コーチングのテーマってどう決めるの?①
コーチングの時間を何に使ったら良いのでしょう??
もちろん多くの場合クライアントがテーマを持ってきますので、基本的にはそれを扱うことになりますね。
・夫婦仲を何とかしたい
・子どものやる気を出したい
・ダイエットしたい
・英語勉強の習慣をつけたい
・職場の人間関係を良くしたい
・キャリアについて考えたい
などなど
でも本当にそれをテーマとして扱うので良いのでしょうか?
2012年に岡田斗司夫さんが出版した「オタクの息子に悩んでます」という本があります。著者が朝日新聞の人生相談コーナーを担当したことで、どんな体験をしたかが綴られている本です。
当時この本はコーチング業界でも話題になりました。この本のメッセージの一つが、
人生相談コーナーに相談を寄せる人々は、そもそも自分が何を相談したいのか分かっていない。
というものだったりしたからです。
コーチングのクライアントも「自分が本当に相談したいこと(相談した方がよいこと)」が何か分かってないケースがいっぱいあるのです
ダイエットを相談したいと言っているけど、婚活への取り組み方を相談したほうがいいケース
英語の勉強の習慣化の話の前に、そもそも英語学習の目的を明確にしたり、キャリアで何をしたいか明確にしたほうがいいケース
姑さんとの人間関係の前に、ご主人とのコミュニケーションを考えたほうがいいケース
転職相談よりも、職場の人間関係の改善方法を探ったほうがよいケース
など枚挙にいとまがありません
コーチングのテーマってどう決めたらいいのでしょうか?
列挙&整理法
コーチングのテーマ選びの質をあげる簡単な方法の一つは、クライアントがどんなテーマを持っているか洗いざらい出してみることです。
例を見てみましょう
CO「今、気になっていることは、どんなこと?」
CL「奥さんが最近イライラしてて、どうしたらいいか」
CO「他にもある?」(網羅の質問)
CL「子どもの受験勉強のモチベーションが上がってない」
CO「あとは?」
CL「。。。ちょっと疲れてるかな」
CO「あとは?」
CL「仕事も最近うまく進められてない」
CO「あとは?」
CL「僕も仕事のモチベーションが下がっているような気がします」
CO「あとは?」
CL「そんなところですかね」
CO「今日は何について話すと良さそう?」
CL「うーん。僕の仕事のモチベーションですかね」
みたいにただテーマを列挙してみるだけでも、扱う価値あるテーマを選べる可能性があります。
発散→収束
の原則は、いつでも役に立ちます。
ちなみに相手がテーマを選んだ後に
「どうしてそのテーマが良いと思ったの?」
などと聞いてあげるのもいいですね。先程の例で考えてみましょう
CO「今日は何について話すと良さそう?」
CL「うーん。僕の仕事のモチベーションですかね」
CO「どうしてそのテーマが良いと思ったの?」
CL「そうですね。仕事へのモチベーションがあがれば、僕がいい状態になるので、奥さんのことも子どものことも別の関わりができそうなので」
とか答えてくれるわけです。
また、以下のように関係性を聞いて整理するやり方もあります。さきほどと同じ例を使いますが
CO「今、気になっていることは、どんなこと?」
CL「奥さんが最近イライラしてて、どうしたらいいか」
CO「他にもある?」(網羅の質問)
CL「子どもの受験勉強のモチベーションが上がってない」
CO「あとは?」(網羅の質問)
CL「。。。ちょっと疲れてるかな」
CO「あとは?」(網羅の質問)
CL「仕事も最近うまく進められてない」
CO「あとは?」
CL「僕も仕事のモチベーションが下がっているような気がします」
CO「あとは?」
CL「そんなところですかね」
CO「これらのテーマにはどんな関係がある?」
CL「うーん。奥さんのイライラは、子どもとの関わり方がわからなくなっているのと、僕が仕事が遅くなってて手伝えないからだと思います。僕が仕事が遅くなってるのは、モチベーションが下がってるからで、疲れてるのは長時間労働になってるからかな。。。」
CO「だとすると今日はまず何をテーマにしたらいいんだろう?」
CL「仕事への取り組み方とかモチベーションについて考えたいです」
ライフチャート
先に紹介した列挙法と似た側面がありますが、例えばこんなツールを使って、人生のさまざまな領域の満足度を点数化するなどしてもらい、その上で、今回は何をテーマにすると良いか考えてもらう方法もあります。
よかったらあなたも各ジャンルを10点満点で採点してみてください。その上で、どのジャンルに関してコーチングを受けたいか考えてみてください。
このやり方だと、クライアントも人生のさまざまな領域で、今何が起きているのかについて、全体感を持った上でテーマ選定できるので良いですね。
このようなツールを使う場合でも、点数をつけた後、それぞれのジャンルでの課題を出してみたり、ジャンル同士がどのように関係しているかを考えてもらうってから、今回のテーマを選ぶのも良いと思います。
目的法
クライアントが出してきたテーマに関して、目的を問う方法です
CL「ダイエットがしたい」
CO「ダイエットについて考える目的はなんですか」(目的)
CL「婚活を成功させたいからです」
CO「それなら婚活を成功させる効果的な方法について考えるのはどうですか」
CL「英語学習のモチベーションをあげたい」
CO「そのことを扱いたいのはどうしてですか」(目的)
CL「TOEICのスコアを上げたいので」
CO「その目的はなんですか?」(目的)
CL「キャリアアップに役立つのではと思って」
CO「どんなキャリアを作っていきたいのですか」(目的)
CL「海外での仕事などできたらいいと思って」
CO「まずは、どんな仕事ができたらいいか考えてみませんか?もしかしたら英語以外に重要なことに気づくかもしれませんし、英語を勉強するにしても、目的が明確になればモチベーションが上がるのではないでしょうか」
上記の例のように、当初のテーマの目的を確認することで、本当に扱った方がよいテーマが見つかることもあります
背景法
そのテーマが出てきた背景について質問する方法です
CL「転職について話したいです」
CO「何があったから、転職について考えようと思ったのですか」(背景)
CL「今の部署の人たちとうまくいかなくて」
CO「人間関係がうまく行っていても転職したいのですか?」
CL「いや、それがうまくいくなら今の会社でのいいのですが」
CO「それなら人間関係について考えることもできますよ?どうしますか」
CL「ダイエットの相談がしたいです」
CO「ダイエットについて話そうと思ったのは、何があったから?」(背景)
CL「彼氏を見返したくて」
CO「どういうことですか?」
CL「わたしのことを軽くみてる感じがして」
CO「彼とどうなりたいのですか?」
CL「。。。それもちょっとわからなくなってるかも」
CO「だとしたら、まずは彼とどうしたいのかを考えてみたらどうですか」
クライアントは何かの出来事に遭遇して「このままではいけない」と思うわけです。
ダイエットの例だと、彼に失礼なことを言われたりして、「このままではいけない。見返そう。ダイエットだ!」などと思ったのかもしれません。
ダイエットについて考えることが本当に、このクライアントにとって良いのか。それを検討するために「このままではいけない」と思った出来事に遡り、そこで何が起こっているのかから、もう一度テーマを考え直すのが背景法の考え方です
大目標に向けての課題出し
継続セッションが前提の場合などは、大目標を描いた上で、そこに至るまでの課題出しを行い、今後どの課題をどんな順番で扱っていくか考えるというやり方もあります。
CO「大きな目標を教えてください」
CL「コーチとして独立したいです」
CO「いいですね。いつくらいのイメージですか」
CL「1年後とかに独立できてたら最高ですね」
CO「なるほど。独立までにはどんな課題がありますか。」
CL「お金をもらえるレベルにコーチングができるようになることと」
CO「はい」
CL「妻の理解を得ること。。。」
CO「あとは?」
CL「集客方法を確立すること」
CO「あとは?」
CL「会社やめる時期を決め、上司の理解を得たり。。。仕事の整理とか」
CO「あとはどんな課題がありそうですか?」
CL「あー。自信のなさというか、不安の解消とか」
CO「他には?」
CL「そもそも、どんなコーチになりたいとか、方向性を明確にすること」
CO「他には?」
CL「ちょっと思いつきません」
CO「何についてコーチと一緒に考えられたらいいですか」
CL「会社のことは自分で整理できそうですが、他のことは相談したいかもしれません」
CO「ではそれらをどの順番で扱っていけると良いか考えてみましょう。」
上の例は全体イメージを理解してもらうために、簡単に書いていますが、本来は、目標をもっと具体化してから、課題を出した方が効果的です。
また課題がたくさん出てきそうなら、書き出すなどして、課題が見えるようにしてから、整理していくと効率的ですね。付箋など使うと、並べ替えなど容易なのでお勧めです
今回の記事では、各回のコーチングのテーマを選定するためのやり方をいくつかご紹介してみました。
そもそもクライアントは、コーチングを受けてみたいテーマの全体を把握していない場合が多いのです。ですからテーマを列挙して整理するだけでもいいので、サポートしてあげると、筋のよいテーマが選ばれるようになってきます。継続セッションのプランも立てやすくなるので、コーチにとっても良いと思います。
次回の記事では、テーマ設定のおすすめの方法。
6分間テーマ再設定をご紹介します。
6つの質問によって、今回のコーチングで何を扱うのが良いかを絞り込むことができますし、その後のコーチングをどのように進めていけばいいのかも分かってきます。とても便利な方法ですので、ぜひマスターしてください。
続く
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