見出し画像

ポスティングしながら眠くなる

最近眠気が強い利用者Aさんがいる。
大体活動や作業が始まって30分くらいで眠気が来る。

 
その日はポスティングの日だった。
私、Aさん、利用者Bさんの三人でチラシを配る予定だった。

 
Bさんは他の作業を担当したかったらしく
なかなかポスティングの準備をしてくれなかった。

15分くらい説得した後、ようやく重い腰を上げた。

 
出発が遅れた。
私は内心焦っていた。
ポスティングは今日中だからだ。

 
だが
予定の半分も終わらない内にAさんに眠気が来た。
早めに出発できなかったことが痛手だった。

 
私はふらつくAさんを支えながらチラシを配った。
眠くてウトウトするくらいはいつものことだし
なんとか歩けてはいた。

だが
眠気は更に強くなり、私はポスティング作業中断を選択した。

 
施設まではあと100mくらい。直線の道だった。 

「真咲さんらを置いていっていいから誰か職員を呼んできて。」

私はBさんに頼んだ。

早歩きするBさんの後ろで
私は両手でAさんを抱えながら少しずつ進んだ。

直線の道で様子が見れたからこそできた。

 
Bさんは自力で施設に登所できるくらいレベルだったし
同じグループの利用者が先に戻ることもよくあることだった。

その日は
作業を渋る弱さと助けを呼ぶ強さを垣間見た。

 
前施設長は慌てて走って私達の元へ来た。
助かったと思った。

「こんな時は電話していいんだよ。」

そうは言われても
自分と体重が大差ない利用者を支えるので精一杯だ。

近くには座って休める場所もないし、座ったらいよいよ完全に寝てしまう。

 
私と前施設長でAさんを支えながら歩き
完全に眠ってしまってからはリーダーがおぶってくれた。

 
「大変でしたね。急に眠気きちゃうから危ないですね。」

リーダーに優しく言われ、涙が込み上げた。
大変な時に優しくされるとウルッとしてしまう。

 
残りのチラシ配布は新施設長が行ってくれた。

 
毎日何が起きるか分からない。
ホウレンソウをミスする時もある。

仕事はホウレンソウが大事だけど
それは分かっていても
適切な時に適切な人にすることが難しい時もある。

大体言うか迷った時や言わなかった時に問題は起こりがちだ。

 
仕事は組織で回る。
私一人で背負い込むことはなかった。

周りが支えてくれる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?