見出し画像

クモの行方

「真咲さん、ちょっとこいよ!」

私は利用者に言われて
一緒に廊下を歩いた。

 
「クモだよ、クモ!」

そう言われたが
内心私は油断していた。

うちの職場はよく小さなクモが出るので
小さなクモだと思った。

 
そこにいたのは想像以上に大きなクモだった。

「ギャア!」

私は利用者に飛びついた。

 
想像以上に大きい。

「無理、これは無理。」

後ずさった。
私は大きなクモは大の苦手だった。

 
「おーい、みんなこっちにこいよ。」

なおも利用者が言う。
みんなもそのクモを見て
次々に後ずさる。

 
「〇〇さん、そのクモを逃がしなよ。」

 
他の職員が言い
そろりそろりとはたきを持って歩く。

 
そのクモははたきにいたのだ。

 
窓を開け、エイヤッとクモを離す。
クモは無事地面に着地したようだった。

利用者はそのクモをしばらく眺めていた。

 
その方は実は虫が得意ではなかった。

だけど周りの女性陣が怖がるから
勇気を出したのだろう。

 
前の職場でも
よく男性利用者がゴキブリ等を退治してくれた。
本当にありがたかった。

 
男性利用者、頼もしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?