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「〇〇会」の短歌

あの頃は楽しかったとみんな言う同窓会のラインはウザい

正直に結婚式の二次会で別れの歌をうたってしまふ

飲み会で部長の膝に載る女(ひと)をどんな顔して見ればいいのか

のっそりと潜水艦が浮上する飲み会だけで会う例の人

2021年12月、最後のNHK短歌のお題は「〇〇」会でした。私の投稿歌は今回上の4首です。個人的に「〇〇会」っていうのはあまり好きじゃなく、少人数で集まる普通の食事の方が気楽でいいと思っています。この辺は好き嫌いがあると思いますが。

高校の同窓会だと、同じ学生時代の思い出を共有しているという前提で話がされるので、体育会系の人が多い会では私はぽつねんと聞いているばかりになります。家が貧しかったので、帰宅して毎夕夕刊を配達していた私にとって、高校時代はそれほど楽しいものではありませんでした。

特に顕著なのは、ほとんどの人にとって「いい先生」が私にとっては価値観の押しつけをしてくる「嫌な先生」だったりするので、「あの頃は楽しかったね」「あの先生のクラスでよかった」なんて言われると、ただ無言で聞いているだけ。会社の飲み会なら、ずっと自分の本音を殺してニコニコしているのも仕方ないですが、仕事と関係ない席でも義理と人情でがんじがらめになるのは正直キツイものです。

正直「あの頃」より、大人になってからの方が楽しいんですよね。職場は外資系で上司や同僚からの価値観の押しつけはほとんどありません。おかげさまで、いまは仕事も会社も好きで楽しくやっていますが、会社の飲み会はやはり苦手です。アルコールが飲めないことも手伝って、酔って弾けている人を横目で見るだけ。無礼講のはしゃいだ姿も何が面白いのかわからず、むしろ居心地が悪く、ひたすら帰りたい。張り付けた笑顔をリサイクルするだけの時間になってしまいます。

コロナ禍で飲み会が減り、本当に幸せな2年間でした。飲食業の人には申し訳ないですが、食べ物に制約のある私の場合、外食はひたすら苦痛なのです。飲み放題なんて明らかに元が取れないし、炭酸もウーロン茶も飲めば胃が荒れるしで、全くいいことがありません。

これはきっと私が内向的な人間だからだと思うのですが、じゃあ内向的な人が全員飲み会嫌いかというとそうでもありません。普段は存在感がほとんどないくせに、飲み会には必ず顔を出す、飲み会専用社員みたいな人もいるんですよね。人間ってほんと不思議です。(終わり)

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