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素敵な書き初め

1月といえば
毎年恒例の書き初めだ。

 
私は去年、書き初めに立ち会っていなかった為(多分事務仕事をしていた)
今年初めて立ち会った。

私は転職二年目だ。

 
前の職場では一回だけ書き初めをしたが
汚れないように工夫が大変で大変で
結局私は社会人一年目の頃、一回しかしなかった。

 
だけど今の職場は書き初めを恐れずにやるからすごいなぁと思う。

 
書き初めは
しばらく壁に飾られる。
まるで学生時代のようだ。

 
私は撮影係をし
みんなの様子を見守った。

 
全員が一人で書く文字もあった。
手添えの方もいたが
全員が一文字…一部は自力で書いた。

 
書き初めには抱負を書く。
大抵の方が作業を頑張ることを目標にし、次点でダイエットを挙げる。

 
そんな中、ある利用者が「素敵な大人女性になる」と書いていた。

いい抱負だと思う反面
抱負が変わったとも思った。

その方はずっと書き初めは「素敵な人と出会えますように」と書くと言っていたのだ。

 
彼女は結婚願望があった。
恋愛願望があった。

 
だけど先日
「結婚はいいかな。大変そうだから。」と言う変化が見られた。

 
そして書き初めも、最初の予定のものと書く内容が変わっていた。

 
その話を保護者にした際
「うちの子は素敵な出会いは無理ですよ。」と即答した。
笑いながらだったけど
その言葉の響きは本気だった。

 
私は障害福祉歴10年以上だから知っている。

軽度の利用者の中には恋愛体質の人がいて
異性トラブルに発展する場合があること。
騙されたり、無知から心身傷つく場合があること。

好きな人ができても
結婚まで辿り着く可能性より
(望む、望まない含めた)妊娠の可能性の方が高いかもしれないこと。

子育てをする場合
保護者のサポートや周りのサポートが必要不可欠なこと。

障害がある親が子育てした場合
上手く育てられない可能性も少なくはないこと。

 
だから保護者は
娘の恋愛は望んでいない。好きな人の存在を喜びきれない。

 
願わくば
素敵な人と出会わないでほしいのだろう。

 
保護者の負担。
本人の責任。

それを考えれば
恋愛にあまり前向きにはなれないかもしれない。

 
「いい目標でしょ?私、素敵な大人女性になりたいの。」

書き初めを持って利用者が笑う。

 
私は勝手に切なくなった。
思わず、抱きしめたくなった。

そう願うあなたは
もう十分素敵な女性だ。

 
人が人を好きになる。
それはまさに素敵なことのはずなのに
障害がある人の恋愛は
壁が高く厚く、なかなかに困難を極める。

 
あぁそれでも私は
一個人としては
もしも利用者が誰かと恋に落ち、結ばれたなら
祝福したいんだよ。

心から。

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