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【前編】教養としてのジャパニーズウイスキー

大学に勤めるようになり、海外の先生らともお仕事をする機会が増えました。その折には、一緒にお酒を交わすこともしばしば。

そんな時、ビジネスパーソンならカッコよくお酒について語ってみたいなぁなんて思います。

私がいる地方にも酒蔵や蒸留所が存在し、日本酒、クラフトビール、ワインなど非常に多種多様で、その中から何を勧めるかといえば、まずは『日本酒』かなと。

下図の通り、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、注目を浴びていますが、それに伴い日本酒も世界的に輸出量が増え、右肩上がりの状況が続いているようです。

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海外の先生も「日本酒は美味しいと聞いている」や「美味しい」といったリアクションをされます。

一方で、個人の経験ではありますが、

こちらが知っているお酒を延々と聞かされても以外とつまらないもので、お互いの距離を縮めるには「知っているお酒」と「知らないお酒」を交互に意見交換できたりした時に盛り上がると感じます。

具体的に言えば、他国と自国で生産方法が同じようなお酒の比較かなと。例えば、ワインやウイスキーといった具合に(ただ、今はNYでも日本酒がつくられているらしいです)。

ちなみに、私がお付き合いのあるドイツの先生は2件目のお店にいくと、必ずウイスキーを注文します。

そこで、初めて『ジャパニーズウイスキー』の評価を知り、今や『世界五大ウイスキー』の一つであることを知りました。恥ずかしながら、海外の先生から自国のウイスキーのこと教えてもらったのです。

ちなみに、オックスフォードやケンブリッジ大学では、ウイスキーを教養として位置付けセミナーを行っているようです。ここの学生らは将来、政治家・官僚・教授・起業家とビジネスをリードする存在になる方が多くいます。

また、2019年の日露会談では河野太郎元外相が、ロシアのラブロフ外相にジャパニーズウイスキーの「SUNTORY-響-」をプレゼントし、ウォッカの国、ロシアでもウイスキーなどのブラウンスピリッツが愛飲されはじめているようです。

一方、日本はというとジャパニーズウイスキーの世界的人気に反比例して酒離れが進み、私のようにウイスキーを知らない世代も増えています。

グローバル化が進む現代で、世界のビジネスパーソンとも教養的な会話をしやすいのは、芸術やお酒とも言われ、特にお酒の場では、互いの素が出やすく距離を縮めることもできます。

そこで、今回は今注目のジャパニーズウイスキーについて【前編】と【後編】に分け、触れていきたいと思います。

■そもそもウイスキーとは

正直いってウイスキーは、父が昔よく飲んでいたなというイメージしかなく、身近にありつつも好んで飲むことはありませんでした。

それこそ女優の小雪・菅野美穂・井川遥がCMを務める「角ハイボール」ぐらいしか分からず、居酒屋では「とりあえずビール」の次の次ぐらいにハイボールを注文するぐらい。

ただ、ジャパニーズウイスキーに興味を持ちはじめたので、とりあえず以下の書籍を購入。以降は書籍に基づき説明をしていきたいと思います。

書籍によるとウイスキーの歴史は500年以上あり、世界有数の生産国は、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本のようです。

(この五ヶ国が世界五大ウイスキーと言われています)

その中でも、日本ウイスキーは歴史的に言ったら100年程度と浅いにもかかわらず、今や世界五大ウイスキーと言われるまで存在感を高めています。

その前に基礎知識として、そもそもウイスキーとは何かについてお話していきたいと思います。

世界のあらゆる酒類は製造方法によって「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の三つに分類することができ、ウイスキーは蒸留酒に位置付けられ定義について以下のように述べられています。

【蒸留酒】
▽果物や穀物などをアルコール発酵させたあと、蒸留してつくる酒のこと。(例:ウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカなど)
【ウイスキーの定義】
①大麦、ライ麦、小麦、オート麦、トウモロコシなどの穀物を原料としていること。
②糖化・発酵・蒸留を行っていること(この段階では無色透明のスピリッツ)。
③蒸留によって得られた原酒を木製の樽に貯蔵し熟成させていること(樽のタンニン成分によって茶色に)。

簡単にいえばワインを蒸留したものが「ブランデー」で、ビールを蒸留したものが「ウイスキー」とされます。

(私は、これすらも知らなかったレベルです…)

ウイスキーを樽で熟成させる手法は18世紀に誕生したと言われ、当時イングランドがスコットランドを併合し大英帝国を誕生させた後、スコットランド文化を弾圧。その中にウイスキーへの重税もあったようです。

その圧政から逃れるべく、盛んになったのがウイスキーを樽に入れ密造→熟成させ→飲んでみたら美味かった、という意外な展開から樽熟成の文化が発展していくことになります。

ちなみに、樽で熟成中にウイスキーが蒸発し減ることを「エンジェルズシェア/天使の分け前」というようで、スコッチのエンジェルズシェアは年間で約2~3%ほど減るようです。

(ネーミングがお洒落ですよね~)

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ちなみに、これはウイスキーだけでなく、ワインやブランデー、ラム、テキーラなど樽熟成を用いる全てのお酒で起こる現象です。

その土地の気候も大きく関係しますが、樽との時間によって熟成され、かつエンジェルズシェアが低いウイスキーは希少価値があります。

100万樽に1本の確率と言われ、60年間も熟成された超が付くほどの希少なザ・マッカランのウイスキーは、香港で2億2000万円以上で落札されニュースになりました。

■ウイスキーの分類

原料は上述した穀物類になりますが、日本のほか、スコットランド、アイルランドでは主に「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」が造られています。

(とりあえず、この二つをおさえておけば間違いないそうです)

【モルトウイスキー】
▽大麦を水などに付けて発芽させたものを大麦麦芽(モルト)といい、この大麦麦芽のみを原料とするウイスキーをモルトウイスキーという。
【グレーンウイスキー】
▽トウモロコシや小麦、ライ麦など、大麦麦芽以外の穀物も使用してつくられるウイスキーがグレーンウイスキーという。

モルトウイスキーは、グレーンウイスキーと比べて原料や発酵・蒸留に由来する香味成分が豊富で個性(クセ)が強いことから一般的に蒸留所の個性が出やすいと言われているようです。

ちなみに、我々が飲んでいるほとんどのウイスキーは、この両者をブレンドすることによって口当たりがよく、飲みやすいウイスキー、つまり「ブレンデッドウイスキー」になるようです。

また、ウイスキーは通常、複数の樽の原酒を混ぜ合わせて味を調整することから、以下の5種類に分けられます。

【シングルモルト】
▽単一の蒸留所でつくられたモルト原酒のみを混ぜて瓶詰したもの。
【シングルグレーン】
▽単一の蒸留所でつくられたグレーン原酒だけを瓶詰したもの。
【ブレンデッドモルト】
▽複数の蒸留所のモルト原酒を混ぜて瓶詰したもの。
【ブレンデッドグレーン】
▽複数の蒸留所のグレーン原酒を混ぜて瓶詰したもの。
【ブレンデッド】
▽ブレンダー職人が複数の蒸留所でつくられたモルト原酒とグレーン原酒を数種類混ぜ合わせ瓶詰したもの。

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スコットランドの世界的に有名なスコッチ・ウイスキー「ジョニーウォーカー」やジャパニーズウイスキーで有名な「トリス、響、ブラックニッカ」なども全てブレンデッドウイスキーとなるようです。

■前編のまとめ

以上、【前編】ではウイスキーの基礎知識について触れてきましたが【後編】では、ジャパニーズウイスキーの変遷や最近のウイスキー事情について触れていきたいと思います。

話は変わりますが、この正月に父とウイスキー談義をしたら、ことのほか盛り上がり二人で近くにある酒屋までウイスキーを買いに行きました。

(もちろん、ジャパニーズウイスキーを)

父が当時スコッチのスモーキーさにハマっていたこと、バーボンで失敗した話、また意外とジャパニーズウイスキーについても詳しくて、父が嬉しそうに語る姿を見たら私まで嬉しい気分になりました。

このように、ビジネスシーンだけでなく身近な人ともお酒で話が盛り上がるのってすごく心地よい事なんだなぁと改めて感じました。

私自身は「とりあえずビール」派で人並みにお酒は好きですが、周囲、特に若い人達の酒離れは私の目から見ても深刻な状況であると感じています。

一方で、大局的でもそのお酒のストーリーを感じる事ができれば不思議と愛着が湧いてきます。それを今回の書籍から学ぶ事が出来ました。

ウイスキーに限らずワインや日本酒、それにビールといった酒類ごとの変遷や近年の状況などについて調べてみるのも面白いなと思いました。

最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。
Twitterもやっています。@tsubuman8

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