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私と骨折⑧【一ヶ月ぶりの出勤】

GWに入る前の5月2日。

私は三週間に渡る骨折安静生活に終わりを告げ
GW開始と共に歩行練習開始となった。

 
三週間ぶりに歩いた時は歩くたびに骨折していた左足が悲鳴を上げたが、立位は比較的安定していた。

 
GW中、県外やライブ、益子陶器市に行きたかった私だが
予定は全て白紙になり
私はコンビニや本屋、公園に行き
歩行練習をしていた。

 
包帯を外した日、あまりに自分の左足がポンコツで泣けてきたが
驚くことに、日に日によくなっていった。
歩ける距離が増え、できることが増えた。

 
お陰で半ば諦めていた映画も見に行けた。

GWなのでめちゃくちゃ混んでいたが
松葉杖を使ってなら
怪我をする前と同じくらいの速さで歩けるくらいに回復した。

 
GW終わりかけの頃は
自宅室内なら松葉杖を使わなくても自立歩行可能だったし
外出時も短距離ならば松葉杖はいらなかった。

 
ただ、やはり左足は疲れやすいし
痛みは完全にはなくなっていない。

特に階段を降りる時は左足に負担がよりかかった。

 
私は新施設長に、GW最終日にLINEをするよう指示されていた。

前々から思っていたが、やはり最終日の状態を見ても考えは変わらなかった。

 
“復帰初日は半日勤務にしよう。”
“駐車場は近場にしてもらおう。”

新施設長には素直に伝えた。
そして了承してもらえた。

ちなみに本来は職場から職員駐車場までは早歩きで5分の距離だ。

 
GW最終日。
私は一ヶ月ぶりに自室に拠点を移した。
足を骨折してから一ヶ月は拠点を1階にしていたが、いよいよ2階に拠点を移した。

自分の部屋はやはり落ち着く。

 
GW最終日は一日中雨が降っていた。
昨夜から降っていた雨はやや強まり、本降りだった。

 
予報では、仕事復帰日は雨である。

念の為、駐車場から職場までは松葉杖をついて行く予定だったが
傘と松葉杖では両手が塞がってしまう。

なんとか、小雨であることを願った。

 
うちの職場は菓子折や差し入れはあまり喜ばれない文化だが
一ヶ月ぶりの仕事ならば何も渡さないわけにはいかない。私の気が済まない。

皆さんが気を遣わないようにと、お菓子を色々買ってきて詰め合わせを作った。

 
できあがっているお菓子詰め合わせを買うよりは安く済むし、気を遣わせないだろう。

 
しかし、久々の勤務日は雨だ。
次の日は晴れだが、仏滅だったので
その次の日の水曜日に持っていこうと思った。

 
GW最終日、同僚からLINEが届いた。

 
「こんにちは。お疲れ様です。

足の具合はどうですか?
明日から来られるのかな?大丈夫?

無理はしないでくださいね!
今は治すことに専念してね!

利用者もみんか寂しがってるよ~
お大事に!」

 
私は泣いた。
泣いて泣いた。

LINEをもらえて泣いた。

 
同僚とは仕事以外でLINEはしない。電話もしない。

 
前職では悩んだり、具合が悪い時は何人かとやりとりをしたりしたし、仕事以外の雑談でもLINEしたりもしたが
転職先ではしなかった。

だから嬉しかった。
まさかLINEがもらえるとは思わなかった。

 
きっと明日は大丈夫。
そう思いながら私は眠りについた。

 
 
一ヶ月ぶりの出勤日。
朝起きたら横なぐりの雨だ。

父に車を寄せてもらい、傘をさしてもらい、車に乗り込んだ。

 
GW明けと土砂降りが重なり
渋滞が起きていた。
普段よりかなり遅めに駐車場に到着。

 
雨は多少マシになったが
傘は必須なレベルの雨だった為
松葉杖を車に置いていく。

 
松葉杖なしで外を歩くのは初めて。
しかも雨の中、段差があるところを歩く。
手すりがない場所で段差はなかなかにキツい。

 
余裕をもって職場に着くはずが、まさかのギリギリに到着した。

玄関や職員室には同僚がいた。
懐かしい顔ぶれだ。
リーダーは髪型やカラーが変わっていてビビった。

 
新施設長や同僚と仕事の話をする。
それがとても嬉しかった。
楽しかった。

 
やがて利用者が来た。
私を見て、「痛い?」と心配しながら聞いてきた。

別の利用者は「心配したよ。会いたかったよ。」と抱きしめてきた。

また他の利用者は「足治れ!」と祈ってくれた。

話すのが苦手な利用者はそばから離れなかった。

 
それが嬉しかった。

 
久しぶりの仕事。
現場には少ししか入れなかったけど
ほとんど事務仕事だったけど
あっという間だった。

 
事務仕事中、珍しくお腹がかなり鳴ってしまい恥ずかしかった。
隣に事務長がいたからだ。

 
仕事中、やはり現場に入ると立ちっぱなしになるし
上手く動けなくてもどかしいし
やっぱり動いてしまう。

やたらと右脚が痛かった。
もちろん左足も痛い。

 
今週はもう、一週間半日出勤にしようと決めた。

一週間に一日以上1万歩歩いていたくらい、よく歩く生活だったが(仕事がある日は毎日8000歩くらい)
今の私にとっては1000歩が1万歩くらいの疲労度だった。
いや、当時の1万歩よりも今の方がキツい。

 
それでも、と思う。

日に日に確かによくなっている。できることは増えている。

 
だからきっと来週はまた違う景色が見える。

 
歩けるようになって
仕事に行けるようになって
私の心はとても弾んでいる。

 
歩けるって素晴らしい!

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