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ベルトと紐で遊ぶ利用者

春、パーカーを着てベルトをつけて仕事をしていると
利用者が私のパーカーの紐で遊んだり、ベルトを外そうとしたり、ベルトで遊んだりした。

 
コラコラ

なんて注意しながらも私はニヤけている。
かわいい利用者に遊ばれるものを私が持っていることが嬉しいのだ。

 
よく私のカバンも遊び道具にされる。
キーホルダーを揺らして音を鳴らして遊んでいる。

 
保護者はそれをよく謝るが
私からしたら謝る必要は何もない。

私は利用者が喜びそうなキーホルダーをわざとつけている。
職場に高いバッグや壊れたくないものは持参していないし
利用者が喜んでくれることが私は嬉しいのだ。

 
夏になり、私は半袖になり、ベルトもつけなくなった。
そんな利用者は今度は私の腕時計で遊んでいる。

 
コラコラ

なんて言いながら、私はやっぱり夏もニヤけている。
全然本気で怒っておらず、形だけコラコラと笑って言うだけだ。

 
昨日も、そして今日も利用者が隣にいて嬉しい。
明日もどうかそばにいてほしい。
 
一緒に時を過ごしたい。
一緒に年をとりたい。

もう悲しい別れはしたくない。 
納得しないまま理不尽な退職で引き裂かれるような別れはしたくない。

 
隣で利用者を見つめる。
利用者が私をジッと見つめてキスをする。

 
コラコラ

なんて言ってキスを避けながら
私は今日も笑っている。

 
大好きよ。
大好きよ。
大好きだよ。

もう大好きな利用者と離れるのは嫌だよ。

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