お昼買い物支援
私の職場は週に一回
利用者とグループごとにお昼を買いに行く。
とある日、利用者Aさんと利用者Bさんとお昼を買いに行くよう言われた時
内心、何故この二人を支援担当なのだろうと思った。
Aさんはせっかちでお弁当を選ぶのが早いが、早めに買い物が終わると施設に戻ってから不穏になりやすい。
だから出発は遅く、戻りも遅くするのが普通だ。
一方Bさんは優柔不断でお弁当を選ぶのにめちゃくちゃ時間がかかる。食べるのも時間がかかる。
だから出発は早くするに越したことはない。
だから普段二人を引き離し、別の職員で担当するのに
何故今日は二人私が担当なのかと疑問だった。買い物に関してはこの二人は一緒だとなかなかにやりにくい。
まぁこれはリーダーが休みだからだろう。
リーダーがいないから配置を上手くできないし
リーダーがいないから人手不足なのもあるだろう。
お店に着いた際、Aさんはちゃっちゃとお弁当を決め、店内を物色しだした。
Aさんは多動で好奇心旺盛で待つことは苦手だ。
一方Bさんはやはりお弁当に悩んだ。
「チキン弁当かぁ…鳥インフルエンザは大丈夫ですか?」
「カロリーが気になるなぁ。」
「これは食べにくそうだなぁ。」
Bさんはお弁当エリアをぐるぐるしている。
私はAさんと店内を見ながら、時折Bさんの様子を見に行った。
Aさんは一人で施設に登所できるくらいの方なので、売り場に一人でいてもある程度は平気だ。
「Bさん、お弁当決まったか~い?」
「まだです~。」
「じゃあまた後で様子見に来るねー。」
私はBさんにそう伝え、Aさんと再び店内を早歩きで歩いた。
Aさんは待つのが苦手だ。ジッとしているのも。
「これは新商品?」
「ともかちゃんの好きな飲み物はどれ?」
「チンゲン菜はどれ?」
そんな風に並べられた飲食物を見ながら
Aさんは思いつくままに質問をどんどんしてきた。
お弁当売り場で40分が経過し、お弁当を選び、ようやくレジに並んでも、Bさんは私を呼ぶ。
「やっぱりしじみ汁やめて豚汁がいいかなぁ?豚汁としじみ汁はどちらがいいかなぁ?」
もう出発予定時刻は過ぎていた。
私は伝えた。
「豚汁といったら冬だよ、冬。今は秋だからしじみでよし!」
「そうかぁ、秋かぁ……じゃあ秋ならみそ汁はいらないかなぁ?」
「今日のお昼は喉につまりやすそうだし、みそ汁あった方がいいよ。」
「そうですかねぇ。」
「しじみは体にいいよ。カロリーも低いし、今日はしじみ汁でバッチリだよ。」
「しじみ汁はすごいんですね。今日はしじみ汁にします~。」
Bさんに対する支援ポイントとしては
このようにズバッズバッと言い切りのような形の方がのぞましい。
共感や同調は素晴らしいことだが
Bさんは話を聞きすぎると悩みが深まるタイプだ。
気持ちの切り替えをする手助けをしたり、答えを伝えた方がスッキリしやすい。
私はしじみ汁推しのような振る舞いをしたが
別に豚汁に恨みは何もない。
ただ、ようやくお弁当を決めてレジに並んだ以上、そして時間がおしている以上
このまま決めてもらいたかっただけだ。
私とこのようなやりとりを続け、ようやくお店を出発した時には
出発予定時間を10分過ぎていた。
だが、午後大きな予定があるわけではないし
買い物時にトラブルで戻りが遅くなるのは割とよくあることなのでまぁよしとしよう。
早く戻りでもしたら、Aさんが不穏になる。それは避けたい。
施設に戻ってすぐお昼が食べられるというのがAさんには必要な状態なのだから
早まるよりは遅まるくらいが平和だ。
行きはどうなることかと思ったけれど
なんとか無事買い物が終わってよかった。
AさんもBさんもお昼を完食し、嬉しそうだった。
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