シンプルなポジションチェンジをしてみよう(前編)
「ポジションチェンジに興味がある!」「やってみたい!」「上手になりたい!」
そんなかた大歓迎です。一緒に探求しましょう。ぼくは多分、世界トップレベルにポジションチェンジ(以下PC)を多用しているコーチだと思います。なんでこんなにPCを多用するのか?僕の人生も大きく変わったし、たくさんのクライアントがこれで人生を変えてきたからです。
僕は、PCは、個人が幸せに生きるための最高のツールの一つであり、世界が平和になるための最高のツールの一つでもあると思います。
そして、PCを使うことでコーチングは楽になり、コーチとしても成長します。ぜひコーチのみなさんには、PCをたくさん受けて体験して欲しいし、たくさん練習してみてほしいです!!
この記事では、簡単なPCのプロセスを、実例とポイント解説をつけてお届けします。ぜひイメージづくりに活用してください。そして、たくさん練習をしてみてください。
PCにはいろんなやり方がありますが、今回提案するのは以下の10ステップです。
「10ステップもあるのか。多いな」と思うかも知れませんが、簡単なので安心してください。
そしてポイントを理解した上で、これを丁寧に行うと、かなりの確率でうまく行きます!練習すれば30分以内で、ちゃんと結果が出せるようになるはずです。ということで早速実例をもとに解説してみましょう。
できれば椅子は4つあると良いですが、なければ2つでもOKです。(オンラインでもクライアント側に椅子の用意があれば実施可能ですが、まずは対面で練習をすることをお勧めします。練習相手がいなければ、セルフコーチングでもできます)
①変えたい人間関係を選ぶ
まずはクライアントに変えたい人間関係を選んでもらいましょう。注意点は2つです。
1つ目は、人間関係の相手は一人にすることです。複数の人間関係が出てくるとややこしくなるので、まずは「娘との関係」「T課長との関係」とか一対一の関係を扱うのが良いです。「義実家との関係」「所属チームの人間関係」とかは今回は対象外です
2つ目は、クライアントが自分の感情をコントロールできなくなるような人間関係を扱うのは避けることです。クライアントが混乱したり、感情的になったりするのにうまく関わるのには、ある程度の経験が必要だからです。最初のうちは簡単なケースからやってみましょう。
そのことさえ気をつけるなら、扱う人間関係はなんでも構いません。うまく行ってないから変えたいというものでも、うまく行ってないわけじゃないけど、より良くしたいものでも良いです。
では、ここからは実例をベースに考えていきましょう。今回はめずらしく、練習セッションの事例です。
練習に限らず、世間話から始めてもいいですよね。そんな時間を通してクライアントがほぐれたり、よい関係性が作られたりするわけです。チェックインなどと言ったりもしますが、いきなりコーチングに入るよりも、少し近況など話したりして落ち着いてからが良いと思います。時間の許す範囲内で試してみてください。
本来コーチングはフリーテーマで行うことが多いと思いますが、練習などでやりたいことが決まっている場合や、初心者でやれることが少ない場合は、メニューを提示して選んでもらったり、上の例のように、何をやるか宣言してそれに付き合ってもらうでも良いわけです。ぜひクライアントの許可をもらってやってください
守秘義務などの説明は、練習、本番を問わず、いつでも伝えてください。継続セッションの場合でも毎回伝えたほうがよいと思います。僕は様々なコーチにコーチングを受け続け、コーチを信頼していますが、それでも守秘義務の説明を受けるたびに、安心感を得ます。とくに人間関係については、安心感がないと話しにくいことも多いので、ちゃんと伝えてあげてください。
②二人の関係を椅子で表現する
つぎのステップは関係を椅子で表現することです。椅子を出さないとPCになりませんので、ここは重要です(笑)。
ポイントは二人の関係の概要をきいたら、なるべく早く椅子を出すことです。PCは椅子をだしてからが本番ですから、そこまでの時間はなるべく短くして、しっかりと椅子を使った体験に時間をかけるのが良いです。
コーチは「現在の関係」を聞かせてくれと言っています。細かいことですが「ではお父さんとの関係について教えてもらいたいのですが」とか話をふると、子供の頃からのことを延々と話されてしまう可能性があるわけです。
じつはコーチングでは基本的には過去の話は不要です。現在と未来とで考えるからシンプルになるのです。なので忘れなければ「現在の」と言っておくと良いですね。
もしクライアントが過去のことを延々と話し始めたら、時間があって必要そうなら聴いてもよいと思いますが、そうでないなら「あ、これまでも経緯はお話しいただかなくても大丈夫なので、現在の状況だけ簡単に教えてもらえますか?」とか言ってみると良いですね
そして、PCのポイントは早めに椅子を出すことといいました。どこで椅子を出してもらったらいいのでしょうか。上のボックスでクライアントが最初に話した後に※Bと書いてありますね。ここで出しても大丈夫です。なんなら、その前のボックスに
CL「そうですね。。。。では、父との関係でお願いします」※A
とありますが、この※Aで椅子を出してもらってもいいのです。急ぎすぎのように見えるかも知れませんが、別にワーク自体には支障はありません。ただし、最低限の情報はもっていたほうがコーチもやりやすいでしょうし、クライアントも少しは「聴いてもらった」「知ってもらってる」と思えたほうが安心でセッションに入れると思うので、本当に最小限きいてあげてください。
今回のケースでは、コーチが具体化の質問を2回入れてますが、これ以上はやらなくていいと思います。いくらでも長くなってしまいますから
そして椅子を出しておうと決めたら、コーチからズバッと切り出してくださいね。クライアントから椅子を出してくることはありませんから(笑)
椅子を出してもらうときには、クライアントにわかりやすく説明してあげてください。どんな場合も椅子を正対させた形でおいてもらうコーチもいますが、僕は関係性を角度や距離で表現するのがお勧めします。その方が簡単に心と繋がって体験してもらえるからです。
クライアントは上図右側のようなレイアウトで椅子を置いてくれました。二人の関係(「とりつく島がない」)が現れている感じがしますね。
そして一旦椅子を配置してもらったら、クライアントに自分の椅子に座ってもらい、調整をしてもらってください。
「そうそう!ここでこっち向いてる感じなんだよ!!」
みたいにクライアントが感じる、ドンピシャの場所があるはずです。そこを探して置いてもらうようにすると、うまくいきやすいです
③相手に対して思っていることを口にする
ではいよいよPCスタートです。クライアントは自分の椅子に座っています。コーチの場所は下図を参考にしてください。クライアントのヨコで、クライアントと同じ方向をみるのがポイントです。不自然に感じるかも知れませんが、クライアントの顔(クライアントの目)は見ません。クライアントの顔をみると、クライアントもコーチの顔をみて話すからです。
PCでは、お父さんのことを感じながら、お父さんに対して思っていることをしっかりと口にして欲しいのです。クライアントはお父さんに対して様々な思いを持っているはずです。その中には、まだクライアントが気づいていない気持ちも含まれています。それをしっかりと口にしてもらいたいのです。その中にこれからの関係に関するヒントがあるはずだからです。
そのためにも、コーチはクライアントの顔を見て、クライアントの話を聞くのではなく、クライアントと同じものを見ながら、クライアントが心の内側の言葉にアクセスしていくのを手助けするのです。
PCで最大のポイントがこれです。椅子に座っているとき、クライアントには、相手がそこにいるつもりになってもらいます。そして、その相手に対して話すつもりで話してもらうのです。コーチに対して説明してもらうわけではありません。クライアントがそこからずれたら、穏やかに軌道修正してください。
PCでまず最初のゴールをクライアントが自分の椅子で、言いたいことを言い切って、自分の気持ちに気がつくことです。そのゴールにむかって話してもらってください。
具体化や網羅など確認の質問が上手に使えるようになると、楽にどんどん引き出せるようになってきますね。※確認の質問を学びければ以下の記事をどうぞ
とは言え、最初のうちは難しいと思うので、コーチは余計なことをせずに、クライアントが沈黙しても次の言葉が出てくるまで待っていることを基本にしたほうがいいです。
慣れない間は色々やろうとしないほうがいいのです。質問するにしても「お父さんに何が言いたいんだろう」と同じ質問を繰り返したり(再質問)、網羅の質問「他には?」「あとは?」「全部言えた?」だけを使うのが良いです。
そして、ゆっくりとシンプルにやった方が、クライアントは集中して、心の内側を外に出すことができます。
コーチのスピードやテンポが速かったり、長々と質問したり、いろんな質問を繰り出したりすると、クライアントの集中度は下がります。ぜひシンプルにゆっくりとやりましょう。
④相手に分かってもらいたいことを伝える
これ実はとても大切です。「言いたいこと」を吐き出してもらったら「わかってもらいたいこと」を言葉にするのです。
クライアントに言いたいことを言ってもらうと場合によっては罵詈雑言になることもあります。現実の人間関係ではそんなことを言ってもうまくいきません。
クライアントには、自分の中の様々な思いに触れた後で相手に「わかってもらいたいこと」を口にする体験をして欲しいのです。
仕事関係でも友人関係でも所詮は他人です。親子だってそうです。別人なのです。誰も他人のために生きてはいません。だから別に誰かの言う通りになんかならないのです。
私たちができるのは、わかって欲しいことを伝えること(お願いをすること)しかないのです。無理やり相手を変えることはできないのです。無理やり相手を変えられたように見えても、それでおたがいが幸せになるとは限らないのです。人は誰しも尊重されてよい存在だし、どうしたいかは自分自身で判断するのが良いのです。
だから相手に対してわかって欲しいことは何か?して欲しいことは何か?それを明らかにしてお願いをするコミュニケーションを試みて欲しいのです。
⑤自分を俯瞰してみる
今度は冷静に客観的に、自分を見てもらいます。椅子から離れて、自分の椅子やお父さんの椅子を俯瞰的に見てもらいたいのです。
PCではクライアントの自身の椅子と、相手(お父さん)の椅子。そして俯瞰する場所。その3つの視点を用いて気づきをつくり、今後のコミュニケーションに生かしていこうとしています。まずはクライアント自身の椅子で気づきが生まれたので、それを一度客観視してもらいました。客観視するときのポイントは、気持ちをしっかり切り替えることですので、ここではクライアントに伸びをしてもらったり、椅子からしっかり離れた位置まで移動してもらったりしています。文面では分かりませんが、コーチの声のトーンも上がっていますし、スピードやテンポも少し早くなっています。そのようにして、しっかりと意識を切り替えられるようにサポートしているのです。
この俯瞰ポジションはこの後もまた登場します。
前編はここまでです。後編では、クライアントに相手(お父さん)の椅子に座ってもらいます。その上で、理想の二人の関係を考えてみて、そこに進んでいくためのコミュニケーションをかんがえます。
お楽しみにどうぞ!!
僕たちと人生を変えるコーチングカウンセリングを学びたい人は