見出し画像

選択に迷う

先日、新施設長から3月に県外日帰り旅行に行くと発表があった。
なんと無料で旅行に招待されたという。
 
 
飲食代やお土産代は自費だが
バス代も行楽地の代金も無料だという。

 
旅行日を聞いて私は驚いた。

その日は私が去年から決めていたとある場所に母親と行こうとしていた日だからだ。もう日付指定チケットを買ってしまった。

 
何故、よりによってその日なのだ。

創立記念パーティーや土日の販売、春休み、2月の寒い時期、大きな行事を避けてベストな日に予定を入れたと思ったが
まさかの施設と気が合いすぎた。

 
金曜日は行事が入りやすいし
なるべくは休まないようにしていた。
金土日で三連休になるし、申し訳ないし
他の同僚が金曜日に休みがちなので気を遣ったつもりだったが
初めて金曜日に休みをとった日に、よりによって県外日帰り旅行が重なるとは。

 
 
誤算だった。
まさか一ヶ月をきったところでこんな話があるとは。
無料招待する方はおそらく3月の決算に合わせて予算を使い切ろうと考えてこんな企画を急にしたのだろう。

もっと早く言ってくれ。
 
 
これから毎年様々な福祉施設に、無料招待をする予定らしいが
何故よりによって我が職場がトップバッターなのだ。タイミングが悪い。

来年度に招待された施設ならば、もっとゆとりをもって計画を立てられただろうに。

 
 
行きたかったが、仕方ない。
もうチケットを買ってしまったのだ。チケット代は一万円以上なのだ。

私は素直に予定があると打ち明け、新施設長や周りの同僚は「急な話だから仕方ないね。」と分かってくれたが
翌日前施設長から「予定ずらせないの!?全員参加してほしいの!」と詰め寄られた。

 
…全員参加ならば、もっと早く告知してほしい。

 
周りに話を聞くと、同僚も有給予定だったが、予定をずらしたと言っていた。

 
 
行き先は前の職場でも行ったことのある場所で(福祉施設が日帰り旅行で行く場所は他施設も行きやすい場所であることが大抵だ)
私はプライベートでも何回か行った場所で
久々に行きたい場所だった。

利用者は喜び、みんなのテンションが上がる中
私は一人悔しかった。

 
五年ぶりの県外日帰り旅行では、次はないかもしれない。
みんなと行きたかった。
リーダーと行きたかった。
あーあ。あーあ。でも仕方ない。仕方ない。

 
 
そう思っていた頃
リーダーの退職が発表され、私はまたも悩んだ。

リーダーとの最後の大きな大きな行事だ。
最後だし、やはりこちらを優先した方がいいのではないか。

 
だが、来年度からリーダーがいなくなり、人事も大きな変化があり、今より平日に休みは取りにくくなるのは確かだ。

更に、チケットキャンセルはできない。
一万円以上を捨てる覚悟で臨むしかない。

 
更に、母親も3月に人事の発表があるため
来年度の動きは読めない。
お互いに4月がバタバタになるのは確かだ。

母親は私の気持ち次第でどちらでも構わない、とは言ってくれたが
やはりデメリットが大きい。

 
私はリーダーと二人きりの時にこっそり聞いてみた。
4月の予定はどうなのか、と。
日課や月の予定はリーダーが作っており、4月分まではリーダーが担う予定だった。
すると、まだ確定していない日が何日かあるらしい。

そうなるとまた、私が有給をとった日に行事が重なる可能性も出てきてしまう。

 
「へ?県外日帰り旅行行きたいの?俺は行きたくないよ。残って書類作成していたい。」

「あと、もしかしたらもう(無料招待してくれる団体に)人数申請した後で、間に合わない可能性もあるね。多分まだ人数確定してないから大丈夫だとは思うけど。」

 
確かに、もう申請した後かもしれない。
今更私が予定を変更したところで無駄なのかもしれない。

 
リーダーは私の気持ちも知らずに、行きたくないと言い出した。
私はあなたと行きたいんだってば。

行きたくないのに行く人、行きたいのに行けない人。
人生とはこんなもんだ。

 
だが確かにリーダーからしたら、気持ちはもう次の夢に向かっているし
早めに引き継ぎ用に仕事をやりたいだろう。
リーダーにはもう時間がないのだ。

私も退職が決まってから有給消化に入るまで時間がなかったため、前の職場で退職前はばたついた記憶がある。

 
「もしもともかが日帰り旅行行くなら、リーダーは行かないで書類作成するんじゃない?」

母親がポソッと言う。
あえりなくはない。
私が行ってリーダーが行かないのでは本末転倒だ。

 
「ともかが行くなら、多動系利用者担当なんじゃない?」

ありえなくはない。
去年のマラソン大会支援が浮かぶ。
結局はリーダーと思い出作りなんてできないのかもしれない。

 
 
それに…
リーダーとはもう別れが確定しているのだし、特別な思い出は増やしすぎない方が別れは楽かもしれない。

 
 
 
私は悩みに悩み、予定通り有給をとることにした。
来年度からの動きやゆとりが私も母も読めないのが一番の決め手だ。

ただ、みんなと話したり、動画を見ている内に県外日帰り旅行に行きたくなったのは確かなので
後でプライベートで行こうと思う。

 
 



 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?