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社長と職人と店舗スタッフそれぞれの想いをのせた新作ソファ。

皆さまこんにちは。
静岡県裾野市でMANUALgraph(マニュアルグラフ)と言うソファ専門ブランドを運営している小さな家具工場の3代目鈴木大悟と申します。

前回のnoteでは、なぜ僕たちが無理してでも自社ブランドをやっているか、その根本を書かせて頂き、沢山の「スキ」を頂きました。

読んで頂いた皆さん、本当にありがとうございます。

そんな我が社ですが、恐らく他の事業者さん同様、今回の新型コロナウィルス感染拡大の影響をもう思いっきり現在進行形で受けております。

そんな状況下で、これまた無理してソファの新シリーズをローンチする事にしました。

今回はその過程と新ソファのご紹介をちょっとだけさせて頂きたいと思います。

もちろん大打撃!新型コロナウィルスの影響。

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当社は自社ブランドMANULgraphの運営の他、コントラクト事業と言う、オフィスやホテル、飲食店向けの、いわゆる業務用の家具を製造しています。

この事業は、いわゆる[下請け]で、むしろこっちが元々代々やってきた本業です。
売上げ自体もコントラクト事業が会社全体の2/3を占め、ブランド事業は残りの1/3です。
特にここ数年は都市部のオフィスに特注のソファをお届けする仕事が多くなっていました。

緊急事態宣言と同時にこの仕事がピタッと止まりました。主な納入先が東京のオフィスだったりホテルだったり飲食店さんなので当然です。

一方ブランド事業も、満を辞して昨年末にオープンした直営店[MANUALgraphららぽーと沼津店]も、やっと売上げも安定し出した矢先、3月はパッタリと客足が止まり、4月5月はほぼ休業と言う状態で、会社全体の売上げはほぼ半減しました。

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今もあまり状況は変わりませんが、この時ほど焦り苦しい時期はこれまでありませんでした。

そんな中、ららぽーと店のスタッフはお店が開かないので仕事がありません。
休業してもらう事も考えましたが、みんなオープン以来一生懸命やってくれていたのでなんか抵抗がある。

そこで、せっかくの機会だから本社の工場に入ってもらって製造を手伝ってもらう事にしました。

とは言え、仕事が激減する中で工場を手伝ってもらうにも、作るものがありません。

そんな中、店舗スタッフから「こんなソファあったらいいと思うんです…」と、各自が思う理想のソファの写真を並べて提案してくれました。

こんな苦しい状況の中でも、みんな前向きに考えてくれてることが正直嬉しかったし、社長である僕が下を向いていてはしょうがないと気づかされました。

社長と店舗スタッフ、開発スタッフ、そして職人みんなで考えた。

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よくよく振り返ってみると、ららぽーと店を出す前は、ここ裾野市の本社工場の一画の本店[FACTORY&STORE]しかなく、とても辺鄙な住宅街の中にあるので、近所の人でさえこんなところにお店がある事など知られていないくらいでした。

それでもなぜかお客様はたどり着いてくださり、ソファを購入して頂く方が少なからずいました。

その多くの方は、調べに調べてやっとMANUALgraphにたどり着いたと言ってソファを購入頂いていました。でもさらによーく店舗スタッフに聞いてみると、中には探し疲れて「もうこれでいいや」と言う心境でご購入頂く方も少なからずいるとわかりました。

当社は工場直営なので、当然ある程度はお客様のご要望通りカスタマイズしたり特注したりする事は出来るし、そう言うパターンも多くあります。

でもそれでは、せっかく工場直販で商品化してリーズナブルな価格設定にしても、特注になると結局高くなってしまうし、何より実は以外とお客様のご要望通りに作っても、お客様はソファ作りに関しては素人で、僕らプロから見るとあまりお勧めしたくない作り方の要望も多かったりします。

理想のソファを探しに探して、こんな静岡の辺鄙な場所のお店にたどり着いたお客様に「そうそう、これ!」と言ってご購入頂きたい。
きっと店舗スタッフのみんなもそんな想いから、「こんなソファあったらいいのに」と言う声が上がったんだと思います。

そんな店舗スタッフの声と、とにかく暇で作るものがなく試作はいくらでも作れる状況だっため、急遽新作ソファを開発することになりました。

今本当に必要なソファとは。
ファクトリーブランドとしての僕たちなりの答え。

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まず始めたのがユーザーインタビュー。
理想のソファを作るには、今お客様がソファを買うにあたって何を求めているか、そこにどんな課題があるのか
そして、STAYHOMEの影響で、今人々の暮らしの課題も変化しているかもしれない。

とは言え、リサーチ会社にお願いしたりそんな余裕はありません。

とにかくスタッフみんなで家族や知り合い、出会う人出会う人皆さんに「今ソファを買うならどんなのがいいか」「今家で使ってるソファは、どこでなぜ買ったか」を聞きまくりました。恐らく延べ100人くらいは聞いたと思います。ーザーインタビューを繰り返し、多かった声は

・理想のサイズのソファがなかなか見つからない。
・せっかく新しく買っても汚れてしまうのが不安。
・模様替えや引越しなどでソファの必要性が変わってしまう。

などでした。

そこで、まずソファのサイズに関して改めてみんなで考察してみたところ
「実はそんなに大きなソファは今あまり必要とされないんじゃないか」と言う結論に至りました。

もちろんお客様のライフスタイルや家族構成、住んでる家によって必要なソファは様々です。しかし今回のインタビューでは、なるべく場所を取りたくないと言う声が多い。そこでミニマムでちょうどいいサイズとはどのくらいかを検討しました。ソファ作りのプロとして、小さければいいと言うわけではなく、座り心地や機能性を保ちながらサイズを小さくすると言うことを目指しました。

そしてもうひとつインタビューを通じて「ライフステージの変化に応じて必要なソファは変わってくる。」と言うことに改めて気が付きました。

汚れの不安や暮らしの変化と言うお客様の将来の不安を解決するため、オプションのカバーを開発したり、自由に組み合わせができて足したり引いたりすることのできるユニット・ソファを開発することにしました。

あなたにとっての理想のソファ。
[マニュアルグラフ・ミー]誕生!

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コンセプトが決まると、デザインと試作にかかります。
うちは当然ですが工場で、しかも暇なのでプロトタイプはすぐに作ることができます。

今回の課題である「サイズ」は、いくら図面やCGにしても実物に座ってみないと検証はできません。
何度も試作を繰り返しました。

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実際に作るのは僕や販売スタッフではなく、うちの職人さんたちです。
実は職人にとって「作り直す」と言う行為はすごく嫌なことなんです。
当たり前ですよね、一生懸命作ったものを、「やっぱりちょっとこうして」と、言うのは簡単ですが、作る方は大変です。しかもせっかく作ったものが試作とは言え無駄になってしまいます。

そこは僕も開発スタッフもいつも頭を悩ませるところです。
「やっぱりもう1cm高くしたい。でも言いにくいなぁ...。」と。

でもいつもそうですが、職人のみんなは嫌な顔は正直ちょっとしますが、文句を言わずすぐに作り直してくれます。

みんな、お客様にとってベストなものを作らないと結局無駄なものを作ってしまう。と理解してくれているからだと思います。

結局何回作り直したかわからないくらい試作を繰り返し、最終的に3つの新しいソファが出来上がりました。


理想のソファを探し求めているお客様が、「そうそう、これ!」と言っていただける「あなたの為のソファ」を作りたい。そんな僕と販売スタッフと職人たちの想いを込めてこの3台のソファのシリーズを[MANUALgraph me]と名付けました。

はじめてのクラウドファンディングに挑戦します。

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今回リリースする新シリーズ[MANUALgraph me]の中から、自由に組み合わせができ、オプションのカバーも選択できる「Comp」と言うソファでクラウドファンディングに挑戦することにしました。


皆さん、よろしければぜひ応援してください。
ソファを買ってくれとは言いませんので、SNSでのシェア周りでソファを探してる方などいらっしゃいましたらご紹介していただけると嬉しいです。

密かなペルソナ、Nくん。

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実は今回、新シリーズを開発するに当たり、僕の中で勝手にある1人の人をペルソナに設定していました
今回もそしていつもうちのWeb関係のデザインを手がけてくれているデザイン会社の担当のNくんです。本人にはその事は一切伝えていませんが...。

ユーザーインタビューの段階から、彼には根掘り葉掘り聞いて、部屋の写真まで送ってもらいました。

社内みんなで本当に必死になって開発をして3ヶ月。
全ての商品が完成し、Nくんたちにお願いして商品撮影を行った際、
「Nくん、このソファどう?」と聞いてみたところ、
「凄くいいです!欲しいです!」
と言ってくれました。彼は忖度してお世辞とか言うタイプではないので恐らく本心だと信じています。

そんなN君にも認めてもらえて、やっとこの3ヶ月のみんなの苦労が報われた気がしました。

でも、本当に報われるかどうかはこれから。
日本のどこかで理想のソファを探し求めているあなたに出会えて、買って頂き喜んでいただけてはじめて、僕も販売スタッフもそして職人たちも幸せになれます。

「お客様の喜びが自分たちの最大の喜びとなるよう常に技術を磨きます」
これは当社の経営理念の一文です。

この新シリーズを通じて僕たちの目指す、「つくり手」と「使い手」双方が幸せになれるものづくりが少しでも一歩前に進めたら幸いです。


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