CL「。。。すごく大切だと思う。。行きたいところに行って、そこで見れるもの、会える人と出会いたいから」
CO「いいね!ちなみにまずはどこに行きたい?」
CL「。。ハワイです」
CO「いーね!何時ごろに行けたらいい?」
CL「来年かな」
CO「来年の何時ごろ?」
CL「。。7月くらい」
CO「OK!では来年の7月にハワイに行けるように、一緒をに飛行機のイメージを変えていこうか?」
CL「。。はい。よろしくお願いします」

序盤のイメージ例

とかでも、同じようなことが起こりそうなので、こんな感じのイメージを持ってもいいのではないかな。

 ということで、次回に続きます。ここからいよいよチェンジワークが始まります

 つづく

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