コーチングカウンセリングのゴールは自己一致

カール・ロジャーズがつくった傾聴。コーチングカウンセリングの基礎ですが、傾聴って何に向けてするんだろう?傾聴のゴールってなんだろう?

答えはずばり自己一致です

誤解を恐れず大胆に言えば、コーチングやカウンセリングのゴールも自己一致です。それくらい自己一致は大切です。

今回はそんな自己一致について解説してみましょう。


自己一致とは何か

自己一致とは身体が一致することです。身体が感じていることを頭でもちゃんと理解している、それが自己一致です。

認識と体験が一致している

というのがカール・ロジャーズの言い方です。

認識=頭、意識
体験=身体、無意識

みたいに捉えてみるとわかりやすいと思います。

人はわかっているつもりでわかっていないことだらけです。

長らく住んでいる地域のことでも「ここにこんなお店あったんだ!」とか
家族のことでも「お父さん、こんなこと好きだったのか」とか

ありますよね。

自分のことでも「おもったより、わたし疲れてたんだな」「うわ。俺まだめっちゃ怒ってた」「わたしまだこれやりたかったんだ」とか

気づくタイミングがあるわけです。

コーチングカウンセリングでクライアントの話を聴いていると、そんな自己発見の場面に毎回遭遇します。

これが自己一致の瞬間なのです。

一致とは何か

上図の左側イラストを見てみてください。体が感じていることを感じて、それを頭で正確に理解していることが一致です。

右側の円をみてください。私たちはどれくらい自分の身体で起こっていることを理解しているのでしょうか。

右上みたいに、まったく理解していない(円が接してない)というのはレアケースですよね。

右下みたいに、身体で起こっていることの少なくとも一部分は、頭は理解しているはずです。私たちは部分的には自己一致しているのです。

これを少しずつでも拡大していきたいのです。

私たちの身体は、声を上げ続けています。「もっと◯◯をやりたい」「これはやりたくない」「〜に行きたい」「◯◯な時間がほしい」

それに気づくことができないままだと、苦しくなったり、違和感をかんじたりするわけです。

身体は私たちに自分らしい生き方。自分の幸せを教えようとし続けています。それを理解し、その理解に基づいて生きること。それが自己一致して生きることなのです。

だからコーチングカウンセリングのゴール(の1つ)は自己一致であると言えるのです。

フォーカシングと自己一致

自己一致で思い出す、僕が受けたセッションをご紹介します。これは本当にすごいセッションでした

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10年以上前のこと。心因性の難聴になったことがある。その日もスクールだった。夕方ころ、みんなの前で話していたら、突然両耳が聴こえにくくなった。普段の1/10くらいの聴力になった感じ。一瞬恐怖を感じたけど、すぐにこれは心因性だと直感した。だからまぁ大丈夫だろうと(これは僕の呑気なところだけど)耳がほとんど聴こえないながらも授業を続けた。

授業が終わる頃になっても治らなかったからコーチに連絡してみた。「授業中に耳が聴こえにくくなっちゃって、多分心理的なものだと思うから、相談に乗ってもらえますか?」と。夜なのにすぐに時間をとってくれてセッションがスタート。

コーチはゆっくりと、真剣に、僕の耳に語りかけた。「だいじゅの聴こえない耳にお願いします。何のために聴くことをやめているのか、教えてもらいたいのですけど、コミュニケーションをとってもらえますか?とってくれるなら何か反応を下さい。。。」

耳の反応に意識を向けると、ほんの少しだけ、聴こえ方が緩和した感覚があった。「いいですよ、って言ってるみたいです」僕はコーチにそう伝えた。

「ありがとう。ではだいじゅ。耳の聴こえにくい感覚に意識を向けて。。。この耳が、何かのメッセージをもってここにいるとしたら。もう、何かをしたくない。とか、こんなことはやめたい、という気持ちでいるとしたら。それは何だろう。。。聴こえない感覚の、その奥にあるメッセージに耳を傾けて。。。ゆっくりと。。。そして何かのメッセージを感じとったら。。。それを教えて。。。」

コーチの誘導を受けて、耳の感覚に集中する。何が嫌なのかな。。。何がしたくないのかな。。。。じっと意識を向け続けると、聴こえない感覚は一様ではなく、微かに変化しているようだ。強弱があったり、範囲が広がったり狭まったり。。。

それを動物(もしくはまだ喋ることができない子ども)を観察しながら、その気持ちを押しはかるみたいに見守っていく。。。。ふと「イヤなんだ」という声が聴こえた気がした。思わず心の中で「何がイヤなの?」と問いかける。

しばしの沈黙の後、直感が降ってきた。「ウソをつくのがイヤだ」。ウソ?なんのことだろう。。。よく分からなかったけど、でも正しい気もした。だからコーチに伝えた。「ウソをつくのがイヤだと言ってる気がします」

コーチ「ウソをつくのがイヤなのかな。。。そう問いかけてみると、だいじゅの耳は何か反応をくれますか?」。また少し聴こえにくさが緩和する感覚があった。それを伝えると次の質問。「さて、ウソって何のことだろう。誰に対してついてるんだろうね。。。また耳の感覚に意識を向けてみて。。。」

今度はクラスの参加者の顔が浮かんできた。そして少し息苦しいような感覚。。。参加者に対してウソをついてる???何だろう、このイヤな感じ。。。あ、いかんいかん。耳の感覚に意識を向けないと。。。すると。。。たのしくないじゃん。。。という言葉が思い浮かんだ。楽しくない???何が???

シゴト バッカリデ ナニモ タノシク ナイジャン

そんな声が聴こえた気がした。その瞬間洞察が起こった。

『もっと自分の人生を楽しもう!!仕事だけが人生じゃない。もちろん仕事が楽しいことは素晴らしい!!だけど、もっと自分の人生も生きよう!!ただ楽しいと思えることをしよう!!大切な人とのかけがえのない時間を過ごそう!!旅に出て、自然と触れ合おう!!新しい出会いを楽しもう!!いま、地球に生きている!!この命の歓びに触れる時間を持とう!!』

セミナーで参加者相手にこんなことを熱く語っている自分。このメッセージ自体はウソではない。けれども今の自分は、仕事ばかりに面白さを見出し、疲れ果てても自分を鼓舞して人前に立ち続けている。これはウソだな。みんなに、自分にウソをついている。。。自分の人生にウソをついていた。僕の耳は、もうそんなウソは聴きたくなくて、文字通り耳を塞いでいたんだな。。。

ゴメンネ。。。

心の中で自分に語りかけた。そして、アリガトウ。。。とも

頑張ってくれてありがとう。でももっと楽しんでもいいよね。焦りを手放そう。皆を信じよう。自分を信じよう。今を受け入れ、視野を広げて、人生を楽しもう。そんな言葉が溢れるように流れてきた。心が緩んだ。呼吸が深くなった。静かに涙が流れた。。。

どれくらいの時間だったろう。コーチはずっと待っててくれた。そして僕が落ち着いたのを見計らって「だいじゅの中で何が起きたかな?ゆっくりで良いから教えてもらえる?」

たくさんの言葉が溢れてきた。ホントはきつかったこと。1人で頑張って、どこか虚しさや焦りを感じていて、でも自分を鼓舞して頑張ってた。でも楽しくなかった。飲みに行っても、バカ話ししても何にも楽しくなかった。旅に出たかった。旅人になりたかった。旅人として、その街の人々と触れ合いたかった。いつもセンセイでしかない自分がイヤだったんだ。何者でもない自分として、そしてただミヤコシダイジュとして、自然の中に身を置き、人々と触れ合いたかったんだ。

「いま、だいじゅの耳は、この話をどんな風に聴いていますか?」とコーチは質問してくれた。

驚いた。耳は普段の状態に戻っていた。

そしてコーチは言った。「だいじゅの耳にお願いします。だいじゅがこのことを忘れることのないように、見守ってあげてください。まただいじゅがセンセイとしてだけ生きることがあったら、耳を聴こえにくくして、教えてあげてほしいのです。どうでしょう?」

不思議なことに右耳の奥にまた反応があった。

ワカッタ。マカセテ。

と言っているみたいだった。それ以来数年に一度くらいかな、センセイシゴトばかりしていると、僕の右耳はちょっとだけあの時みたいな感覚になる。お陰で僕は自分を取り戻すことができる。

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どうでしたか。フォーカシングという技法が応用されていますです。

フォーカシングという技法については以下の記事が参考になります。フォーカシングは無意識の声を明らかにする素晴らしい技法です


セッションで得られたもの

今回紹介したケースは、コーチングカウンセリングに不慣れな人からしたら、すごく不思議な世界ですよね。こういうことが起こるから、僕はコーチングカウンセリングに魅せられています

さて、自己一致の観点から、セッションを振り返ってみましょう

セッションを受ける前に、僕は自分が「疲れてる」とか「ストレスがかかってる」ことには気づいてました。これは実際に身体が感じていたことでもあり、そこは一致していたわけです

でも、どちらかと言うと「仕事は楽しい」と思っていたわけで、これは自分の身体が感じていることを誤解していたわけです。体験していないことを認識していたわけです。

そして、身体は体験していたけれど、頭は認識できていなかったことがたくさんあったわけです。全体像は下図を見てみてください

どのように自己一致が進んだか

そして、コーチの働きかけが進むにしたがって、

「嘘をつくのはいやだ」
「楽しくない」
「楽しみたい」
「自然の中にいたい」
「旅にでたい、旅人でいたい」

などと、どんどん身体=無意識の声をキャッチすることができました。そのことにより僕の心はどんどん軽くなり、最後はとても穏やかで平和な気持ちを感じていました。

そして不思議なことに、メッセージを伝え終わった身体は、耳を聴こえない状態にしている理由がなくなったかのように、普段通りの聴こえ方に戻してくれたのです。

もしあなたが今の仕事が辛いなら、いまのやり方でそこにいるのは自分らしくないから嫌なのかもしれません。

もしあなたが今の家族関係がつらいなら、いまあなたは自分らしいやり方で家族と関われていないからかもしれません。

何が自分らしさなのか、何が自分の幸せなのか、何が自分の人生なのか、ぜひ身体=無意識の声に耳を傾けてください。一人でやるのが難しい場合、それをサポートするために僕らコーチカウンセラーは待っています!!

一緒に「自己一致」した人生を生きていきましょう!


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